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/clr の制約

/clr の使用に関する制約を次に示します。

  • 構造化例外ハンドラーでは、/clr を指定してコンパイルする場合、_alloca の使用が制約されます。 詳細については、「_alloca」を参照してください。

  • /clr では、ランタイム エラー チェックを使用できません。 詳細については、「ネイティブ ランタイム チェックの使用方法」を参照してください。

  • C++ 標準構文だけを使用するプログラムを /clr を指定してコンパイルするときは、次のガイドラインがインライン アセンブリに適用されます。

    • ネイティブなスタック レイアウトや、現在の関数の外部の呼び出し規約、コンピューターに関するその他の低水準の情報の知識があることをインライン アセンブリ コードで想定し、その知識をマネージ関数のスタック フレームで利用すると、エラーが生じることがあります。 インライン アセンブリ コードが含まれた関数は、アンマネージ関数として生成され、/clr を指定せずにコンパイルされた別のモジュール内に置かれた関数と同様に処理されます。

    • コピー構築された関数パラメーターを渡す関数内でのインライン アセンブリ コードの使用はサポートされません。

  • /clr を使ってコンパイルしたプログラムから vprintf 関数 を呼び出すことはできません。

  • naked __declspec 修飾子は、/clr では無視されます。

  • _set_se_translator によって設定された変換関数は、アンマネージ コードのキャッチにだけ影響します。 詳細については、「/clr の下の例外処理」を参照してください。

  • /clr では、関数ポインターを比較できません。

  • /clr では、完全にプロトタイプ宣言されていない関数を使用できません。

  • 次のコンパイル オプションは /clr でサポートされていません。

  • _STATIC_CPPLIB プリプロセッサ定義 (/D_STATIC_CPPLIB) と /clr または /clr:pure コンパイラ オプションの組み合わせはサポートされていません。 これは、定義によってアプリケーションが、サポートされていない静的マルチスレッドの標準 C++ ライブラリとリンクするためです。 詳細については、「/MD、/MT、/LD (ランタイム ライブラリの使用)」を参照してください。

  • /J/clr:safe および /clr:pure でサポートされていません。

  • ATL ライブラリと MFC ライブラリは純粋なモードのコンパイル (/clr:pure) でサポートされていません。 /MD または /MDd を指定してコンパイルする場合は、C++ 標準ライブラリおよび CRT で /clr:pure を使用できます。

  • /Zi/clr を併用すると、パフォーマンスに影響を及ぼします。 詳細については、「/Z7、/Zi、/ZI (デバッグ情報の形式)」を参照してください。

  • ワイド文字を .NET Framework の出力ルーチンに渡すときに、/Zc:wchar_t を指定しなかったり、文字を __wchar_t にキャストしなかったりした場合、出力は unsigned short int として表示されます。 たとえば、次のようになります。

    Console::WriteLine(L' ')              // Will output 32.
    Console::WriteLine((__wchar_t)L' ')   // Will output a space.
    
  • #pragma unmanaged で関数が指定されている場合を除いて、/clr を指定すると /GS は無視されます。また、関数をネイティブにコンパイルする必要がある場合は、コンパイラによって警告 C4793 が生成されますが、この警告は既定ではオフになっています。

  • マネージ アプリケーションの関数シグネチャの要件については、「/ENTRY」を参照してください。

  • /openmp および /clr を指定してコンパイルされたアプリケーションは、単一の appdomain プロセスでのみ実行できます。詳細については、「/openmp (OpenMP 2.0 サポートの有効化)」を参照してください。

  • 可変個の引数 (varargs) を受け取る関数は、ネイティブ関数として生成されます。 可変個の引数位置のマネージ データ型は、ネイティブの型にマーシャリングされます。 String 型は、実際にはワイド文字の文字列ですが、1 バイト文字の文字列にマーシャリングされます。 したがって、printf の指定子が %S (wchar_t*) の場合は、代わりに %s 文字列にマーシャリングされます。

  • va_arg マクロを使用している場合に /clr:pure を指定してコンパイルを行うと、予期しない結果が発生することがあります。詳細については、「va_arg、va_copy、va_end、va_start」を参照してください。

  • 異なる数の引数を処理するように宣言された関数に、アプリケーションが va_list 型の引数を渡し、そのアプリケーションが /clr:pure を指定してコンパイルされている場合、CLR は NotSupportedException をスローします。 代わりに /clr を使用すると、影響を受ける関数はネイティブ コードにコンパイルされ、適切に実行します。 /clr:safe を使用すると、エラー診断が出力されます。

  • スタックを検索してパラメーター情報 (関数の引数) を取得する関数を、マネージ コードから呼び出さないでください。P/Invoke レイヤーにより、取得された情報がスタックのさらに下に置かれます。たとえば、/clr を指定して proxy/stub をコンパイルしないでください。

  • 関数は可能な限りマネージ コードにコンパイルされますが、すべての C++ 構成要素をマネージ コードに変換できるとは限りません。変換できるかどうかは関数ごとに決定されます。 関数のいずれかの部分がマネージ コードに変換できない場合は、関数全体がネイティブ コードに変換されます。 次のような場合は、マネージ コードが生成されません。

    • コンパイラが生成したサンクまたはヘルパー関数。 関数ポインターを通じたすべての関数呼び出し (仮想関数呼び出しを含む) に対して、ネイティブなサンクが生成されます。

    • setjmp または longjmp を呼び出す関数。

    • 特定の組み込みルーチンを使用してコンピューター リソースを直接操作する関数。 たとえば、__enable と __disable、_ReturnAddress と _AddressOfReturnAddress、またはマルチメディア組み込みを使用すると、関数はすべてネイティブ コードに変換されます。

    • #pragma unmanaged ディレクティブの後ろにある関数。逆の #pragma managed もサポートされます。

    • 配置される型、つまり __declspec(align(...)) を使用して宣言された型の参照を含む関数。

  • コンパイラ COM サポート クラスは /clr:pure または /clr:safe とは併用できません。

参照

関連項目

/clr (共通言語ランタイムのコンパイル)