最初にひと言

どのアプリでも、どの開発者でも

S. Somasegar

開発者になるには本当にすばらしい時代です。モバイル、クラウド、DevOps が業界に新たな風を起こしています。顧客への接触、ソフトウェア インフラストラクチャへのアクセス、製品へのアイデアの盛り込みなど、開発者には新たなチャンスが生まれ、プログラマはかつてない速度で学習し、順応しています。

2014 年 11 月にニューヨークで開催された Connect(); カンファレンスで講演する機会がありました。その講演では、業界全体でますます広がる開発者の基盤に対してマイクロソフトが開発プラットフォームと開発ツールをどのように広めようとしているか、さらには同社がモバイル、クラウド、DevOps という 3 つの重要な動きをどのようにサポートするかについて話しました。

特に、1 枚のスライドでこの変化の重要性を次のように示しました。「当社のビジョン: どのアプリでも、どの開発者でも」

このビジョンの核となるのは、業界全体で起こっているすべての大きな進歩に併せて、オープン性、柔軟性、容易な相互運用性に力を注ぐことです。最近マイクロソフトがビルドするツールやサービスは、かつてないほど多種多様な開発者のニーズをターゲットにするようになっています。Visual Studio のクロスプラットフォーム モバイル開発ツールから、さまざまなプログラム言語、開発者集団、OS への Microsoft Azure でのサポートに至るまで、多岐に渡ります。

前述のカンファレンスでマイクロソフトは、.NET Core をオープンソースにし、クロスプラットフォーム対応にして、Linux と OS X をサポートする計画を発表しました。その発表以後も順調に歩みを進め、.NET Core Framework をオープン ソースにし、最近では .NET Core CLR をオープンソースにしています。こうしたプロジェクトを中心にオープン ソース コミュニティが結集し、多数の取り組みに貢献し、クロスプラットフォーム .NET に生命を吹き込む手助けをしています。中でも、マイクロソフトが Linux サポートを備えた .NET Core CLR を最初にリリースしたときに、オープン ソース コミュニティがこれを生かして Mac OS X へのサポートも提供したのが、こうした取り組みを物語る 1 つの優れた例といえます。それから 1 週間もしないうちに、コミュニティが追加したサポートがプロジェクトに組み込まれています。

カンファレンスでは、新しく Visual Studio Community 2013 もリリースされました。これは完全版の Visual Studio で、非営利目的であれば無償で利用できます。Visual Studio Community 2013 は現在までの 6 か月間に開発者の手に次々と渡り、ダウンロード数は 200 万を超え、アクティブ開発者の基盤が急速に広がっています。Community バージョンでは、Visual Studio の拡張機能がすべてのユーザーに公開され、多くの開発者がプラグインの優秀なエコシステムにアクセスできるようになりました。同様に、拡張機能の作成者は、これまで以上にユーザー基盤を拡張できるようになります。その結果、Unity 開発や Python 開発用の拡張機能の人気が高まり、Visual Studio Community を包むように新たな開発者コミュニティが広がっていくのを見ていると気持ちが高まります。

開発組織、チーム、アプリケーションの違いがますます広がっていることから、プロジェクト内では、アプリケーション開発の広範なニーズに対応する優れたツールが不可欠になっています。マイクロソフトの目標は、開発や運用に使用しているプラットフォームとは無関係に、あらゆるチームに付加価値を提供するツールやサービスを提供することです。Java のチームと .NET のチームが毎日一緒に作業している企業、さまざまなモバイル プラットフォーム向けにアプリをビルドしている企業、多種多様なテクノロジ コンポーネントで構成されるマイクロサービス アーキテクチャを活用する組織など、こうしたツールやサービスに対するニーズは明らかです。チームが開発サイクルの各段階での最善のソリューションを DevOps プラクティスに組み合わせたとしても、企業が行う多岐に渡る業務すべてに開発者向けのサービスを提供していかなければなりません。

2015 年 4 月、チームの同僚の多くが EclipseCon に参加して Java の開発者と話す機会を得、マイクロソフトが主な開発者向けサービスやプラットフォーム サービスを Java の分野に持ち込んでいることについて話をしました。その週に、マイクロソフトは Application Insights SDK for Java を発表し、Azure Toolkit for Eclipse に関するセッションを行い、現在の開発者がどのように Team Foundation Server とVisual Studio Online を使って Java 開発を行っているかのプレゼンテーションを行いました。このような場面のそれぞれで、マイクロソフトは自社製品にあるオープンな基盤 (REST API、OAuth、サービス フックなど) に基づいてビルドを行っています。こうした基盤は、開発者向けサービスを既存の開発ワークフローに結び付けやすくします。Java の開発者の中には、マイクロソフトがこのようなステップを採用していることを不思議に思う開発者もいます。しかし、これがマイクロソフトの「どのアプリでも、どの開発者でも」のビジョンから生み出される自然な副産物です。

2015 年 5 月の Build では、Windows、Azure、Visual Studio、.NET Framework など、さまざまな分野でのマイクロソフトの開発者プラットフォームとツールのオープン化の新しい動きについて講演する予定です。現代は開発者になるにはすばらしい時代です。マイクロソフトは、あらゆるアプリに取り組んでいる開発者の皆さんにプラットフォームとツールを用意し、開発をお手伝いできることを心から喜んでいます。

それでは、ごきげんよう。


S. Somasegar* はマイクロソフトの開発者部門のコーポレート バイス プレジデントです。彼は開発者向けのツールとサービスを担当し、ソフトウェア開発者の広大な基盤に向けのプログラム言語やランタイムの設計、さらには Visual Studio、Team Foundation Server、Visual Studio Online 系列の製品やサービス向けのプログラム言語やランタイムの設計などを行っています。*