データ層アプリケーションの配置

データ層アプリケーション (DAC) は、すべての SQL Server データベース エンジンのスキーマと、アプリケーションのサポートに必要なインスタンス オブジェクト (テーブル、ビュー、ログインなど) を定義します。DAC は、DAC パッケージに組み込まれます。DAC パッケージとは、アプリケーションで使用されるすべてのデータベース エンジン オブジェクトを定義するマニフェストを含む XML ファイルで、DAC の配置に使用されます。DAC では、配置および管理を 1 単位として表すことによって、データ層オブジェクトの管理が容易になります。

DAC パッケージの配置

DAC を配置するには DAC パッケージ ファイルを作成する必要があります。1 つのアプリケーション実行可能ファイルがアプリケーション実行可能ファイルの配置メカニズムであるように、DAC パッケージは DAC の配置メカニズムです。DAC パッケージ ファイルの作成の詳細については、「データ層アプリケーションの実装」を参照してください。

セキュリティに関する注意セキュリティに関する注意

ソースが不明または信頼されていない DAC パッケージは配置しないことをお勧めします。こうした DAC には、意図しない Transact-SQL コードを実行したり、スキーマを変更してエラーを発生させるような、悪意のあるコードが含まれている可能性があります。DAC のソースが不明または信頼されていない場合は、使用する前に、DAC をアンパックして、ストアド プロシージャやその他のユーザー定義コードなどのコードも確認してください。DAC の内容の表示の詳細については、「DAC パッケージを検証する方法」を参照してください。

DAC は、SQL Server 2005 Service Pack 4 以降を実行しているデータベース エンジン、または SQL Azure のインスタンスにのみ配置できます。DAC の操作では、SQL Server 2008 R2 のクライアント ツールが必要で、DAC Framework 1.1 が必要になる場合もあります。詳細については、「SQL Server オブジェクトとバージョンの DAC サポート」を参照してください。

データ層アプリケーションの配置ウィザードでは、DAC パッケージを配置する際に、次のような主要な処理が行われます。

  • DAC が配置されるデータベース エンジンまたは SQL Azure のインスタンス名などの配置時のプロパティを要求します。

  • DAC 配置ポリシーが定義されている場合はそのポリシーをインスタンスに対して評価し、評価が成功したか失敗したかを示します。1 つ以上のポリシー条件が満たされていない場合は、別のインスタンスを選択して、指定したインスタンスを再構成することも、重要ではないと判断した場合は評価結果を無視することもできます。オペレーティング システムのバージョンなど、SQL Azure に適用されないポリシー条件は、SQL Azure のインスタンスに配置する場合は常に false となります。

  • データベースと、DAC で定義されたすべてのオブジェクトを作成します。データベースは、復旧モデルなどのプロパティにデータベース エンジンのインスタンスの既定値を使用して作成されます。このデータベースには、次のプロパティを使用して、データ ファイルとログ ファイルが 1 つずつ含まれます。

    • 配置で指定されたファイルの場所。SQL Azure に配置する場合、ファイルの場所は指定できません。

    • データ ファイルのサイズは 3 MB です。拡張増分値は 1 MB で、サイズの制限はありません。

    • ログ ファイルのサイズは 1 MB です。拡張増分値は 10% で、サイズの上限は 2 TB です。

SQL Server Management Studio では、オブジェクト エクスプローラーでサーバーの下にある [管理] ノードへ移動し、[データ層アプリケーション] ノードを右クリックして、[データ層アプリケーションの配置] をクリックすることで、データ層アプリケーションの配置ウィザードを起動できます。

配置後のデータベースは、他のデータベースと同様に管理されます。データベースの構成は、ALTER DATABASE Transact-SQL ステートメント、Management Studio のデータベース管理用のダイアログ、SQL Server PowerShell プロバイダーの SQL Server 管理オブジェクトなど、一般的なメカニズムを使用して行われます。配置プロセスには、次に示すような、DAC の配置直後に一般的な構成を変更するための手順が含まれています。

  • ファイルとファイル グループの作成やファイルのサイズ変更

  • バックアップおよび復元のプロセスの確立とテスト

  • データベース オプションの設定

詳細については、「データベースの変更」を参照してください。

配置された DAC のアップグレード

DAC の最初のバージョンを配置したら、開発チームは、そのアプリケーションおよび DAC の新しいバージョンを開発できます。配置済み DAC を新しいバージョンにアップグレードする方法の詳細については、「データ層アプリケーションのアップグレード」を参照してください。

ログイン パスワード

セキュリティを強化するために、SQL Server 認証のログインは、パスワードなしで DAC パッケージに格納されます。パッケージが配置またはアップグレードされると、ログインは、生成されたパスワードを伴う無効なログインとして作成されます。ログインを有効にするには、ALTER ANY LOGIN 権限を持つユーザーとしてログインし、ALTER LOGIN を使用してログインを有効にします。さらに、新しいパスワードを割り当て、そのパスワードを該当ユーザーに通知します。Windows 認証ログインの場合、ログインのパスワードは SQL Server で管理されていないため、この操作は必要ありません。