トランザクション (ODBC)
このトピックの内容は、MFC ODBC クラスに該当します。
トランザクションとは、データ ソースに対する一連の更新操作をまとめてバッチ処理することです。トランザクション内の更新操作は、すべて一度にコミットされるか、まったく処理されない (ロールバックされる) かのいずれかです。 トランザクションを使わないときは、コミットを発行しなくても、データ ソースに対する更新操作が自動的に行われます。
注意
ODBC データベース ドライバーによっては、トランザクションをサポートしていないものもあります。 ドライバーがサポートするトランザクションを調べるには、CDatabase オブジェクトまたは CRecordset オブジェクトのメンバー関数 CanTransact を呼び出します。 ただし、CanTransact はデータ ソースが全トランザクションをフル サポートしているかどうかを確認できないので注意してください。 また、開いている CRecordset オブジェクトに対するトランザクションの影響を調べるには、CommitTrans と Rollback の後にそれぞれ CDatabase::GetCursorCommitBehavior と CDatabase::GetCursorRollbackBehavior を必ず呼び出してください。
CRecordset オブジェクトのメンバー関数 AddNew や Edit の呼び出しは、Update を呼び出すとすぐにデータ ソースに反映されます。 Delete の呼び出しもすぐに反映されます。 これに対して、AddNew、Edit、Update、Delete への複数の呼び出しで構成したトランザクションによる操作は、明示的に CommitTrans を呼び出さない限りコミットされません。 トランザクションを利用すると、複数の操作を一度に実行できます。 必要なリソースが確保できなかったか、その他の条件によってトランザクション全体が実行できなかった場合は、トランザクションをコミットせずに、ロールバックして操作を無効にします。 この場合、トランザクション内のすべての更新操作はデータ ソースに反映されません。
注意
バルク行フェッチが実装されている場合、現段階の CRecordset クラスでは、データ ソースへの更新をサポートしていません。 つまり、AddNew、Edit、Delete、または Update を呼び出すことはできません。 ただし、更新を処理するための関数を独自に記述し、その関数をトランザクション内で呼び出すことはできます。 バルク行フェッチの詳細については、「レコードセット : バルク行フェッチ (ODBC)」を参照してください。
注意
CDatabase オブジェクトに関連付けられた ODBC HDBC、またはその HDBC に基づいた ODBC HSTMT を使用する限り、トランザクションは、レコードセットだけではなく、直接実行した SQL ステートメントにも影響を及ぼします。
複数のレコードを同時に更新する場合は、特にトランザクションが便利です。 複数のレコードを使用しているときは、最後のレコードが更新される前に例外がスローされると、問題が起こります。 このような一連の操作を 1 つのトランザクションにグループ化すると、更新処理をやり直して (ロールバックして) 各レコードをトランザクション実行前の状態に戻すことができます。 たとえば、銀行預金処理で口座 A から口座 B に振り替えるとき、A からの引き落とし操作と B への預け入れ操作は、必ず両方とも成功させるか、両方とも失敗させるかのいずれかにする必要があります。
データベース クラスでは、トランザクションは CDatabase オブジェクトを通じて行います。 CDatabase オブジェクトは、データ ソースへの接続を表します。CDatabase オブジェクトに結び付けられている 1 つ以上のレコードセットが、レコードセット メンバー関数を使って、データベース内のテーブルを操作します。
注意
サポートされるトランザクションのレベルは 1 つだけです。 つまり、トランザクションを入れ子にすることも、複数のデータベース オブジェクトにわたるトランザクションを使用することもできません。
トランザクション実行のしくみの詳細については、次のトピックを参照してください。