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第 1 章 SQL Server 2000 のインストールと構成~ MCDBA をめざそう!! ~

NRI ラーニング ネットワーク株式会社
技術研修部
清藤 めぐみ

2001年11月22日

はじめに

MCP 試験を受験される方はご存知かと思いますが、Microsoft のサイト(https://www.microsoft.com/japan/learning/mcp/exam.aspx?cert=1&id=70-228Non-MSDN Online link)で試験範囲を確認することができます。一度は目を通しておくことをお勧めします。本連載は、試験トピックスの章立てに併せてポイントを解説していきます。

目次

1. インスタンス インスタンス(既定インスタンス、名前付きインスタンス)
2. セキュリティ モード セキュリティ モード(Windows 認証モード、混合モード)
3. ネットワーク ライブラリ ネットワーク ライブラリ
4. SQL Server のアップグレード SQL Server のアップグレード
5. 照合順序 照合順序

1. インスタンス

SQL Server 7.0 までは 1 台のコンピュータには、1 つのインスタンスしかインストールできませんでした。SQL Server 2000 では、既定インスタンスと、名前付きインスタンスをインストールすることができます。同じコンピュータに複数のインスタンスをインストールした場合は、それぞれのインスタンスが独立したサービスとして動作します(図1-1)。それぞれのインスタンスで、照合順序やその他のオプションに関する個別の設定を持つことができます。

参照: MSUテキスト「SQL Server 2000 システム管理 (P.74)」

図

1-1. インスタンスごとのサービス

2. セキュリティ モード

セキュリティモードには、Windows 認証モードと混合モードがあります。接続するクライアントによって、どちらを使用するかを決めます。

2.1 Windows 認証モード

Windows 2000 または NT のドメインユーザアカウント、もしくはローカルユーザアカウントが必要になり、OS のセキュリティ情報を使用して SQL Server に接続します。クライアントがすべて Windows マシンの場合は Windows 認証モードを使用します。SQL Server のログイン ID は <ドメイン名>\<ユーザ名>(もしくは <コンピュータ名>\<ユーザ名>)になります。

2.2 混合モード

Windows のユーザアカウントと、SQL Server 独自のログインアカウントを使用できます。これは、Windows のユーザ認証を使用できない OS(UNIX など)のクライアントがいる場合に選択します。

参照: MSUテキスト「SQL Server 2000 システム管理 (P.75)」

3. ネットワーク ライブラリ

ネットワーク ライブラリとは、SQL Server とクライアントの間でネットワークパケットを受け渡しする際に使用されるコンポーネントで、DLL(ダイナミック リンク ライブラリ)として実装されています。SQL Server とクライアント間で、ネットワークライブラリが一致していないと接続できません。

SQL Server 2000 がサポートするネットワーク ライブラリは、以下の 8 つがあります。

ネットワーク ライブラリ

説明

TCP/IP ソケット

TCP/IP 上で、標準の Windows ソケットを使用して接続

名前付きパイプ

Microsoft が提供するトランスポートプロトコル上で名前つきパイプを使用して接続

NWLink IPX/SPX

IPX/SPX プロトコルを使用して接続

マルチプロトコル

RPC(リモートプロシージャコール)を使用して接続 Windows ソケット、NWLink IPX/SPX、名前付きパイプを同時にサポート

AppleTalk ADSP

Macintosh ベースのクライアントがネイティブな AppleTalk を使用して接続

Banyan VINES

Banyan VINES IP ネットワークプロトコル上の IPC メソッドとして Banyan VINES Sequenced Packed Protocol(SPP)をサポート

VIA ServerNet II SAN

ServerNet II System Area Network(SAN)上の仮想インタフェースアーキテクチャを使用して接続

VIA GigaNet SAN

GigaNet SAN 上の仮想インタフェースアーキテクチャを使用して接続

表 2-1. SQL Server がサポートしているネットワーク ライブラリ

デフォルトで選択されるネットワーク ライブラリは、TCP/IP ソケット、名前付きパイプの 2 つです。また、名前付きインスタンスでは、マルチプロトコルはサポートされていません。 SQL Server 2000 では、すべてのネットワーク ライブラリで SSL 暗号化の設定ができます(図2-1)。

図

2-1. サーバのネットワーク   ライブラリで暗号化の設定をする

旧バージョンの SQL Server では、マルチプロトコルで、独自の暗号化を設定していました。SQL Server 2000 では、互換性を保つためにマルチプロトコルの独自の暗号化をサポートしています(図2-2)。旧バージョンの SQL ServerとSQL Server 2000 間で暗号化された接続を行いたい場合は、マルチプロトコルの暗号化を設定します。

図

2-2 マルチプロトコルのプロパティで暗号化を設定する

参照: MSUテキスト「SQL Server 2000 システム管理 (P.78~79)」
Books Online (ネットワーク ライブラリ、Net-Library 暗号化)

4. SQL Server のアップグレード

4.1 SQL Server 7.0 からのアップグレード

SQL Server 7.0 がインストールされている場合、SQL Server 2000 のインストールオプションで既定のインスタンスを選択すると、アップグレードすることができます。また、名前付きインスタンスをインストールすると、既存の SQL Server 7.0 のインスタンスをそのまま残しておくことも可能です。

4.2 SQL Server 6.5 からのアップグレード

SQL Server 6.5 がインストールされている場合、まず、SQL Server 2000 の新規インスタンスをインストールします。その後、SQL Server アップグレードウィザードを使用して、SQL Server 6.5 のサーバ設定やデータベースをアップグレードします。

4.3 SQL Server 6.0 からのアップグレード

SQL Server 6.0 から直接アップグレードすることはサポートされていません。まず、SQL Server6.5 もしくは 7.0 にアップグレードしたあと、SQL Server 2000 にアップグレードしなければいけません。

また、レプリケーションの設定をしている場合は、ディストリビューションサーバからアップグレードする必要があります。

参照: MSUテキスト「SQL Server 2000 システム管理 (P.85~86)」

5. 照合順序

照合順序とは、データの比較や照合の方法を決める規則のセットです。デフォルトの照合順序は、SQL Server のセットアップ中に定義します。旧バージョンの SQL Server では、1 台のサーバに対して1つの照合順序のみがサポートされていて、そのサーバにあるすべてのデータベースやテーブルは同じ照合順序が指定されていました。SQL Server 2000 では、1 台のサーバで異なる照合順序のデータベースを扱うことができます。また、テーブルは列レベルで照合順序を指定することができるようになっています。したがって、異なる照合順序が指定されているサーバ上で作成されたデータベースでも、照合順序を変更せずに移行することができます。

参照: MSUテキスト「SQL Server 2000 システム管理 (P.78~79)」
Books Online (照合順序)

「SQL Server 2000 のインストールと構成」の内容はその他のトピックの基礎になる部分です。ここを足がかりに、次のステップに進んでいきましょう!

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清藤 めぐみ : 1997 年に Microsoft 認定トレーナ(MCT)の資格を取得し、Windows NT のトレーニングを担当するようになりました。現在は NRI ラーニングネットワークに所属し、Windows 2000 などのトレーニングや、技術書籍の監修を行う毎日で、あっという間に時間が過ぎてしまいます。そんな状態なので、最近はちょっとストレスがたまり気味。ストレス解消のため、ショッピングにはまってしまい、財布の中身が心許ない今日この頃です。 皆さんのご期待にそえるような記事作りをめざしていきます。よろしくお願いします。