PDC 2008

Windows 7 における圧縮オーディオ形式

更新日: 2009 年 4 月 28 日


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PDC08_CA_Compression_Formats_JPN.doc (Word 形式、124 KB)


目次:

  1. はじめに
  2. アプリケーション向けの新形式のサポート
  3. オーディオ ドライバーでの形式サポート
  4. サブフォーマットの GUID
  5. WAVEFORMATEXTENSIBLE_IEC61937 およびKSDATARANGE_AUDIO の例
    1. DD+ (Dolby Digital Plus) 形式
    2. Dolby TrueHD (MAT)
    3. WMA Pro
  6. 詳細情報

Kristin Carr
Microsoft Corporation
2008 年 10 月

対象:

Windows® SDK (Core Audio API)

Windows 7

要約:

このホワイトペーパーでは、IEC 61937 準拠のインターフェイス経由で送信されるエンコード済みオーディオ ストリームの形式を記述するために、アプリケーションやクラス ドライバーで使用する構造体について説明します。アプリケーションで新しい圧縮オーディオ形式を表すために、WAVEFORMATEXTENSIBLE_IEC61937 構造体 (Windows 7 で導入) を使用できます。クラス ドライバーではオーディオ形式用のデータ範囲を公開するために KSDATARANGE_AUDIO 構造体を使用できます。

法的通知:

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1. はじめに

圧縮オーディオ形式を必要とするメディア ストレージ デバイスの増加に伴い、アプリケーションでは、コンテンツを PC から HD (High Definition) ディスクなどのデバイスに転送する際に、さまざまなエンコード済みオーディオ コンテンツを新しく識別、定義、および使用する必要が生じています。ここでは、アプリケーションやオーディオ クラス ドライバーでこうした新形式をサポートするために、Windows® 7 で加えられた変更点の概要について説明します。

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2. アプリケーション向けの新形式のサポート

IEC 61937 準拠のインターフェイス経由で送信されるエンコード済みオーディオ ストリームの形式を表すには、アプリケーションで次の情報を指定する必要があります。

  • 送信前のエンコード済みオーディオ ストリームの特性
  • 送信先デバイスでデコード後のオーディオ ストリームの特性

Windows Vista® 以前の Windows オペレーティング システムでは、オーディオ形式を使用するオーディオ ストリームのチャンネル数、サンプル サイズ、およびデータ速度から、その形式の品質レベルをアプリケーションで推測できます。PCM 形式の場合、この情報は、形式を指定する WAVEFORMATEX 構造体の nChannels メンバー、nSamplesPerSec メンバー、および nAvgBytesPerSec メンバーから取得できます。PCM 以外の形式の場合、これら 3 つのメンバーが、オーディオ ストリームの圧縮データに関する情報を格納するために流用されています。そのため、WAVEFORMATEX 構造体では、PCM 以外のオーディオ ストリームの圧縮解除および再生後の有効なチャンネル数、サンプル サイズ、およびデータ速度に関する情報が不足します。この構造体の情報を基にすると、ユーザーやアプリケーションでは、PCM 以外のストリームの品質レベルの推測が困難になります。

そこで、WAVEFORMATEX 構造体が WAVEFORMATEXTENSIBLE 構造体に拡張され、ストリームのその他の特性を提供するようになりました。ただし、この構造体も IEC 61937 送信のストリームの記述には適していません。これは、この構造体が 1 セットの特性を表すことを目的としており、圧縮解除されたマルチチャンネル PCM データ用に使用されるためです。

Windows 7 では、オペレーティング システムでこの問題に対処するため、WAVEFORMATEXTENSIBLE_IEC61937 構造体という新しい構造体をサポートします。この構造体は WAVEFORMATEXTENSIBLE 構造体を拡張し、2 セットのオーディオ ストリームの特性 (送信前のエンコード済みオーディオ形式とデコード後のオーディオ ストリームの特性) を格納します。新しい構造体では、PCM 以外の形式の有効チャンネル数、サンプル サイズ、およびデータ速度を明確に指定できます。これらの情報を使用すれば、圧縮解除および再生後でも PCM 以外のストリームの品質レベルをアプリケーションで推測できます。

次の WAVEFORMATEXTENSIBLE_IEC61937 構造体は、Windows 7 SDK 付属の KsMedia.h ヘッダーで宣言されています。

typedef struct {
  WAVEFORMATEXTENSIBLE  FormatExt; // リンク経由でストリーミングされる
                                                           // エンコード済みデータの形式
  DWORD   dwEncodedSamplesPerSec;      // デコード後のオーディオのサンプリング レート
  DWORD   dwEncodedChannelCount;        // デコード後のオーディオのチャンネル数
  DWORD   dwAverageBytesPerSec;          // コンテンツのビット レート (バイト単位)
                                                             // ビット レートは 0 にもできます。
} WAVEFORMATEXTENSIBLE_IEC61937, *PWAVEFORMATEXTENSIBLE_IEC61937;

FormatExt メンバーは、送信前のストリーム特性が格納される WAVEFORMATEXTENSIBLE 構造体です。WAVEFORMATEXTENSIBLE 構造体の Format メンバーは、WAVEFORMATEX 構造体です。この WAVEFORMATEX 構造体と WAVEFORMATEXTENSIBLE 構造体の内容で、構造体を WAVEFORMATEXTENSIBLE_IEC61937 構造体として解釈できるかどうかをアプリケーションに示します。WAVEFORMATEXTENSIBLE_IEC61937 構造体として解釈させる場合は、次のように指定します。

  • WAVEFORMATEX 構造体の wFormatTag メンバーには、WAVE_FORMAT_EXTENSIBLE を含める必要があります (FormatExt.Format.wFormatTag = WAVE_FORMAT_EXTENSIBLE)。
  • WAVEFORMATEXTENSIBLE 構造体の SubFormat メンバーでは、送信前のエンコード済み形式の GUID を指定します。たとえば、FormatExt.SubFormat = KSDATAFORMAT_SUBTYPE_IEC61937_DOLBY_DIGITAL は、DD+ (Dolby Digital Plus) 形式を表します。サポートされている GUID については、「サブフォーマットの GUID」を参照してください。
  • WAVEFORMATEX 構造体の cbSize メンバーで示されるサイズは 34 バイトです (FormatExt.Format.cbSize = 34)。WAVEFORMATEXTENSIBLE_IEC61937 構造体の合計サイズは 52 バイトです。

WAVEFORMATEXTENSIBLE_IEC61937 構造体の dwEncodedSamplesPerSec メンバー、dwEncodedChannelCount メンバー、および dwAverageBytesPerSec メンバーでは、デコード後のオーディオ ストリームのサンプリング レート、チャンネル数、およびストリームのビット レート (バイト単位) を定義します。

WAVEFORMATEX 構造体および WAVEFORMATEXTENSIBLE 構造体の詳細については、Windows DDK のドキュメントを参照してください。

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3. オーディオ ドライバーでの形式サポート

オーディオ ミニポート ドライバーでサポートするオーディオ形式を公開するには、ドライバーでエンドポイントの音声データのピンに関する "データ範囲" を指定します。データ範囲は、KSDATARANGE_AUDIO 構造体で表されるオーディオ形式を定義します。

次の KSDATARANGE_AUDIO 構造体は、Windows 7 SDK 付属の KsMedia.h ヘッダーで宣言されています。

typedef struct
{
    KSDATARANGE DataRange;
    ULONG MaximumChannels;
    ULONG MinimumBitsPerSample;
    ULONG MaximumBitsPerSample;
    ULONG MinimumSampleFrequency;
    ULONG MaximumSampleFrequency;
}KSDATARANGE_AUDIO,*PKSDATARANGE_AUDIO;

DataRange メンバーは、KSDATARANGE 構造体で初期化済みの変数です。この構造体の内容は、KSDATARANGE_AUDIO によって表されるデータ範囲の種類、およびデータ範囲のオーディオ サブフォーマットの GUID を指定します。KSDATARANGE 構造体は、圧縮解除後の LPCM コンテンツを表すことができますが、IEC 61937 送信用のエンコード済みオーディオ コンテンツの記述に限定されます。1 セットの KSDATARANGE_AUDIO 構造体で形式の機能を公開するために音声データのピンに依存するコンポーネントとの互換性を維持するようには、この構造体は拡張されていません。

Windows 7 でも、オーディオ ドライバーは引き続き 1 セットの KSDATARANGE_AUDIO 構造体を公開します。IEC 61937 形式の場合、この構造体に含まれる値は、送信前のエンコード済みオーディオ ストリームの構成を示し、デコード後のコンテンツのパラメーターは示しません。クライアント (オーディオ エンジンやアプリケーション) では、KSPROPERTY_PIN_PROPOSEDATAFORMAT プロパティおよび KSPROPERTY_PIN_DATAINTERSECTION プロパティを使用して、サンプリング レート、チャンネル数など、特定のデコーダー機能を取得できます。これらのプロパティは、指定したデータ形式がピンでサポートされているかどうかを判断するために使用します。プロパティの要求は、オーディオ クラス ドライバーが Windows 7 のオーディオ ミニポート ドライバーからプロパティを要求するのと同じ方法で処理されます。これらのプロパティは、Windows DDK および Windows SDK に付属する Ks.h で宣言されています。

: ユーザー モードのオーディオ エンジンの IAudioClient::IsFormatSupported メソッドでは、これらのプロパティ値を使用して、特定の形式に対するエンドポイントのサポートを判断します。

KSDATARANGE_AUDIO 構造体、KSDATARANGE 構造体、および KS のプロパティの詳細については、Windows DDK のドキュメントを参照してください。

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4. サブフォーマットの GUID

Windows® 7 では、KsMedia.h ヘッダーに、CEA-861-D で定義される圧縮オーディオ形式に対するサブフォーマットの GUID 定義が含まれています。GUID は、WAVEFORMATEXTENSIBLE_IEC61937 構造体の FormatExt メンバーで指定される WAVEFORMATEXTENSIBLE 構造体の SubFormat メンバーで指定されます (WAVEFORMATEXTENSIBLE_IEC61937.FormatExt.Subformat)。ドライバーの場合、GUID は KSDATARANGE_AUDIO 構造体に含まれる KSDATARANGE 構造体の SubFormat メンバーに格納されます (KSDATARANGE_AUDIO.DataRange.SubFormat)。

次の表に、標準 IEC 61937 エンコード済みオーディオ形式として使用できる圧縮オーディオ形式の GUID を示します。これらの形式は、Windows での既存の Active Coding 3 (AC-3) 形式、および Digital Theater Sound (DTS) 形式の表記に似ています。

CEA 861 の種類 サブフォーマットの GUID 説明
0x00   ストリームを指します。
0x01 00000000-0000-0010-8000-00aa00389b71
KSDATAFORMAT_SUBTYPE_WAVEFORMATEX
IEC 60958 PCM
0x02 00000092-0000-0010-8000-00aa00389b71
KSDATAFORMAT_SUBTYPE_IEC61937_DOLBY_DIGITAL
AC-3
0x03 00000003-0cea-0010-8000-00aa00389b71
KSDATAFORMAT_SUBTYPE_IEC61937_MPEG1
MPEG-1 (Layer 1 & 2)
0x04 00000004-0cea-0010-8000-00aa00389b71
KSDATAFORMAT_SUBTYPE_IEC61937_MPEG3
MPEG-3 (Layer 3)
0x05 00000005-0cea-0010-8000-00aa00389b71
KSDATAFORMAT_SUBTYPE_IEC61937_MPEG2
MPEG-2 (マルチチャンネル)
0x06 00000006-0cea-0010-8000-00aa00389b71
KSDATAFORMAT_SUBTYPE_IEC61937_AAC
Advanced Audio Coding (ADTS の MPEG-2/4 AAC)
0x07 00000008-0000-0010-8000-00aa00389b71
KSDATAFORMAT_SUBTYPE_IEC61937_DTS
DTS
0x0a 0000000a-0cea-0010-8000-00aa00389b71
KSDATAFORMAT_SUBTYPE_IEC61937_DOLBY_DIGITAL_PLUS
Dolby Digital Plus
0x0f 未使用 予約済み

 

次の表に、高ビット レートのオーディオ サンプル パケットで送信される圧縮オーディオ形式の GUID を示します。

CEA 861 の種類 サブフォーマットの GUID 説明
0x0b 0000000b-0cea-0010-8000-00aa00389b71
KSDATAFORMAT_SUBTYPE_IEC61937_DTS_HD
DTS-HD (24 ビット、96 kHz)
0x0c 0000000c-0cea-0010-8000-00aa00389b71
KSDATAFORMAT_SUBTYPE_IEC61937_DOLBY_MLP
MAT(MLP) – Meridian Lossless Packing (Dolby Digital TrueHD – 24 ビット 196 kHz/最高 18 Mbps、8 チャンネル)
0x0e 00000164-0000-0010-8000-00aa00389b71
KSDATAFORMAT_SUBTYPE_IEC61937_WMA_PRO
Windows Media オーディオ (WMA) Pro

 

次の表に、HD オーディオ クラス ドライバーでサポートされていない、サードパーティ製のソリューションで実装可能な圧縮オーディオ形式の GUID を示します。

CEA 861 の種類 サブフォーマットの GUID 説明
0x08 00000008-0cea-0010-8000-00aa00389b71
KSDATAFORMAT_SUBTYPE_IEC61937_ATRAC
Adaptive Transform Acoustic Coding (ATRAC)
0x09 00000009-0cea-0010-8000-00aa00389b71
KSDATAFORMAT_SUBTYPE_IEC61937_ONE_BIT_AUDIO
1 ビット オーディオ
0x0d 0000000d-0cea-0010-8000-00aa00389b71
KSDATAFORMAT_SUBTYPE_IEC61937_DST
DST

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5. WAVEFORMATEXTENSIBLE_IEC61937 および KSDATARANGE_AUDIO の例

ここでは、エンコード済みオーディオ コンテンツを IEC 61937 および IEC 60958 準拠のインターフェイス経由で送信するための WAVEFORMATEXTENSIBLE_IEC61937 構造体と KSDATARANGE_AUDIO 構造体の値の例について説明します。

a. DD+ (Dolby Digital Plus) 形式

DD+ (Dolby Digital Plus) 形式のコンテンツが IEC 60958 経由で送信される場合、リンクのサンプリング レートは、コンテンツのサンプリング レートの 4 倍でなければなりません。DD+ では、コンテンツのサンプリング レートとして 32 kHz、44.1 kHz、および 48 kHz がサポートされます。HDMI などのインターフェイスでは、128 kHz (32 kHz の 4 倍) がサポートされないため、コンテンツのサンプリング レートとしては 44.1 kHz と 48 kHz のみがサポートされます。

WAVEFORMATEXTENSIBLE_IEC61937 の例

次の例に、コンテンツのサンプリング レートが 48 kHz の DD+ 形式を表すために、アプリケーションから WAVEFORMATEXTENSIBLE_IEC61937 構造体に設定する値を示します。

WAVEFORMATEXTENSIBLE_IEC61937 wfext;

Wfext.FormatExt.Format.wFormatTag = WAVE_FORMAT_EXTENSIBLE;

wfext.FormatExt.Format.nChannels = 2; // IEC 60958 1 回線

wfext.FormatExt.Format.nSamplesPerSec = 192000; // リンクを 192 kHz で実行

wfext.FormatExt.Format.nAvgBytesPerSec = 768000; // 192 KHz * 4

wfext.FormatExt.Format.nBlockAlign = 4; // 16 ビット * 2 チャンネル

wfext.FormatExt.Format.wBitsPerSample = 16; // IEC 60958 経由では常に 16 ビット

wfext.FormatExt.Format.cbSize = 34; // Format が WAVEFORMATEXTENSIBLE_IEC61937

                                                                    // 構造体の一部であることを示します。

wfext.FormatExt.Samples.wValidBitsPerSample = 16;

wfext.FormatExt.dwChannelMask = KSAUDIO_SPEAKER_5POINT1; // ドルビー 5.1 サラウンド

wfext.FormatExt.SubFormat = KSDATAFORMAT_SUBTYPE_IEC61937_DOLBY_DIGITAL_PLUS;

wfext.dwEncodedSamplesPerSec = 48000; // エンコード済みコンテンツのサンプリング レート

wfext.dwEncodedChannelCount = 6; // エンコード済みデータのチャンネル数は 6

wfext.dwAverageBytesPerSec = 0; // この形式では無視されます。

KSDATARANGE_AUDIO の例

完全に機能する DD+ (Dolby Digital Plus) デコーダー (44.1 kHz および 48 kHz のサポート) を備えた HDMI シンクの場合、クラス ドライバーからは次のデータ範囲が報告されます。

次の例に、コンテンツのサンプリング レートが 48 kHz の場合にクラス ドライバーから報告されるデータ範囲を示します。

KSDATARANGE_AUDIO drDDPlus48;

drDDPlus48.DataRange.FormatSize = sizeof(KSDATARANGE_AUDIO);

drDDPlus48.DataRange.Flags = 0; // 無視されます。

drDDPlus48.DataRange.SampleSize = 0; // 無視されます。

drDDPlus48.DataRange.Reserved = 0;

drDDPlus48.DataRange.MajorFormat = KSDATAFORMAT_TYPE_AUDIO;

drDDPlus48.DataRange.SubFormat = KSDATAFORMAT_SUBTYPE_IEC61937_DOLBY_DIGITAL_PLUS;

drDDPlus48.DataRange.Specifier = KSDATAFORMAT_SPECIFIER_WAVEFORMATEX;

drDDPlus48.MaximumChannels = 2; // IEC 60958 1 回線

drDDPlus48.MinimumBitsPerSample = 16; // すべてのエンコード済みデータは IEC 60958 を

drDDPlus48.MaximumBitsPerSample = 16; // 経由して、16 ビットで送信されます。

drDDPlus48.MinimumSampleFrequency = 192000; // 48 KHz * 4

drDDPlus48.MaximumSampleFrequency = 192000;

次の例に、コンテンツのサンプリング レートが 44.1 kHz の場合にクラス ドライバーから報告されるデータ範囲を示します。

KSDATARANGE_AUDIO drDDPlus44;

drDDPlus44.DataRange.FormatSize = sizeof(KSDATARANGE_AUDIO);

drDDPlus44.DataRange.Flags = 0 // 無視されます。

drDDPlus44.DataRange.SampleSize = 0 // 無視されます。

drDDPlus44.DataRange.Reserved = 0;

drDDPlus44.DataRange.MajorFormat = KSDATAFORMAT_TYPE_AUDIO;

drDDPlus44.DataRange.SubFormat = KSDATAFORMAT_SUBTYPE_IEC61937_DOLBY_DIGITAL_PLUS;

drDDPlus44.DataRange.Specifier = KSDATAFORMAT_SPECIFIER_WAVEFORMATEX;

drDDPlus44.MaximumChannels = 2; // IEC 60958 1 回線

drDDPlus44.MinimumBitsPerSample = 16; // すべてのエンコード済みデータは IEC 60958 を

drDDPlus44.MaximumBitsPerSample = 16; // 経由して、16 ビットで送信されます。

drDDPlus44.MinimumSampleFrequency = 176400; // 44.1 KHz * 4

drDDPlus44.MaximumSampleFrequency = 176400;

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b. Dolby TrueHD (MAT)

Dolby TrueHD コンテンツは IEC 60958 経由で送信されます。コンテンツのサンプリング レートが 44.1 kHz、88.2 kHz、および 176.4 kHz の場合は 176.4 kHz/8 チャンネル (705.6 kHz の IEC 60958 フレーム レートが必要) で送信され、コンテンツのサンプリング レートが 48 kHz、96 kHz、および 192 kHz の場合は 192 kHz/8 チャンネル (768 kHz の IEC 60958 フレーム レートが必要) で送信されます。ただし、現在のインターフェイス (HDMI など) では 705.6 kHz がサポートされないため、コンテンツのサンプリング レートとしては 48 kHz、96 kHz、および 192 kHz のみがサポートされます。したがって、HDMI シンクの Dolby TrueHD デコーダーの能力にかかわらず、クラス ドライバーでは Dolby TrueHD のサポートを示すために常に以下のデータ範囲を公開します。

WAVEFORMATEXTENSIBLE_IEC61937 の例

次の例に、コンテンツのサンプリング レートが 96 kHz の Dolby TrueHD 形式を表すために、アプリケーションから WAVEFORMATEXTENSIBLE_IEC61937 構造体に設定する値を示します。

WAVEFORMATEXTENSIBLE_IEC61937 wfext;

Wfext.FormatExt.Format.wFormatTag = WAVE_FORMAT_EXTENSIBLE;

wfext.FormatExt.Format.nChannels = 8;     // IEC 60958 4 回線

wfext.FormatExt.Format.nSamplesPerSec = 192000; // リンクは 192 kHz で実行

wfext.FormatExt.Format.nAvgBytesPerSec = 3072000; // 192 KHz * 16

wfext.FormatExt.Format.nBlockAlign = 16;    // 16 ビット * 8 チャンネル

wfext.FormatExt.Format.wBitsPerSample = 16; // IEC 60958 経由では常に 16 ビット

wfext.FormatExt.Format.cbSize = 34; // Format が WAVEFORMATEXTENSIBLE_IEC61937

                                                  // 構造体の一部であることを示します。

wfext.FormatExt.Samples.wValidBitsPerSample = 16;

wfext.FormatExt.dwChannelMask = KSAUDIO_SPEAKER_7POINT1; // ドルビー 7.1 サラウンド

wfext.FormatExt.SubFormat = KSDATAFORMAT_SUBTYPE_IEC61937_DOLBY_MLP;

wfext.dwEncodedSamplesPerSec = 96000; // エンコード済みコンテンツのサンプリング レート

wfext.dwEncodedChannelCount = 8; // エンコード済みデータのチャンネル数は 8

wfext.dwAverageBytesPerSec = 0; // この形式では無視されます。

KSDATARANGE_AUDIO の例

HDMI シンクの Dolby TrueHD デコーダーの能力にかかわらず、クラス ドライバーでは Dolby TrueHD のサポートを表すために常に次のデータ範囲を公開します。

KSDATARANGE_AUDIO drDTHD;

drDTHD.DataRange.FormatSize = sizeof(KSDATARANGE_AUDIO);

drDTHD.DataRange.Flags = 0; // 無視されます。

drDTHD.DataRange.SampleSize = 0; // 無視されます。

drDTHD.DataRange.Reserved = 0;

drDTHD.DataRange.MajorFormat = KSDATAFORMAT_TYPE_AUDIO;

drDTHD.DataRange.SubFormat = KSDATAFORMAT_SUBTYPE_IEC61937_DOLBY_MLP;

drDTHD.DataRange.Specifier = KSDATAFORMAT_SPECIFIER_WAVEFORMATEX;

drDTHD.MaximumChannels = 8; // IEC 60958 4 回線

drDTHD.MinimumBitsPerSample = 16; // すべてのエンコード済みデータは IEC 60958

drDTHD.MaximumBitsPerSample = 16; // を経由して、16 ビットで送信されます。

drDTHD.MinimumSampleFrequency = 192000; // すべての Dolby True-HD は

drDTHD.MaximumSampleFrequency = 192000; // 192 kHz で送信されます。

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c. WMA Pro

WMA Pro オーディオ コンテンツは、次の表に示す 4 種類のプロファイルのいずれかでエンコードできます。

プロファイル プロパティ: 値 説明
M0 最高ビット レート: 192000 bps
最高サンプリング レート: 48 kHz
最大チャンネル数: 2
最大バッファー サイズ: 600*1024 ビット
フレームあたりの最大サンプル数: 2048
フレームあたりの最大ビット数: 65536
地上波での音楽やストリーミングにお勧めです。

オーディオ フレームの最高ビット レートは 1536000 bps です。
M1 最高ビット レート: 385000 bps
最高サンプリング レート: 48 kHz
最大チャンネル数: 6
最大バッファー サイズ: 600*1024 ビット
フレームあたりの最大サンプル数: 4096
フレームあたりの最大ビット数: 131072
サラウンド サウンドの標準品質動画にお勧めです。

オーディオ フレームの最高ビット レートは 1536000 bps です。
M2 最高ビット レート: 769000 bps
最高サンプリング レート: 96 kHz
最大チャンネル数: 6
最大バッファー サイズ: 1200*1024 ビット
フレームあたりの最大サンプル数: 4096
フレームあたりの最大ビット数: 131072
サラウンド サウンドの高品質動画にお勧めです。

オーディオ フレームの最高レートは 3072000 bps です。
M3 最高ビット レート: 3000000 bps
最高サンプリング レート: 96 kHz
最大チャンネル数: 8
最大バッファー サイズ: 2400*1024 ビット
フレームあたりの最大サンプル数: 4096
フレームあたりの最大ビット数: 131072
デジタル シアターにお勧めです。

オーディオ フレームの最高レートは 3072000 bps です。

 

M0 と M1 のプロファイルは、48 kHz、16 ビット、ステレオ (1536000 bps) の IEC 60958 ストリームに適しています。M2 と M3 のプロファイルは、96 kHz、16 ビット、ステレオ (3072000 bps) の IEC 60958 ストリームに適しています。

WAVEFORMATEXTENSIBLE_IEC61937 の例

次の例に、M2 プロファイルとして WMA Pro 形式を表すために、アプリケーションから WAVEFORMATEXTENSIBLE_IEC61937 構造体に設定する値を示します。

WAVEFORMATEXTENSIBLE_IEC61937 wfext;

Wfext.FormatExt.Format.wFormatTag = WAVE_FORMAT_EXTENSIBLE;

wfext.FormatExt.Format.nChannels = 2; // IEC 60958 1 回線

wfext.FormatExt.Format.nSamplesPerSec = 96000; // リンクは 96 kHz で実行

wfext.FormatExt.Format.nAvgBytesPerSec = 384000; // 96 KHz * 4

wfext.FormatExt.Format.nBlockAlign = 4; // 16 ビット * 8 チャンネル

wfext.FormatExt.Format.wBitsPerSample = 16; // リンク経由では常に 16 ビット

wfext.FormatExt.Format.cbSize = 34; // Format が WAVEFORMATEXTENSIBLE_IEC61937

                                                  // 構造体の一部であることを示します。

wfext.FormatExt.Samples.wValidBitsPerSample = 16;

wfext.FormatExt.dwChannelMask = KSAUDIO_SPEAKER_5POINT1; // 5.1 サラウンド

wfext.FormatExt.SubFormat = KSDATAFORMAT_SUBTYPE_IEC61937_WMA_PRO;

wfext.dwEncodedSamplesPerSec = 96000; // エンコード済みコンテンツのサンプリング レート

wfext.dwEncodedChannelCount = 6; // エンコード済みデータのチャンネル数は 6

wfext.dwAverageBytesPerSec = 0; // この形式では無視されます。

KSDATARANGE_AUDIO の例

クラス ドライバーからは、プロファイルごとに次のデータ範囲が報告されます。

次の例に、48 kHz、16 ビット、ステレオ (1536000 bps) の IEC 60958 ストリーム (M0 プロファイルと M1 プロファイルに適合) に対して、クラス ドライバーから報告されるデータ範囲を示します。

KSDATARANGE_AUDIO drWMAPro;

drWMAPro.DataRange.FormatSize = sizeof(KSDATARANGE_AUDIO);

drWMAPro.DataRange.Flags = 0; // 無視されます。

drWMAPro.DataRange.SampleSize = 0; // 無視されます。

drWMAPro.DataRange.Reserved = 0;

drWMAPro.DataRange.MajorFormat = KSDATAFORMAT_TYPE_AUDIO;

drWMAPro.DataRange.SubFormat = KSDATAFORMAT_SUBTYPE_IEC61937_WMA_PRO;

drWMAPro.DataRange.Specifier = KSDATAFORMAT_SPECIFIER_WAVEFORMATEX;

drWMAPro.MaximumChannels = 2; // IEC 60958 1 回線

drWMAPro.MinimumBitsPerSample = 16; // すべてのエンコード済みデータは IEC 60958 を

drWMAPro.MaximumBitsPerSample = 16; // 経由して、16 ビットで送信されます。

drWMAPro.MinimumSampleFrequency = 48000;

drWMAPro.MaximumSampleFrequency = 48000;

次の例に、96 kHz、16 ビット、ステレオ (3072000 bps) の IEC 60958 ストリーム (M2 と M3 のプロファイルに適合) に対して、クラス ドライバーから報告されるデータ範囲を示します。

KSDATARANGE_AUDIO drWMAPro;

drWMAPro.DataRange.FormatSize = sizeof(KSDATARANGE_AUDIO);

drWMAPro.DataRange.Flags = 0; // 無視されます。

drWMAPro.DataRange.SampleSize = 0; // 無視されます。

drWMAPro.DataRange.Reserved = 0;

drWMAPro.DataRange.MajorFormat = KSDATAFORMAT_TYPE_AUDIO;

drWMAPro.DataRange.SubFormat = KSDATAFORMAT_SUBTYPE_IEC61937_WMA_PRO;

drWMAPro.DataRange.Specifier = KSDATAFORMAT_SPECIFIER_WAVEFORMATEX;

drWMAPro.MaximumChannels = 2; // IEC 60958 1 回線

drWMAPro.MinimumBitsPerSample = 16; // すべてのエンコード済みデータは IEC 60958 を

drWMAPro.MaximumBitsPerSample = 16; // 経由して、16 ビットで送信されます。

drWMAPro.MinimumSampleFrequency = 96000;

drWMAPro.MaximumSampleFrequency = 96000;

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6. 詳細情報

 

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