Windows 7 評価ガイド

Windows 7 の設計

Windows ソフトウェアは、何億という人々の日常に欠かせない存在になりました。地球の裏側に住む家族や友人に Web カメラで会いに行くことから、お気に入りのプログラムやゲームをちょっと立ち上げてみることまで、大きなものから小さなものまで、さまざまな体験を Windows ソフトウェアが支えています。しかし両方に共通しているのは、こうした体験が直観的、刺激的に、かつスムーズに行われることでユーザーが満足するということです。 Windows 7 の設計では、大小を問わずあらゆる体験でユーザーを満足させることに取り組みました。

マイクロソフトは、Windows プラットフォームの最新リリースであるWindows Vista® と Windows Server® 2008 において、プラットフォーム テクノロジに対して多くの価値ある投資を行いました。これらの例としては、新しいグラフィック サブシステム、新しいドライバー モデル、新しいコンポーネント化モデル、カーネルの大幅な強化によるセキュリティの向上などが挙げられます。 Windows 7 では、アーキテクチャに関する重大な変更はほとんど行われていません。その代わり、 Windows Vista で機能強化されたプラットフォーム上に構築を行うことで、消費者や企業に革新的なエンドツーエンド エクスペリエンスを提供します。マイクロソフトの目標は、パートナーや顧客のWindows Vista における投資を十分に尊重し、顧客がWindows 7 に移行してもこれらの投資が大きな価値を生み続けるようにすることです。

Windows 7 では、顧客満足にとって重要な細部に配慮した、新しいエンドツーエンド エクスペリエンスを提供します。これを実現するために、Windows 7 の設計方法や構築方法に、これまでにない変更点をいくつか加えています。計画プロセスでは、構築予定のテクノロジだけでなく、このリリースで提供されるエンドツーエンド エクスペリエンスがドキュメント化されました。各チームは、顧客がどのようにテクノロジを体験するかを理解しながら、完全なエンドツーエンド シナリオの実現に取り組みました。

優れたカスタマー エクスペリエンスには、ハードウェア、ソフトウェア、デバイス間におけるシームレスな操作性が求められます。 Windows Vista が最初にリリースされた時点では、すべてのマイクロソフト パートナーの製品が Windows Vista プラットフォームに十分に対応したわけではありませんでした。このことが、多くの顧客がWindows Vista への移行を断念した要因となりました。 Windows 7 では、マイクロソフトは初期の計画フェーズからパートナーと緊密に連携し、設計コンセプトに対するフィードバックを早い段階で求めてきました。コードを作成する前には、 OEM との話し合いを持ちました。API を定義する前には、開発者との話し合いを持ちました。新しいデバイスへのサポートを追加する前には、デバイスの製造メーカーと共同で、次世代のハードウェアが実現するであろうシナリオについて、理解を深めていきました。

市場の動向

Windows 7 の設計にあたり、マイクロソフトは業界のこれまでの変遷と今後の方向性について調査しました。その中で、いくつかの重要なテーマが浮かび上がってきました。

  • ハードウェアの進化: タッチ スクリーンを搭載した Tablet PC が登場したのは 5 年以上も前のことですが、新しいデバイスの出現によって、ユーザー エクスペリエンスにおけるタッチ機能の役割が新たに見直されています。その他、普及して一般化したテクノロジには、安定した状態のディスク ドライブ、高速化したワイヤレス ネットワーク、強化された Bluetooth 接続、マルチコア CPU 、64 ビット プロセッサ、強力な新しいグラフィック アクセラレータなどがあります。
  • デバイスの多様化と複雑化の進展: 使用可能なデバイスの種類と範囲が拡大しています。およそ1,500 のプラグ アンド プレイ ID (PnP ID) が日常的に報告されており、2010 年までにはプラグ アンド プレイ デバイスの数が 400 万を超えると予想されています。MP3 プレーヤーや携帯電話などのデバイスは、保存できる情報量が増え、ますます複雑化してきています。
  • モバイル コンピューティングの成長と新しいフォーム ファクター: 米国では今やラップトップ PC がデスクトップ PC よりも一般的です。NetBook 、Ultra-Mobile PC (UMPC) 、Tablet PC などの新しいフォーム ファクターが目ざましい勢いで登場しています。さらに、ラップトップの普及によって、 PC は共有のものではなくパーソナルなものになってきており、ユーザーの購入決定要因として、「自分の個性に合ったコンピューターかどうか」が挙げられることが多くなってきています。
  • 接続オプションの増加: 使用できる接続の種類に関わらず、ユーザーは簡単にネットワークに接続し、オンライン状態を維持することを望んでいます。また、ビジネスとプライベートの活動の境界があいまいになってきている現状では、会社、自宅、または外出先のどこからでも、 1 つの統合されたユーザー エクスペリエンスを通して、関心のあるすべての情報にアクセスできることが求められています。機動性の高い、常時接続された状態を実現することは、企業が競争に勝ち残っていく上で非常に重要です。 IT プロフェッショナルは、コストを最小限に抑え、セキュリティを維持できる方法で、こうした状態を実現できるように取り組んでいます。
  • 各家庭に複数のPC: 今日、米国の一般家庭の 50 パーセント以上は複数の PC を所有しています。ただし、平均的な顧客にとって、ホーム ネットワークの構築は困難です。複数のPC 間で情報を管理し、検索し、選択的に共有することは、さらに難しいことだと考えられます。
  • メディアの役割の向上: 音楽、ビデオ、TV 、写真、増え続ける膨大な Web 上のリッチ コンテンツなど、顧客はますます多くの種類のデジタル メディアにアクセスしています。ワイヤレス ヘッドフォンで音楽を聴く場合でも、大画面テレビで映画を鑑賞する場合でも、顧客はそのメディアを簡単に発見し、使用し、共有することを求めています。複雑さを加えることなく、より多くのデバイスを通してメディアにアクセスできるようになることが望まれているのです。
  • 急速に進化するWeb: Web のブラウズは、依然として PC 上で行う最も一般的な活動であり、人々がWeb 上で過ごす時間と、そして Web から生み出されるものは、 ますます増えています。Web の提供内容をすべてサポートし、日常業務やコンテンツに簡単にアクセスできるようなWeb ブラウズ エクスペリエンスが求められています。さらに、ハッカー、マルウェア、ウィルス、その他の形態のインターネットによる脅威から保護されているという安心感も求められています。

エンジニアリングが注力する領域

こうした動向に基づき、マイクロソフトはいくつかの領域に重点を置いてWindows 7 の設計に取り組みました。この領域には、エンド ユーザーやIT プロフェッショナルに価値を提供する最高の機会があると考えています。

  • ラップトップへの特化: マイクロソフトは、Windows 7 でラップトップ上のユーザー エクスペリエンスを強化することに取り組みました。応答性を高め、エネルギー効率を上げ、セキュリティを強化し、使いやすさを向上しました。
  • サービスの設計: Web ベースのサービスは、ユーザーのコンピューティング エクスペリエンスにおいてますます重要な要素になってきています。そこでマイクロソフトは、 Windows エクスペリエンスのサービス全体の統合に取り組みました。
  • コンピューティング エクスペリエンスのパーソナライズ: マイクロソフトは、すべての人にパーソナライズされたコンピューティング エクスペリエンスを提供できるようにWindows 7 を設計しました。デスクトップ上での制御機能を強化し、さらにすばやく処理を実行できるようにして、日常業務やコンテンツにすぐにアクセスできるようにしました。
  • エンターテイメントへの最適化: Windows 7 では、メディアを他のコンピューターやデバイスと共有するための接続オプションの範囲が広がり、これを活用することで、ユーザーはデジタル メディアを新しい方法で体験できるようになります。
  • 維持/ 管理を容易にする設計: セキュリティやコスト節約量は、企業が新しいオペレーティング システムを採用する場合の重要な要素ですが、採用に際して、アプリケーションやデバイスの互換性は最も大きな障壁となります。そこで、 Windows 7 では管理やセキュリティの維持を簡単にするための強化機能が追加され、 Windows Vista で利用していたアプリケーションやデバイスが正常に動作するように設計されています。

新しい価値を継続して提供

Windows 7 のもうひとつの目標は、定期的なリリース サイクルを確立することです。これによって顧客やパートナーは、コア オペレーティング システムに対する予測可能なアップデートによるメリットを享受できるようになります。ただし、今日の多くのクライアントのエクスペリエンスはWeb を通して提供されており、これらのエクスペリエンスは、 Windows のコア オペレーティング システムのリリースよりも頻繁に革新されていくことが予想されます。この状況に対応するため、マイクロソフトは、新しく強化されたカスタマー エクスペリエンスを継続的に配布する手段として、一般ユーザー向けにはWindows Live™ を、IT プロフェッショナル向けには Microsoft® Desktop Optimization Pack (MDOP) を開発しました。

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