Windows 接続マネージャーの説明と構成

更新日: 2013年8月

適用対象: Windows 8, Windows 8.1

Windows 8 で導入された自動接続管理は、イーサネット、Wi-Fi、モバイル ブロードバンド インターフェイスを調べてどれを使って接続するかを決定する機能です。この決定に基づいて、Wi-Fi とモバイル ブロードバンド インターフェイスに対して接続と切断の操作を自動的に実行します。

noteメモ
Windows はイーサネット接続に応答するものの、自動的にイーサネット接続を管理することはありません。

このトピックでは、Windows が物理ワイヤレス接続を自動的に管理する方法について説明します。以下の接続については取り上げません。

  • モデムなどのダイヤルアップ接続

  • VPN やトンネリングされた IP 接続などの純粋な仮想インターフェイス

接続管理ポリシー

Windows 8 と Windows 8.1 には、接続管理を制御するためのポリシーが多数用意されています。これらのポリシーは、Windows ユーザー インターフェイスでは公開されいませんが、WcmSetProperty API またはグループ ポリシーを使って構成できます。

同時接続の数を最小化する

Windows 8 と Windows 8.1 では、このポリシーが既定でオンになっています。このポリシーが無効の場合は、Windows 7 とほぼ同じ動作になります。具体的には、各インターフェイスが他のインターフェイスの接続状態にかかわらず、範囲内にある最優先のネットワークに接続します。

このポリシーを有効にすると、同時接続の数が最小限に維持され、利用可能な範囲で最適な接続レベルが実現します。Windows は、以下のネットワークに対する接続を維持します。

  • イーサネット ネットワーク

  • 現在のユーザー セッションの間に手動で接続されたネットワーク

  • 最優先のインターネット接続

  • Active Directory ドメインに対する最優先の接続 (PC がドメインに参加している場合)

他のすべてのネットワークには、次のセクションで説明するように、ソフト切断が実行されます。このポリシーは、接続されていないが利用可能なネットワークを評価するためにも使われます。新しいネットワークがあっても、即座にソフト切断が実行されるようであれば、接続することはありません。

ソフト切断

ソフト切断の動作は以下のとおりです。

  1. 接続する必要がなくなったと判断されたネットワークであっても、即座に切断されることはありません。明らかなメリットもなく接続が突然切断されるとユーザー エクスペリエンスの低下を招くため、できる限りそのような事態を回避するようになっています。

  2. インターフェイスに対してソフト切断を実行することになった場合にはすぐに、TCP スタックに対してネットワークをもう使わない旨が通知されます。既にある TCP セッションが中断されることはないものの、新しい TCP セッションがソフト切断の対象となるインターフェイスを使うことは、目的の宛先に明示的にバインドされているか、他のどのインターフェイスからもその宛先へのルートが存在しない場合を除き、ありません。

  3. TCP スタックに対するこの通知によって、ネットワーク ステータスが変更されます。ネットワーク アプリはこのようなイベントをリッスンし、可能であれば事前に新しいネットワークに接続を移行します。

  4. Windows ではその後、30 秒ごとにそのインターフェイスのトラフィック レベルを確認します。トラフィック レベルが特定のしきい値を超えると、それ以上の処理は実行されなくなります。これにより、ファイル転送や VoIP 通話などでアクティブに使われているインターフェイスの中断を回避できます。

  5. トラフィックがこのしきい値を下回ると、インターフェイスが切断されます。メール クライアントなど、接続が長時間アイドル状態になるアプリでは、中断されることがあるため、別のインターフェイス経由で接続を再確立する必要があります。

最初の接続

Windows では、自動的に接続し、状況に応じてすぐにソフト切断が実行されます。PC を最初に起動したきとや、スタンバイ状態から再開したときは、ユーザーができるだけ早くネットワーク接続を利用できるように、すべてのインターフェイスが同時に接続を試みます。複数のインターフェイスが接続に成功した場合は、すぐにインターフェイスのソフト切断が開始されます。

ドメイン ネットワークと非ドメイン ネットワークの相互接続を禁止する

Windows 8 と Windows 8.1 では、このポリシーが既定でオフになっています。このポリシーを有効にすると、PC がドメイン ネットワークと非ドメイン ネットワークの間で相互接続されるのを防止できます。このポリシーは、企業の管理者がマルチホーム コンピューターを攻撃ポイントにする潜在的なセキュリティ侵害を懸念している場合に使うことができます。

接続されているどのネットワークにもそのドメインへのルートが存在するか、接続されているどのネットワークにもそのドメインへのルートが存在しない場合、このポリシーはシステムの動作に影響しません。

複数のワイヤレス ネットワーク

Windows 8 や Windows 8.1 のモバイル デバイスの多くは、企業の Wi-Fi ネットワークが利用できる場所でも、常に外部のインターネット接続が利用できます。このポリシーを有効にすると、公共のモバイル ブロードバンド ネットワークや企業のプライベート Wi-Fi ネットワークに自由に接続したり、その 2 つを自由に切り替えたりできます。ただし、1 つに手動で接続すると、その時点でそれ以外の接続は自動的に切断されます。

イーサネット

Windows 8 または Windows 8.1 が PC に自動的にイーサネット ケーブルを接続したり切断したりすることはできないため、ワイヤレス接続を許可または禁止することによってポリシーを適用できるにとどまります。PC がドメイン ネットワークにイーサネット接続している場合には、そのドメインに接続していないワイヤレス ネットワークは接続できなくなります (逆も同じ)。そのようなことをしようとすると、以下のエラーが発生します。

自動接続管理エラー

イーサネット ポートが複数ある PC では、2 種類のイーサネット ネットワークに PC を物理的に接続することによって発生する相互接続を防ぐことはできません。

ソフト切断に対する影響

相互接続を禁止することはセキュリティに配慮した措置であるため、このポリシーに従って接続が切断される場合には、実行中の操作があってもすぐに実行されます。公共のネットワークと企業ネットワークを切り替えるときには、その 2 つの範囲が重なっていても、接続が中断します。

たとえば、ノート PC でモバイル ブロードバンド ネットワークを介して VoIP 通話をしているときに企業のイーサネットに接続すると、通話が切断されます。ただし、新しい接続によって自動でアプリが回復できることもあります。ポリシーが有効になっていない場合には、通話が終了するまで待機し、通話の終了後にモバイル ブロードバンド接続をソフト切断します。これに対して、企業のネットワークに接続しているときに企業の Wi-Fi ネットワークを介して VoIP 通話を開始した場合には、どちらのネットワークも同じドメインに接続しているため、通話が切断されることはありません。Wi-Fi ネットワークは通話の終了後に切断されます。

モバイル ブロードバンド ネットワークへのローミングを禁止する

このポリシーでは、ローミング状態のモバイル ブロードバンド ネットワークに接続することを禁止します。このポリシーは既定で無効になっており、ユーザーはローミング中にモバイル ブロードバンド ネットワークに手動で接続するか、そうしたネットワークに自動的に接続できるようにするかを選ぶことができます。有効にした場合には、接続マネージャーからローミング モバイル ブロードバンド ネットワークを選べなくなります。

ネットワークの優先順位

維持する接続を検討するときには、いくつかの特徴を基に優先ネットワークが決まります。この機能は特定のインターフェイスに対する接続を維持するかどうかを判定するためにだけ使い、ルーティングには使いません。接続されたインターフェイスがソフト切断の途中でない場合は、ルーティング テーブルのメトリックによってルーティングが決まります。ルートのメトリックが手動で指定されていない場合には、アダプターのリンク速度に基づいて自動的にルートのメトリックが割り当てられます。

接続のプロパティ

Windows では以下の順に接続の優先順位が設定されます。

  1. イーサネット ネットワーク

  2. 現在のユーザー セッションの間に手動で接続されたネットワーク

  3. PC が参加している Active Directory ドメインとインターネットの両方に接続しているネットワーク

  4. 現在接続されている Wi-Fi ネットワークのシグナルの強さ

  5. PC の優先ネットワークの一覧

リンク速度は現在接続されているインターフェイスの間のルーティングの動作に影響を及ぼすものの、リンク速度やネットワークのスループットに基づいて接続に関する決定が下されることはありません。モバイル ブロードバンド ネットワークの現在の速度に基づいてモバイル ブロードバンド ネットワークと Wi-Fi ネットワークの間の接続の優先順位を変更するように Windows を構成することはできません。どちらにも接続している場合には、ユーザーまたはデスクトップ アプリがルートのメトリックを変更してルーティングの優先順位に影響を与えることができます。

シグナルの強さ

Windows では、現在接続されている Wi-Fi ネットワークのシグナルが非常に弱い状態であることが検出されると、(ポリシーで許可されている場合) ネットワーク接続が中断されないよう、モバイル ブロードバンド ネットワークに接続します。これにより、ユーザーがワイヤレス アクセス ポイントから移動するときに切り替えがスムーズになります。

シグナルの強さが接続を維持できないほどになるまでは、優先度の高い Wi-Fi ネットワークが切断されることはありません。シグナルの強さが改善した場合は、モバイル ブロードバンド アダプターがソフト切断されることがあります。

優先ネットワークの一覧

ほとんどの場合、優先ネットワークの一覧によって、接続に使うワイヤレス ネットワーク プロファイルが決まります。Windows 8 よりも前のバージョンでは、この一覧は Wi-Fi ネットワークにのみ適用されていました。Windows 8 と Windows 8.1 では、モバイル ブロードバンド ネットワークも含めることができます。

自動生成

Windows 8 と Windows 8.1 では、ユーザーの操作を基に優先ネットワークの一覧が自動的に更新されます。手動による接続や切断があるとネットワークの一覧が更新され、今後同じ動作を自動で実行されるようになります。

優先ネットワークの一覧が変更されるユーザーの操作は以下のとおりです。

  • 初回のネットワーク接続: ネットワークの一覧に新しいネットワークが追加されます。ユーザーは今後そのネットワークに自動で接続するかどうかを指定できます。

    • 新しい Wi-Fi ネットワークに初めて接続したときには、そのネットワークが一覧で最も優先度の高いネットワークになります。

    • 新しいモバイル ブロードバンド ネットワークに初めて接続したときには、そのネットワークが一覧で最も優先度の低いネットワークになります。

  • Wi-Fi ネットワークへの手動接続: 範囲内にある他の Wi-Fi ネットワークのうち、新しく接続したネットワークよりも一覧で上位にあるものは、そのネットワークより下の順位に移動します。ユーザーは今後そのネットワークに自動で接続するかどうかを指定できます。

  • ネットワークからの切断: Windows では今後、このネットワークに自動的に接続しません。ネットワークは一覧に残るため、ユーザーが後でこの設定を変更できます。

グループ ポリシー

グループ ポリシーによって作成された Wi-Fi のプロファイルは、ネットワークの一覧の先頭に置かれます。それらのネットワークを手動で切断することや、手動で他のネットワークに接続することはできますが、それらのネットワークはグループ ポリシーによって削除されるまでは依然として一覧の先頭に置かれます。

通信事業者プロビジョニング メタデータ

モバイル ブロードバンドと Wi-Fi ホットスポットの事業者は、ProvisioningAgent と msConfigureNetworks のいずれかの API を使って Windows にモバイル ブロードバンドと Wi-Fi のプロファイルを渡します。

事業者が作成したプロファイルは最初にプロビジョニングされると、既にあるネットワークの一覧の先頭 (Wi-Fi のみ) または末尾 (モバイル ブロードバンドが含まれている場合) に追加されます。事業者がプロビジョニングしたネットワークのネットワークの一覧内での位置にユーザーが影響を与えることはできません。ただし、ネットワークの一覧内でのネットワークの相対的な順番を定義することはできます。

ユーザーの操作によって、プロビジョニング メタデータのアプリの間でネットワークの一覧が変更されることがあります。プロビジョニング メタデータを再適用すると、目的のネットワーク順序が復元されます。ただし、順序を復元した一連のネットワークは、ユーザーがネットワークを移動した場所である末尾に移動します。

プロビジョニング メタデータ内のネットワークの優先順位は、次によって決まります。

  1. 各ネットワーク プロファイルのオプションの優先順位属性

  2. メディアの種類 (モバイル ブロードバンドより Wi-Fi が優先)

  3. XML ファイルで指定された順序

手動による変更

Windows 8 より前は、Wi-Fi の優先ネットワークの一覧は [ワイヤレス ネットワークの管理] コントロール パネルからアクセスできました。製品利用統計情報によると、この機能にアクセスしたユーザーはわずかです。また、このユーザー インターフェイスは Wi-Fi のみに関連付けられており、Wi-Fi とモバイル ブロードバンドの間の優先順位を組み込むことはできません。

ほとんどのユーザーは、ネットワークの一覧を手動で変更する必要がありません。ただし、ユーザーやアプリによっては、手動による変更が必要になることがあります。

ユーザー インターフェイス

優先ネットワークの範囲内にいるときに優先ネットワークの一覧からプロファイルを削除するには、ネットワークを右クリックして [この接続を削除する] をクリックします。このユーザー インターフェイスでは、範囲内にないネットワークを一覧から削除することはできません。

Win32 API

アプリでは、メディア固有の適切な API を使ってネットワークの一覧に新しいプロファイルを作成できます。

ネットワークの一覧内の順序を変更するには、WcmSetProfileList 関数を使います。意図していない方法でネットワーク一覧のモバイル ブロードバンド プロファイルの位置が乱されることがあるため、WlanSetProfileList 関数を使うことはお勧めしません。

ネットワークの一覧からプロファイルを削除するには、メディア固有の適切な API を使います。

コマンド ライン

ユーザーまたはスクリプトは、メディア固有の適切なコマンドを使って、ネットワークの一覧に新しいプロファイルを作成できます。

  • Wi-Fi ネットワークでは、netsh wlan add profile コマンドを使います。

  • モバイル ブロードバンド ネットワークでは、netsh mbn add profile コマンドを使います。

ネットワークの一覧の Wi-Fi プロファイルの順序は netsh wlan set profileorder コマンドを使って変更できます。ただし、意図していない方法で一覧のモバイル ブロードバンド プロファイルの位置が乱されることがあるため、このコマンドはお勧めしません。

ネットワークの一覧からプロファイルを削除するには、メディア固有の適切なコマンドを使います。

  • Wi-Fi ネットワークでは、netsh wlan delete profile コマンドを使います。

  • モバイル ブロードバンド ネットワークでは、netsh mbn delete profile コマンドを使います。

競合の解決

同じネットワークに複数のプロファイルがある場合には、Windows 8 と Windows 8.1 では、以下のロジックを使って、使うプロファイルを決定します。

  1. プロファイルの種類

    1. グループ ポリシーのプロファイルは、ユーザーが作成したプロファイルよりも優先されます。

    2. ユーザー プロファイルはいずれも、シングルユーザー プロファイルよりも優先されます。

  2. インターフェイスのインストール順: インストール日時が最も新しいインターフェイスのプロファイルが使われます。

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