初めての Windows Phone
Windows Phone のユーザー インターフェイス フレームワークは、アプリ ユーザーのための美しくて自然なアプリ エクスペリエンスを作成するために使える一貫したシステム オブジェクト、イベント、操作を提供します。このトピックでは、フレームワークの各部分を紹介し、アプリ ユーザー インターフェイス内での使い方と調整方法についても説明します。
次の図は、あるアプリを実行中の Windows Phone の画面領域を示しています。
Windows Phone の画面
ステータス バー
ステータス バーは、システム レベルのステータス情報を、アプリのワークスペースの予約された部分にシンプルかつ明確に表示するインジケーター バーです。このバーは自動的に更新され、次の情報を (左から右の順に) 表示することでさまざまな通知を行い、ユーザーがシステム レベルのステータスを常に把握できるようにします。
- シグナルの強さ
- データ接続
- 電話転送
- ローミング
- ワイヤレス ネットワークのシグナルの強さ
- Bluetooth の状態
- 着信音モード
- 入力の状態
- バッテリー電源レベル
- システム クロック
ステータス バー
注 ステータス バーはシステムによって予約されており、変更できません (ただし進行状況インジケーターは更新できます)。非表示にすることはできますが、多くのユーザーはシステム クロックを必須の機能と考えているため、非表示にする際には慎重に検討してください。
ステータス バーは不透明または透明に設定でき、背景色と前景色も変更できます。
アプリ領域
メイン画面領域は、アプリのために予約されています。UI は横モードまたは縦モードで表示できます。ステータス バーが表示されていない場合は、画面全体を使うことができます。
アプリ バー
アプリ バーには、よく使うアプリ タスクを 4 つまでアイコン ボタンとして表示できます。
アプリ バーには、テキスト ヒント付きのアイコン ボタンと、オプションで拡張メニューが表示されます。拡張メニューは、ユーザーが連続するドットのビジュアル インジケーターをタップするか、アプリ バーを上にフリックしたときに表示されます。
アプリ バーは、常に操作ボタン ([戻る]、[スタート]、および [検索]) と同じディスプレイの端に表示され、縦向き、横向きどちらでも画面の幅全体に拡張されます。アイコン ボタンは電話の向きに合わせて回転します。
アプリ バー ボタンは有効または無効な状態で表示できます。たとえば、読み取り専用の項目では [削除] ボタンを無効状態で表示するなどが可能です。
アプリ バーの縦向きでの高さと横向きでの幅は固定で、変更できません。バーは表示または非表示に設定することができます。
アプリ バーは最小化することができ、その場合は高さと幅が変わります。アプリ バーは表示または非表示にできます。透明にしたり、色を変更することもできます。
アプリ バー メニュー
アプリ バー メニューはオプションです。このメニューを使うと、ユーザーがアプリ バーの特定のタスクにアクセスできます。アプリ バー メニューにアクセスするには、アプリ バー内で連続するドットのビジュアル インジケーターをタップするか、アプリ バーを上にフリックします。このビューを閉じるには、メニュー領域外またはドット上をタップするか、[戻る] ボタンを使うか、メニュー項目またはアプリ バー アイコンを選択します。
スクロールせずに済むように、メニュー項目の数は 5 つ以内にしてください。
アプリ バー メニュー
注 表示されるメニュー項目がない場合、アイコンのテキスト ヒントのみが表示されます。ユーザーがアクションを実行するまでアプリ バー メニューは画面上に残ります。
スタート
スタート画面は、ユーザーが電話の電源を入れたときに最初に表示される Windows Phone の画面です。スタート画面には、すばやく起動できるようにユーザーが好みの位置にピン留めして配置したアプリ タイルが表示されます。電話の [スタート] ハードウェア ボタンを押すと、どのアプリが実行されていても常にこのスタート画面に戻ります。
タイル通知機能により、タイルのグラフィックや、タイルの前面または背面にあるタイトル テキストを更新できます。また、カウンターを使ってユーザーのスタート画面エクスペリエンスをよりパーソナルなものにすることもできます。たとえば、受信したメール メッセージの数、ゲームをプレイする順番が来たこと、現在の天気などを表示できます。
スタート画面は常に縦向きのビューで表示されます。
スタート
注 スタート画面は、ユーザーがタイルを配置するために予約された領域です。Windows Phone デバイスには、Microsoft、携帯電話の製造元、携帯電話のサービス プロバイダーによってあらかじめ組み込まれたタイルがあります。アプリでもこの領域にタイルを配置できますが、新しいタイルが配置されるとシステムがスタート画面に移動してユーザーへの通知が行われます。
画面の向き
Windows Phone では、縦、横、反転した縦、反転した横という 4 種類の向きの画面ビューがサポートされています。
縦向きビュー: ページの向きは電話の下部 (反転した縦向きの場合は上部) にある操作ボタン ([戻る]、[スタート]、[検索]) に対して垂直で、ページの縦が横よりも長くなります。縦向きビューはアプリの既定のビューです。
画面の向き
横向きビュー: 横向きビューでは、ステータス バーとアプリ バーが画面の左右に表示されます。横向きの場合はステータス バーが左側に表示され、反転した横向きの場合はステータス バーが右側に表示されます。
どちらの横向きビューでも、ステータス バーのサイズが大きくなります。これは、インジケーターが回転し、最も幅の広いインジケーターが入るようにする必要があるためです。
画面の向きは、次に示すアクションに基づいて変更されます。
最初の画面の向き | 回転 | 変更後の画面の向き |
---|---|---|
縦向き | 60 度左 | 横向き |
縦向き | 60 度右 | 反転した横向き |
横向き | 60 度右 | 縦向き |
反転した横向き | 60 度左 | 縦向き |
横向きまたは反転した横向き、テーブル上に水平に配置 | 30 度上 | 縦向き |
向きのプロパティは読み取り専用に設定されているため、プログラムを使って向きを切り替えることはできませんが、固定の向きを設定することはできます。画面の回転が始まると、画面遷移のアニメーション効果が再生されます。
アプリでは静的な向きのビューを定義することも、AutoRotationPreferences プロパティを使って複数の向きをサポートすることもできます。詳しくは、「Windows Phone アプリ内ナビゲーション」をご覧ください。
アプリ内の横向きビューに対応したシステム コンポーネントには、ステータス バー、アプリ バー、アプリ バー メニュー、音量/着信音/倍日レーションの表示、プッシュ通知、ダイアログがあります。
注
画面が縦向きビューのときにユーザーが横向きのハードウェア キーボードを引き出すと、画面の向きがいずれかの横向きビューに変わります。テキスト入力に大きく依存するアプリでは、オプションの横向きハードウェア キーボードを活用するために、横向きと縦向きの両方のモードをサポートする必要があります。
テキスト入力の多い横向きエクスペリエンスは作成しないことをお勧めします。
ハードウェア ボタン
Windows Phone デバイスにはいくつかのハードウェア ボタンがあります。各ボタンには、実行中のアプリを調整したり、実行中のアプリに影響を及ぼす固有の機能があります。正確な位置はハードウェア製造元によって異なります。
- 電源/スリープ
- 音量増、音量減
- カメラ
- 戻る
- スタート
- 検索
[戻る]、[スタート]、[検索] ボタンは、電話の製造元によっては静電式のタッチ ボタンとして実装されていることがあります。
ハードウェア ボタン
各ボタンが UI に与える影響については、このトピックで後述する各ボタンの説明をご覧ください。
[スタート] ボタン
ユーザーが [スタート] ボタンを押すと、電話のユーザー インターフェイスのスタート画面に移動します。現在実行中のアプリは、イベントを受け取って自動的に一時停止します。
[検索] ボタン
ハードウェアの [検索] ボタンを押すと、Bing 検索エクスペリエンスが開始され、ユーザーはデバイスのどこからでもコンテンツを検索できます。
開発者は [検索] ボタンの動作を変更できません。ただし、アプリで独自の検索ボタンを実装してアプリ内検索を実行したり、Launcher クラスを使って Bing 検索を開始することはできます。
[戻る] ボタン
ハードウェアの [戻る] ボタンは、アプリ内またはアプリ間で前のページ (画面) に戻るために使います。既定ではフレームワークが [戻る] ボタンを処理しますが、アプリでこの動作を上書きできます。また、[戻る] ボタンを使ってメニューやダイアログの終了、前のページへの移動、検索操作の終了、またはアプリの切り替えを行うこともできます。ただし、主な用途は現在のページから前のページに戻ることです。
Windows Phone のページ ナビゲーション モデルについて詳しくは、「Windows Phone のナビゲーション、向き、ジェスチャ」をご覧ください。
重要な注意: アプリが認定に合格して Windows Phone ストアの一覧に登録されるためには、[戻る] ボタンの使用に関連するいくつかの要件を満たしている必要があります。詳しくは、Windows Phone の技術認定要件に関するページをご覧ください。
[戻る] ボタンは、テキスト入力を削除する BackSpace キーとしては使えません。
[音量] ボタン
ハードウェアの [音量] ボタンは、通話の音量 (通話中の場合) や、音楽、ラジオ、ビデオ、アプリ、着信音、システム サウンドなどのデバイス全体の音量 (通話中でない場合) を調整するために使います。
いずれかの [音量] ボタンを押すと、音量コントロールが画面上部のオーバーレイとして表示されます。メディア プレーヤーがアクティブなときは、[前へ] や [次へ] などのオーディオ トランスポート コントロールが [音量] に含まれることもあります。着信音設定のオン/オフを切り替えるコントロールは常に含まれます。このコントロールは、ユーザーが [着信音+サウンド]設定画面で制御できるシステム サウンドの再生に影響します。
電話がロックされていても、メディアの再生中や通話中は [音量] ボタンを使うことができます。
このボタンはシステム全体に作用し、音量設定はアプリにも影響します。このため開発者は、ユーザーが設定した値より音量を上げたり、ミュートを上書きすることはできません。
[音量] ボタンを長押しするとキーを何度も押したのと同じことになり、押したボタンに応じて音量が段階的に大きくなるかまたは小さくなります。
ユーザーが電話を受信したときは、いずれかの [音量] ボタンを押すと着信音が止みます。
バックグラウンド オーディオ エージェントを使うと、どの再生コントロールを有効にするかを変更できます。また、現在再生中のオーディオのタイトルやアーティストを変更することもできます。
開発者は、システムに提供するオーディオ ストリームの音量を、ミュートも含めて制御できます。
[カメラ] ボタン
[カメラ] ボタンは、全押しモードと半押しモードをサポートするデュアル アクション ボタンです。ユーザーが全押しすると、電話でカメラ アプリが起動されます。カメラ アプリの起動後にユーザーが半押しすると、自動フォーカス機能が有効になります。
カメラ アプリ内で [カメラ] ボタンを押すと、カメラ モードのときは写真が撮影され、ビデオ モードのときはビデオ撮影が開始または停止されます。
デバイスがスタンバイ (画面オフ) またはロック状態のときにユーザーが [カメラ] ボタンを 1 秒より長く押し続けると、カメラ アプリが起動されます。
アプリで CameraCaptureUI クラスを使うと、プログラムによってカメラ アプリを起動できます。
未処理のカメラ フィードを使っている場合は、カメラ ボタンを上書きできます。詳しくは、「Windows Phone のハードウェア カメラ シャッター ボタンにアクセスする方法」をご覧ください。