November 2015

Volume 30 Number 12

新進気鋭 - 批判的になる

Ryan Donahue | 年 11 月 2015

前向きな職場環境はすばらしいものです。社員は幸せに感じ、モチベーションと生産性は高く維持されます。気分良く仕事をすれば、1 日の終わりに充実した気持ちで帰宅し、またやる気に満ちた状態で、より多くの賞賛に値する仕事ができます。しかし、この好循環も落とし穴になることがあります。この好循環が原因で、ソフトウェアに不適切な設計の機能が組み込まれたり、さらに悪いことに、不適切な設計のソフトウェアが顧客の手に渡ることがあるのです。

このような落とし穴から抜け出すには、建設的な批判を受け入れる組織になる必要があります。チームのメンバーどうしで気兼ねなく建設的なフィードバックを返し合うことができなければ、すぐに品質の低い製品に憤慨した顧客からのクレームとしてのフィードバックに変わります。事実、開発中に問題に対処しないと、非常に高い確率で製品価値に影響し、最終的には組織のブランドを損なうことになります。

リリース前に認識していながらも、どうにもできなかった問題に対する不満のコメントを Reddit で読むときほど、開発者にとって悲しい瞬間はありません。これは、近年ゲーム開発者コミュニティが悪戦苦闘している課題です。多くの有名シリーズで、話題のタイトルが、率直に言って未完成の状態でリリースされています。Electronic Arts がその典型です。同社のゲーム「Battlefield 4」は、リリースが困難を極め、会社の株価を下落させたうえ、株主訴訟にまで発展しました。今では、ゲーマーがこれまでのように列を作って新しいゲームを購入しなくなっており、リリースが遅れるゲームが増えているように思えます。

Electronic Arts や他のゲーム開発会社では、開発中の早い段階で批判的な意見を出し合ってさまざまな課題に取り組むことはなかったのでしょうか。おそらくですが、出荷締め切り日やマーケティング目標日に支配された世界では、コードを作り直すためにリリースを遅らせるという決断は難しいのでしょう。開発中のソフトウェア各部の社内達成度を追跡する指標があったら役立ったことでしょう。この指標が一定のしきい値を下回った場合、問題に対処して社内達成度が許容可能なレベルに回復するまで、製品のリリースを遅らせます。

このような指標が作成されたとしても、根本的な問題があります。現代のソフトウェアは、多くの場合、出荷締め切り日に拘束されており、重要なフィードバックに敵対する環境になっていることです。時間やリソースがなく、どうしようもないとわかっているときに、他人の仕事を建設的に批判するのは、開発者にとって難しいことです。度を超して批判しすぎないことも重要です。互いの仕事をののしることを社員に奨励する企業文化は、社員の士気を下げ、生産性を損なう有害な環境になります。

結局のところ、開発者は自身が統制できるものしか制御できません。そして、その大部分は、批判を受けたときの自身の反応です。人間は、あまりにも頻繁に批判を無視します。人間は必然的に自身の意見に固執しますが、他人の意見も同様に妥当であり、より優れたソリューションを見つけるために重要なことが多いという事実を理解し、受け入れる必要があります。

人生のあらゆることと同様に、重要なのは満足のいくバランスを見つけることです。前向きな強化していく文化を持ち、受けた批判に対してチームが対応できるプロセスのある組織は、そのような活動を避けている組織よりも、高品質なソフトウェアを作成できる可能性がはるかに高いでしょう。これはすべて、単純に態度を改めることから始まります。組織の社員が他の社員の仕事をサポートすることに協力的であり、理路整然とした建設的な批判を重んじれば、より生産的で開かれた職場に変わることができます。


Ryder Donahueはマイクロソフトのソフトウェア開発エンジニアです。出身はハワイ諸島で、現在はワシントン州レドモンドで婚約者と猫の Marbles と一緒に暮らしています。