Web サーバーからのストリーム配信

Bill Birney
Microsoft Corporation

October 2000

概要: この記事では、Windows Media サーバーまたは Web サーバーを使用してメディアをストリーム配信する方法を説明します。

Microsoft(R) Windows Media(TM) テクノロジーの Web サーバー ストリーミング機能を使用すると、どんな Web サイトでもマルチメディア コンテンツを容易にストリーム配信することができます。Web サーバーから Windows Media コンテンツをストリーム配信するには、Web サーバーに Windows Media Multipurpose Internet Mail Extensions (MIME) タイプを追加して、テキスト エディタで拡張子 .wax、.wvx、または.asxの単純なWindows Media メタファイルを作成して、コンテンツをサーバーにコピーします。Windows Media Player を持っているエンド ユーザーは誰でも、あなたのサイトに接続して、オーディオとビデオをストリーム配信することができます。後で、ストリーミング メディアの使用を拡大することに決めたときには、Web サイトに Windows Media サーバーを追加して、Windows Media テクノロジーの機能をフルに活用することができます。

  • Windows Media コンテンツのホスト。 このセクションでは、メディアをストリーム配信する 2 つの方法、すなわち、Windows Media サーバーを使用する方法と Web サーバーを使用する方法を説明します。

  • MIME タイプの設定。 このセクションでは、Windows Media サーバーに MIME タイプを追加する方法を説明します。

  • コンテンツの準備。 このセクションでは、コンテンツのエンコード方法と、リダイレクタ ファイルの作成方法を説明します。

  • Windows Media サーバー対 Web サーバーの使用。 このセクションは、どちらのサーバーが適しているか判断する上で役立ちます。

注: この記事の終わりの「詳細について」に、追加のリソースがあります。

Windows Media コンテンツのホスト

Windows Media コンテンツをネットワーク経由でストリーム配信するには 2 つの方法があります。

  • Windows Media サーバーを使用する。コンテンツをストリーム配信するための理想的な方法は、Microsoft Windows Media(TM) サービスを実行している Microsoft Windows NT(R) Server または Windows(R) 2000 Server から行うことです。Windows Media サービスは、インターネット上またはイントラネット上で Windows Media コンテンツのストリーム配信と管理を行うための特別な要件を処理するように設計されています。Windows Media サービスは、ライブ ブロードキャストや、現在の帯域幅に従ってそれぞれのクライアント ストリームのビット レートを自動的に調節するインテリジェント ストリーミングなどの機能を提供します。Windows Media サービスは、パワフルなロギングやその他の機能も備えています。Windows Media ユニキャスト プロトコル(Microsoft Media Server (MMS)プロトコル)を使用して、または Hypertext Transfer Protocol (HTTP)によってストリーム配信することができます。HTTP を使用すると、ほとんどのファイアウォール構成を通じてストリーム配信することができます。Windows Media サービスは、Microsoft Web サイトの Windows Media テクノロジーページから無償でダウンロードすることができます。 Windows Media サービスは、Windows 2000 Server には含まれています。

  • Web サーバーを使用する。どんな Web サーバーでも、Windows Media ストリーミング コンテンツをホストすることができます。Windows Media サーバーからのストリーミングには多くの利点があります。しかし、たとえば、少数のオーディオ クリップを提供するだけの場合や、サイトを開設したばかりで、サーバーを追加するのためのリソースが限られている場合には、Web サーバー ストリーミングが最良の選択肢かもしれません。既存の Web サーバーを使用できるので、Windows Media テクノロジーを使用して、インターネットまたはイントラネットですぐにストリーム配信することができます。

Web サーバー ストリーミングの準備として行わなければならない作業は、ごくわずかです。その作業の 1 つは、Web サーバーに Windows Media MIME タイプを追加することです。

MIME タイプの設定

Windows Media コンテンツをストリーム配信する前に、Windows Media MIME タイプを認識するように、Web サーバーを設定する必要があります。Web サーバーの MIME タイプが正しく設定されていないと、多くの予期しない結果が生じるおそれがあります。

Web サーバー MIME タイプがセットアップされていなかった場合、Windows Media Player が起動してコンテンツを再生する代わりに、メディア ファイルをダウンロードするように促すメッセージがエンド ユーザーに対して表示されます。また、.wvx、.waxまたは.asx MIME タイプがセットアップされていないと、ファイルの内容は Windows Media Player によって開かれる代わりに、エンド ユーザーのブラウザに表示されます。

ほとんどあらゆるタイプの Web サーバーは、MIME タイプの追加、編集、および削除の方法が異なります。ほとんどのサーバーでは、管理プログラムを使用するか、設定ファイルを編集します。 さまざまなWebサーバー上での MIME タイプの設定については、「Windows Media Service の MIME タイプ設定」を参照してください。

インターネット サービス プロバイダ (ISP) を使用してコンテンツをホストする場合で、ISP の Web サーバーに Windows Media MIME タイプがない場合には、ISP に連絡して、これらの MIME タイプを追加するように要求してください。Web サーバーの MIME タイプを自分で設定できる場合には、次の表の情報を使用してください。

インターネット サービス プロバイダ (ISP) を使用してコンテンツをホストする場合、ISP の Web サーバーに Windows Media MIME タイプがない場合には、ISP に連絡して、これらの MIME タイプを追加するように要求してください。Web サーバーの MIME タイプを自分で設定できる場合には、次の表の情報を使用してください。

File extension MIME type
.asf video/x-ms-asf
.asx video/x-ms-asf
.wma audio/x-ms-wma
.wax audio/x-ms-wax
.wmv video/x-ms-wmv
.wm video/x-ms-wm
.wmx video/x-ms-wmx
.wmz application/x-ms-wmz
.wmd application/x-ms-wmd

サーバーに MIME タイプをセットアップすることに加えて、エンド ユーザーのブラウザでも MIME タイプをセットアップする必要があります。しかし、通常は、Web サーバーのように手動でセットアップする必要はありません。Windows Media Player がエンド ユーザーのコンピュータにインストールされるときに、ブラウザの MIME タイプが自動的にインストールされます。MIME タイプ問題が発生した場合には、多くの場合、Windows Media Player を再びインストールすることによって修正することができます。ブラウザの自動的な設定が許されていない場合には、Web サーバーと同じ MIME タイプ情報を使用して、手動で MIME タイプを設定することができます。

コンテンツの準備

Windows Media Player は、Windows Media サーバー、Web サーバー、ネットワーク サーバー、またはローカル ハード ディスクのどこにファイルがある場合でも、基本的には同じようにオーディオおよびビデオ コンテンツを再生することができます。サーバーは、メディア自体の品質には影響を与えません。サーバーが影響を与えるのは、メディアを含んでいるデータ パケットが Windows Media Player に配信される方法です。Windows Media サーバーは、Windows Media Player を実行しているクライアント コンピュータへのネットワーク接続が混雑していて低帯域幅であっても対処できるように設計されています。このセクションでは、コンテンツをエンコードする前に考慮すべきことを述べた後、Web サーバー ストリーミングのために Windows Media エンコーダを設定する手順を示します。

コンテンツをエンコードする前に考慮すべきこと

Windows Media サーバーの代わりに Web サーバーを使用してストリーム配信する場合には、以下の点を念頭におく必要があります。

  • Web サーバーはストリーミング メディア向けに設計されているわけではないので、バッファリングの間、再生が中断されることがあります。バッファリングは、Windows Media Player がオーディオおよびビデオ データ パケットを受信する速度が十分でないときに発生します。Windows Media Player が再生を続けるためには、停止して、メモリ バッファを再び満たさなければなりません。これを是正するには、Windows Media サーバーからストリーム配信される場合よりも低いビット レートでファイルをエンコードする必要があるかもしれません。

  • " マルチ ビット レートでエンコードされたファイルをストリーム配信することはできません。マルチ ビット レート ファイルは、Windows Media エンコーダを使用して作成することができます。マルチ ビット レート ファイルは、それぞれ異なるビット レートでエンコードされた複数のビデオ ストリームを含んでいます。マルチ ビット レート ファイルによって、サーバーはインテリジェント ストリーミングを行うことができます。インテリジェント ストリーミングを使用している場合、Windows Media Player は現在のネットワーク条件に関して Windows Media サーバーにフィードバックを送ります。Windows Media サーバーは、ファイルに含まれているストリームの中から、現在の帯域幅に最も適したビデオ ストリームを配信します。Web サーバーにはインテリジェント ストリーミングを扱うためのメカニズムはないので、マルチ ビット レート ファイルをホストすることはできません。

    手順

    以下の手順では、Web サーバー ストリーミングのために Windows Media エンコーダ7を設定する方法を説明します。Windows Media エンコーダ7は、Microsoft Web サイトの Windows Media テクノロジーページ からダウンロードすることができます。以下の手順では、次のことを説明します。

    • Windows Media エンコーダ7を構成してファイルをエンコードする方法。
    • Windows Media メタファイルを作成する方法。
    • HTML ファイルにタグを追加する方法。

    Windows Media エンコーダ7を構成してファイルをエンコードするには

    • [セッション]メニューから、[新しいセッションウィザード]をクリックします。
    • [セッションの選択]画面で、[オーディオまたはビデオファイルをWindows Mediaファイルに変換する]を選択します。
    • [ファイルの選択]画面で、変換したいファイル名と作成したいファイル名を入力します。
    • [出力ファイルの配布]画面で、[Webサーバーからストリーム配信、またはコンピュータ上で直接再生する]を選択します。この選択をした時点で、Webサーバー用にファイルをエンコードする際に使用できるプロファイルのみが、次の画面で表示されます。
    • [プロファイルの選択]画面で、リストから適切なプロファイルを選択します。
    • 次の画面で表示情報を入力し、その次の画面で設定を確認します。
    • ウィザードを閉じた後、エンコードを開始するために[開始]をクリックします。

    Windows Media エンコーダがソース情報のエンコードを開始するまでに数秒かかります。[モニタ] にある [進行状況] によって、コンテンツがエンコードされていることを確認できます。

    新しいプロファイルを編集または作成したい場合は、[プロファイルの選択] 画面で [プロファイルの作成と管理] をクリックします。Windows Media エンコーダ 7 とともに導入されたシステムプロファイルは、直接編集することはできません。システムプロファイルを編集するには、コピーを作ってから、そのコピーを編集してください。プロファイルが、Web サーバー上からストリーム可能なファイルをエンコードできるよう構成できたかどうかを確認するには、[プロファイルの編集] の [配信対象の選択] 画面で [配信対象] がひとつだけ選択されていることを確認してください。

    注: プロファイルの作成と管理は、帯域幅容量、メディア設定、および CODEC の使用方法に精通しているユーザーのために用意されています。詳細については、Windows Media エンコーダのヘルプ マニュアルを参照してください。

    Windows Media メタファイルを作成するには

    • Microsoft(R) メモ帳などのテキスト エディタを開きます。

    • 次のようなメタファイルスクリプトを入力します。URL は、あなたのメディアの URL に置き換えてください。他の Web ファイルと同じように、メディアを参照します。

      
      <ASX VERSION="3.0">
      <ENTRY>
      <REF HREF="http://YourWebServer/Path/YourFile.asf" />
      </ENTRY>
      </ASX>
      
    • メタファイルは、メディアと同じフォルダに置くことができます。その場合は、相対パス(ファイルの名前だけ)を使用することができます。REF 行は次のようになります。

      
      <REF HREF="YourFile.wmv" />
      
    • メタファイルが拡張子 .wmv のファイルを参照している場合は、メディア ファイルの名前の後に . wvx 拡張子を付けて、テキスト ファイルを保存します(例: YourFile.wvx)。メタファイルが拡張子 .wma のファイルを参照している場合は、拡張子は .wax とします。 (例: YourFile.wax)。拡張子 .asx は以前のバージョンの Windows Media テクノロジーで使用されていました。

    HTML ファイルにタグを追加するには

    • Microsoft メモ帳などのテキスト エディタを使用して、メディアの参照を追加したい Web ページを開きます。

    • メタファイルの URL を追加します。 例:

      
      <HTML>
      <BODY>
      Play this Windows Media file:  
      <A href="http://YourWebServer/Path/YourFile.asx">
      YourFile</A>
      </BODY>
      </HTML>
      
    • Windows Media ファイル (拡張子.wma、.wax、.wmv、および .wvx) を Web サーバーにコピーします。

    エンド ユーザーが Web ページ上の参照をクリックすると、メタファイルがダウンロードされて、Windows Media Player が開きます。Windows Media Player はメタファイルを開き、次に Web サーバーからWindows Mediaファイルを開いて再生します。

Windows Media サーバー対 Web サーバーの使用

Windows Media サーバーの使用は、多くの場合、メディアをストリーム配信するための最良の方法です。Windows Media サービスは特にストリーミング メディアを目的として設計され、すべての Windows Media コンポーネントが連携動作して、エンド ユーザー経験を強化するからです。たとえば、インテリジェント ストリーミングには、Windows Mediaエンコーダ、Windows Media サービス、および Windows Media Player が必要です。これらの機能は、Windows Media サーバーからストリーム配信する場合にだけ使用可能です。しかし、ときには、Web サーバー ストリーミングの方が適している場合もあります。特に、少数のオーディオ クリップを提供するだけの場合や、サイトを開設したばかりでリソースが限られている場合などです。このセクションでは、Windows Media サーバーと Web サーバーの機能を比較して、どちらのオプションが適しているかを判断する方法を述べます。

サーバー機能の比較

それぞれのタイプのサーバー機能の比較を次の表に示します。

機 能 Windows Media
サービス
Web サーバー
ほとんどのファイアウォールを通過してストリーム配信 × ×
ダウンロードせずにストリーム配信 × ×
Digital Rights Management コンテンツをストリーム配信 × ×
Windows Media セキュリティ ×
ブロードキャスト(ライブ) ×
インテリジェント ストリーミング ×
Windows Media コンテンツのストリーミングのために最適化されている ×
インデックス化 ×
管理とロギング ×

以下に、それぞれの機能について説明します。Web サーバーが提供できる機能だけに興味がある場合は、Web サーバー ストリーミングがあなたにとっての正解かもしれません。

  • ほとんどのファイアウォールを通過してストリーム配信 ファイアウォールは、インターネットとプライベート ネットワークまたはイントラネットの間を流れる情報をフィルタ処理する交通巡査の役目を果たす特別なサーバーです。多くのファイアウォールは、Windows Media ストリームなど、Web サーバー以外からのデータをブロックするようにセットアップされます。このデータをイントラネットに通すようにファイアウォールの設定を変更することができます。あるいは、ストリームの配信者は HTTP ストリーミングによってストリームを提供するという方法もあります。Web サーバーは、HTTP を使用してストリーム配信します。Windows Media サーバーも、サーバーを設定するときに HTTP ストリーミングを有効にすることによって、HTTP をストリーム配信することができます。

  • ダウンロードせずにストリーム配信 メディアに直接リンクするのではなく、リダイレクタ ファイルにリンクした場合は、コンテンツは適切に設定された Web サーバーからストリーム配信されます。

  • Digital Rights Management コンテンツをストリーム配信 Microsoft(R) Windows Media Rights Manager を使用してパッケージングされたコンテンツの場合には、どちらのタイプのサーバーでもストリーム配信とダウンロードの両方を利用することができます。Windows Media Rights Manager は、コンテンツ所有者がライセンスされたデジタル メディアを優れた音質でインターネットを介して配布するために役立ちます。

  • Windows Media セキュリティ セキュリティ機能を使用して、Windows Media サーバー上のメディアへのアクセスを制限することができます。高度なセキュリティ機能を使用すると、ペイ パー ビュー コンテンツを実現することができます。

  • ブロードキャスト (ライブ) ブロードキャスト ストリームの再生は、ストリームの配信元で制御され、ライブ ストリーミングも含まれます。ブロードキャストの一例としては、ライブのラジオおよびテレビ信号や、特別な 1 回限りのイベントのストリーミングがあります。

  • インテリジェント ストリーミング すでに述べたように、この機能は Windows Media サーバーと Windows Media Player の間の対話によって、現在の帯域幅に応じてストリームを最適化することを必要とします。

  • Windows Media コンテンツのストリーミングのために最適化されている Windows Media サービスは、ストリーミング メディアの特別な要件を考慮して設計されています。たとえば、Windows Media サービスは、ストリーミングの際に、Web サーバーよりも効率的にコンピュータ上のリソースを利用することができます。Windows Media サーバーは、コンピュータの CPU とネットワーク帯域幅をより効率的に利用することによって、1 台のコンピュータにより多くの同時ストリームを配信することができます。

  • インデックス化 この機能によって、エンド ユーザーはストリーム配信されているファイルを早送りしたり、巻き戻すことができます。この機能は、Windows Media サーバーと Windows Media Player の間の対話を必要とします。

  • 管理とロギング Windows Media(TM) アドミニストレータを使用すると、Windows Media サーバーによるライブ コンテンツとファイルの管理方法を制御して、全体的なシステム活動をリアルタイムで監視することができます。Windows Media アドミニストレータは、個別のクライアントの接続情報とサーバー イベントなどのデータを含む詳細なログを作成することもできます。

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