SQL Server 2005 機能紹介データ活用、分析最終更新日: 2007 年 2 月 7 日 このページの内容は公開・更新された当時のものです。 |
システムで処理されたデータの多くは、ある事業分野における動向調査のための重要な分析データ、あるいは問題の原因を突き止める証拠データなどとして、ビジネス シーンの中でさまざまなアウトプットとして活用されています。しかし同時にそのことは、データを活用するためのアプリケーション構築が常に発生し、そのデータ活用や分析プロセスの開発工数はシステム構築全体の大部分を占めていることを意味しています。SQL Server 2005 では、それらの問題を解決するために、蓄積されたデータを別のデータとして変換したり、レポートとしてアウトプットできる、操作性に富んだ優れた機能を備えています。ここでは、SQL Server 2005 のデータ活用、分析を行うための機能についてご紹介します。
※各機能のタイトルの下に表示されているアイコンは、対応するエディションを表しています。
Mobile Edition Express Edition Workgroup Edition Standard Edition Enterprise Edition SQL Server 2005 Service Pack 2
トピック
ビジネスで必要とされるデータ活用とデータ分析ビジネス プロセスの中では、蓄積されたデータを他のデータと統合させ別のアウトプット (帳票や分析レポート) に出力して利用することが良くあります。また、通常のシステム開発においてもレポート機能やログ出力機能などは必須機能となることが多くあります。たとえば、受注システムやオンライン ショップ、アンケートサイトでは必ず受注状況レポート、顧客分析レポート、日時売上帳票やアンケート結果レポートなど様々なレポートや分析が必要となります。こういったニーズに対し、レポートや分析機能を人間が手作業で行うには複雑すぎる上に、データの集計や計算でミスが発生しがちになります。また専用のレポート機能などを開発するにしても、プログラミングによって一から開発することは、時間とコストに負担がかかる上、汎用性がないものとなってしまうことも現状です。
ページのトップへ Integration Services※データ マイニングなどの高度な変換は Enterprise Edition のみとなります。 Integration Services では、データ ソースへの接続、制御フロー、各制御の内容を設定するデータ フローの設定によって、実行したい処理を定義します。各フローの設定は、あらかじめ定義されている制御機能をツールボックスからデザイナ画面にドラッグ アンド ドロップし、プロパティを設定するだけです。 各制御フロー、データ フローで発生したイベントについても、イベント ハンドラが用意されており、各イベントが発生するごとに制御フローを設定することができます。たとえば、エラーが発生した際の OnError イベント ハンドラや、警告が発生した際の OnWarning などをキャッチして、管理者にメールを送信することができます。こうしたエラーや想定外の処理動作に対しても、柔軟な設定を行うことができます。 制御フローでは、SQL のコマンドを実行したり、FTP (File Transfer Protocol) からデータを取得したり、データ制御を行うなどの、処理全体の流れを定義します。細かいデータの変換処理を設定する場合には、制御フローではデータ フロー タスク ツールボックスから配置し、そのデータ フロー タスクの内容をデータ フロー画面で設定します。 以下は制御フロー画面で、テーブル データの削除、ID 値のリセット、データ統合処理を行っています。 制御フローの設定 データ統合処理では、細かいデータ変換処理が必要となるため、データ フロー画面でその内容を設定します。 データフローの設定 上の図では細かいデータ変換処理を行っています。画面にあるように、他社データベース Oracle、Excel シートや商品 CSV からのデータ抽出を行うことができます。また、データをすべて 1 つのレコードに結合し、さらにレコード内にあるデータを計算して別の列を追加させるなどの柔軟なデータ処理も可能です。 Integration Services ではこのようなデータ処理のタスクの中に、Analysis Services で作成したキューブやマイニング機能を利用して予測データを生成する機能もあります。「キューブ処理」、「ディメンション処理」タスクは変更されたデータソースをキューブや設定したディメンションに対し、変更を反映させる処理です。また、「緩やかに変化するディメンション」タスクではディメンションの変更時の処理方法を定義し実行できるもので、例えば商品データのようなディメンションデータが変更された場合、それを変更された値で直接上書きしてしまうのか、それとも履歴を残しておくかなど、処理を選択することができます。これによって、その属性が変更される前と、変更された後の売上データなどを比較することが可能になります。 そのほかに、「データ マイニング クエリ」タスクでは、あらかじめ Analysis Services で作成したマイニング モデルを利用して、データを予測して出力することができます。 ページのトップへ Analysis Services※高度な機能については Enterprise Edition のみとなります。 Analysis Services では、分析レポートを作成するために、あるデータをさまざまな角度から見ることができるキューブや、マイニング モデルを利用したデータ分析を行うことができます。 キューブの作成には、キューブの対象データとなるデータ ソース接続の設定、データ ソースから必要となるデータ のみを設定できるデータ ソース ビューの設定、キューブの軸となるディメンションとディメンションによって変化するファクト データの設定により、キューブを設定します。これらは、すべてウィザードで簡単に設定することができます。 データソース設定ウィザード データソースビューの設定ウィザード データソースビュー キューブの設定ウィザード また、設定したキューブに対し、KPI (Key Performance Indicator、重要業績指標) などの指標を設定したり、ストレージの設定により MOLAP (Multi dimensional On Line Analytical Processing)、ROLAP (Relational On Line Analytical Processing) などの処理方法を設定することもできます。 ストレージの設定 SQL Server 2005 からは、プロアクティブ キャッシュがサポートされ、MOLAP の高速処理性に加え、リアルタイム性ももたせることができるようになりました。また、ストレージのオプションでは、キャッシュの自動更新間隔や、定期更新機能など細かく設定を行うことが可能です。 データ マイニング機能においては、9 種類のマイニング アルゴリズムが標準で搭載されており、これらを利用して、さまざまなデータ分析を行うことができます。またデータ マイニング機能においても、すべてをウィザード ベースで設定することができます。 データベース マイニング ウィザードでは、下記のマイニング アルゴリズムを提供しています。
データマイニングウィザード マイニングアルゴリズムの設定 マイニング結果 SQL Server 2005 SP2 に追加された新機能2007 Office System からのデータマイニング機能の利用 2007 Office System 用 Data Mining Add-ins (以降 Data Mining Add-ins) をインストールすることで、2007 Office System 上から SQL Server 2005 Analysis Services のデータマイニング機能を利用することができます。 Data Mining Add-ins をインストールすると、Microsoft Office Excel 2007 や Microsoft Office Visio 2007 に [データマイニング メニュー] が追加されます。 データマイニングには下記のメニューが用意されています。
また、Data Mining Add-ins では、様々な分析機能が用意されています。これらの機能は、ウィザードを使用して簡単に利用することができます。分析が成功すると、新しいウィンドウに結果が表示されます。 また、このウィンドウについている [Excel にコピー] ボタンを使用することで任意のシートに分析結果を貼り付けることもできます。 データモデリング「予測」による分析結果を Excel に貼り付けた状態 SQL Server 2005 Analysis Services の知識がなくとも、すぐに Analysis Service の詳細な分析機能を利用して、データの解析が行えます。 ページのトップへ Reporting Services※レポート ビルダは Express Edition には含まれません。 Reporting Services では、レポート作成を簡素化するための機能に加え、レポート管理画面の提供、レポート閲覧者へスケジュールに沿った配信、出力、さらには閲覧者が自分の閲覧したいデータを抽出してレポート作成できるレポート モデル機能を搭載しています。 レポートの作成では、SQL 文やクエリ デザイナを使用してレポートに表示する元データとなるデータ ソースの設定、次にレポート デザイナによるレポートの画面設定を行い、最後に作成したデータ ソースのデータを設定した画面にドラッグ アンド ドロップするといった手順で行います。 SQL Server 2000 では、キューブへ接続してデータソースを作成する場合、 MDX で記述しなければなりませんでしたが、SQL Server 2005 では MDX クエリデザイナが搭載されているため、GUI ベースで簡単にキューブを利用したデータソースを作成することができます。 また、閲覧者に公開する場合は、レポート サーバーへ配置したり、レポート マネージャからスケジュールを設定して、配信者へ Excel や PDF の形式で送信させることができます。 帳票や、分析データなどの大量のデータを処理してレポートを表示させるような場合には、閲覧するたびにサーバーに過大な負荷がかかります。そういった場合、スナップショットを作成し、ある一定の間隔で更新させるような設定を行えば、負荷を軽減させることができます。 さらに SQL Server 2005 では、Reporting Services にレポート モデル機能が搭載されており、レポートの基となるデータをあらかじめ設定することにより、ユーザーはそれらのデータを利用して必要なレポートを自由に作成できるようになります。 レポートモデルの作成 下図は、作成した レポート モデルを利用して、ユーザーがレポートを作成しています。 レポートモデルの利用 このレポート モデル機能は、ユーザーにレポートを作成させるだけでなく、ユーザーが作成したレポートを配信したり、サーバー上に配置して公開することも可能です。 Reporting Services では、こうようなレポートの作成、配信機能以外に、開発者が自分自身で作成したアプリケーションの中にレポートの作成、レポートの配信機能などを組み込むことができるように、Web サービスをサポートしています。これら Web サービスを利用して、自由にレポートや管理機能をカスタマイズすることが可能です。 また、Visual Studio 2005 では、Web サービスで提供しているレポート閲覧機能をより簡素化し、レポート閲覧機能を 1 つのコンポーネントとして提供しています。これによって、フォーム画面にドラッグ アンド ドロップしたレポート閲覧コンポーネントに、閲覧させたいレポートの URL を設定するだけで、簡単にアプリケーションにレポートを組み込むことが可能となります。 SQL Server 2005 SP2 に追加された新機能 1. SharePoint テクノロジと Reporting Services の統合 Windows SharePoint Services 3.0 または Microsoft Office SharePoint Server 2007 と同じ環境に、Microsoft SharePoint テクノロジ用 Microsoft SQL Server 2005 Reporting Services Add-in をインストールすることで、SharePoint ポータルサイトから統合的に Reporting Services を利用できるようになりました。他の表示形式へのエクスポートやページナビゲーション、検索、印刷など新しいレポートビューア Web パーツを使用したレポートの表示や、レポートビルダを使用してライブラリから既存のレポートビルダレポート定義ファイルの編集など、Report Server で作成したレポートの利用や管理を SharePoint ポータルサイトから統合的に行うことで利便性が向上します。 2. Hyperion Essbase データソースの利用 Reporting Services に Hyperion System 9.3 BI + Enterprise Analytics データソースに接続するための Microsoft .NET Data Provider for Hyperion Essbase が追加されました。この新しい処理拡張機能では、グラフィカルなクエリデザイナを利用して多次元式 (MDX) クエリを対話形式で作成できるため、Hyperion Essbase データベースのデータを利用して SQL Server 2005 上でレポートの構築が行えるようになりました。また、これらの多次元式 (MDX) クエリを Hyperion System 9 BI + Analytic Provider Services 9.3 に渡すことで、Hyperion Essbase データベース上でも実行できるようになります。Microsoft .NET Data Provider for Hyperion Essbase では Hyperion System 9.3 (現状では Beta 2) (以降、Hyperion System 9.3) が必要になります。Hyperion Essbase をデータソースとして使用する場合は、Hyperion System 9.3 をデータソースサーバー上にインストールしてください。 Microsoft .NET Data Provicer for Hyperion Essbase 3. Oracle データソースからのレポート生成 レポートマネージャや SQL Server Management Studio、モデルデザイナを使用して、Oracle データソースからレポートモデルを生成することができるようになりました。Oracle データソースからデータを使用するレポートを Reporting Services に構築することができるため、Oracle データベースのデータの分析をレポートビルダから行えるようになります。Oracle データソースバージョンは、9.2.0.3 以降に対応しています。 レポートモデルの Provider に Oracle を指定 ページのトップへ Excel によるレポート作成Reporting Services では、レポート設計者が設定した定型的なレポートしか閲覧させることはできません。しかし、経営者やアナリストにとっては、違う視点でレポートを表示させたい場合があります。たとえば、Reporting Services で公開されているレポートでは、日次単位の売上グラフや、部署別の売上推移しか確認できない場合、経営者側では、ある一部分にフォーカスした細かいデータが必要となる場合もあります。そのような場合、ユーザー ドリブンでレポートを作成できるような機能を提供する必要があります。 Excel には、Analysis Services で作成したキューブから、データを抽出して、さまざまな角度から自由にレポートを作成できる機能があり、外部データの取り込みメニューから データベース クエリによる機能を利用することによって、簡単にレポートを作成することができます。 下図のレポートの作成画面は、縦軸、横軸となるカテゴリ、また表示させるデータ フィールドを該当する場所にドラッグ アンド ドロップするだけで簡単に作成することができます。 Excel でのレポート作成 また、デフォルトで搭載されている Excel の外部データの取り込み機能では、 1 つのレポートに単一のデータソースしか利用できませんが、Excel Add-in for SQL Server Analysis Services を利用すれば複数のデータソースを利用して、より高度なレポートを作成することができます。Excel Add-in for SQL Server Analysis Services は無償でダウンロードすることができます。 ページのトップへ |
関連サイトSQL Server 2005 Webcast シリーズ 技術情報 - TechNet
|