Microsoft DirectMusic Producer で非 DLS 対応のシーケンサから DLS 音色をトリガする方法

  • [アーティクル]

Scott Selfon
Audio Content Consultant, Xbox Advanced Technology Group

November 2001

要約: 本ドキュメントは、Microsoft DirectMusic 用のコンテンツ作成ツールである Microsoft DirectMusic Producer のさまざまな側面を扱った一連の記事のうちの一編です。このドキュメントでは、Microsoft Synthesizer とサードパーティのシーケンサを組み合わせて、DirectMusic Producer でコンテンツのオーディションを行う方法を説明します。

はじめに

自分のハードウェアを使ってオーサリングを行い、その後でダウンローダブル サウンド (DLS) コレクションを作成するという制作工程に付随する問題の 1 つは、Microsoft(R) DirectMusic(R) Producer にインポートするまで、コンテンツをコンテキスト内で聴くことができないということです。インポートを行った後に、リニア シーケンシングを行ったデータを変更しようと思ったら、MIDI ファイルを再インポートするか、DirectMusic Producer の制限の多いシーケンシング機能を使うしかありません。それ以外にも、サンプルの微調整、ボリューム レベルの変更、およびその他のミキシングの変更などのプロセスを実行する必要があります。

DirectMusic Producer の見過ごされがちな機能の 1 つを使うと、ちょっとしたセットアップ作業によって、最初から自分の好きなシーケンサで DLS コレクションを聴くことが可能になります。このドキュメントでは、他の任意のシーケンサからトリガ可能な DLS 対応の Microsoft Synthesizer 管理用のアクセス ポイントとして DirectMusic Producer を使う方法について説明します。

この記事では以下のトピックを扱っています。

  • シナリオ 1: 第2のマシン
  • シナリオ 2: 同じマシン
  • 他のシーケンサとの協調
  • 関連情報

シナリオ 1: 第 2 のマシン

DirectMusic Producer を使って DLS サンプルを管理するには、別のコンピュータから DLS サンプルをトリガするのが一番簡単でしょう。この第 2 のマシンに MIDI 出力があり、開発用のマシンに MIDI 入力があれば、これが最も単純なアプローチとなります。

お気に入りのシーケンサの中に完成した MIDI シーケンスがあり、これを DLS 音色を使って聴きたいとします。

  1. DirectMusic Producer を実行し、プロジェクトを開き、DLS コレクションを作成する。

  2. バンド トラックを含んだ新しいセグメントを作成する。

  3. バンドをバンド トラックの先頭に挿入する。

  4. バンドをダブルクリックして開き、シーケンサの MIDI チャンネルに対応する、バンドのパフォーマンス チャンネル (PChannel) をセットアップする。たとえば、シーケンサの MIDI チャンネル1で、サンプラーのピアノ ピッチをトリガしていた場合、DLSのピアノ音色の再生にはPChannel 1 を使用するように設定する。

  5. [Secondary Segment] ツールバーで、作成したセグメントを選択し、そのセカンダリ セグメントの [Play] をクリックし、数秒後に停止する。これで、パッチのすべての変更点が送信されるはずです。

    注

       

    別の方法として、このセグメントをプライマリ トランスポートから再生し、CTRL キーを押しながらクリックすることで停止させるという方法もあります。CTRL キーを押さずに停止すると、GM Reset が送信され、ピッチの変更情報がすべて失われます。このため、一般にはパッチ変更セグメントをセカンダリ トランスポートに入れておく方が簡単になります。セカンダリ セグメントを停止しても、GM Reset は送信されません。

  6. [Transport Options] ツールバーで、[MIDI/Performance Options] ボタンをクリックして、下の図 1 に示す [MIDI/Performance Options] ダイアログ ボックスを表示する。

    図 1. [MIDI/Performance Options] ボタン

  7. [Echo MIDI Input Device] リストから MIDI 入力デバイスを選択する。[Echo MIDI In] のチェック ボックスを選択し、ルーティング先の PChannel を選択する (通常は 1～16)。

  8. 別のアプリケーションで、個々のチャンネルの出力ポートを適切な出力に設定する。

  9. シーケンサの再生を開始する。MIDI データが DLS コレクションを使って再生されるはずです。ピアノのサウンドが聞こえたら、セグメント内のバンドを開いて、これらの音色を強制的にダウンロードします。

シナリオ 2: 同じマシン

DLS コレクション音色は、同じマシン上で実行されているシーケンサ アプリケーションからトリガすることも可能です。プロセスそのものは同じですが、まずサードパーティ アプリケーションを使って 1 つまたは複数の仮想 MIDI ドライバをセットアップする必要があります。仮想 MIDI ドライバはパッチ ケーブルのようなものと考えることができます。これにより、アプリケーションは自分の MIDI 出力を別のアプリケーションの MIDI 入力へとルーティングできます。これらのドライバの多くでは、複数の「パッチ」を作成できます。つまり、シーケンサは 32 個、48 個、またはそれ以上の PChannel を別のマルチポート シーケンサに送信できます。

インストールが終ると、すべてのシーケンサに新しい MIDI 入出力オプションが追加されます。その名前と機能はドライバによって異なりますが、ここではシーケンサの出力を仮想 MIDI デバイスの入力へと送信します。具体的なステップは、上のシナリオと似ています。ステップ 7 では、[Echo MIDI Input Device] リストボックスからいずれかの仮想MIDIデバイスを選択します。

Dd188496.dmp_miditriggering_fig2(ja-jp,MSDN.10).gif

図 2. [Echo MIDI Input]

DirectMusic Producer で MIDI Yoke を Echo MIDI Input Device として使用し、シーケンサの出力を等価な "out" ポート、この例では MIDI Yoke ポート #1 に設定します。

他のシーケンサとの協調

一部のシーケンサは、MIDI ポートを独占的に制御しようとします。そのようなシーケンサは、MIDI を使用する他のアプリケーションが開かれていると、警告を発したり、一部のポートの使用を拒否することがあります。DirectMusic Producer は、この種のシーケンサを正常に実行させるために、MIDI の使用を一時的に停止できます。この機能は、オーサリング環境を切り替えるときや、他のアプリケーションから DLS をトリガするという前述のシナリオで利用できます。

図 3 に示す、[Transport Options] ツールバーの [Toggle MIDI] ボタンをクリックして、MIDI のオン／オフを切り替えます。MIDI が解放されるまでにはしばらく時間がかかることがあり、解放が終了するとボタンがポップアップします。DirectMusic Producer を再度使用するときには、MIDI をオンに戻しておかないと、トランスポート ボタンは効果を持たず、音は再生されません。

図 3. [Toggle MIDI] ボタン

関連情報

DirectMusic Producer における MIDI の使い方の詳細については、DirectMusic Producer のヘルプを参照してください。

DLS 標準の詳細については、 http://www.midi.org の MIDI Manufacturers Association に問い合わせてください。

このシリーズの以下の記事では、DirectMusic Producer の使い方に関する詳しい情報を提供しています。