DHTML、スタイル シート、およびスクリプトについて

Microsoft Office 2000/Visual Basic プログラマーズ ガイド   

Office や VBA に精通している開発者にとっても、ここで取り上げている内容については不安な点もあるでしょう。DHTML の使用や Web ページへのスクリプト追加の経験がない場合、このトピックの見出しを見ただけでも困惑するかもしれません。しかし、実際には Web テクノロジの使用と VBA による Office オブジェクトの使用は非常に類似しているため、この章では VBA に関する既存の知識を基に Web テクノロジを使用する入門的な解説となっています。

メモ   この章で紹介するサンプル ファイルには、このトピックおよびほかのトピックで解説されている各種ツールおよびテクノロジの例が収録されています。ここでの記載内容の Office ドキュメントへの適用について理解を深めるには、Office 2000 Developer CD-ROM の ODETools\V9\Samples\OPG\Samples\CH12 サブフォルダに含まれるフォルダがどのように構築されているかを把握し、今後の参考にしてください。この章では、ODETools\V9\Samples\OPG\Samples\CH05 サブフォルダに含まれる HTML ファイルも多用しています。

DHTML には、ドキュメント オブジェクト モデルをとおして HTML 要素およびスタイル シートの情報を使用するためのアプリケーション プログラミング インターフェイス (API) があります。含まれるデータ、その配置場所および外観を操作するため、Web ページのオブジェクトにスクリプトを記述できます。Web ページ上のオブジェクトを操作するスクリプトの記述と、Office ドキュメント上のオブジェクトを操作する VBA コードの記述は基本的に同じものです。

ドキュメント オブジェクト モデルでは、Web ページに表示するデータを、サーバーを通さずにプログラミングにより並び替えたりフィルタできるデータ バインディング アーキテクチャをサポートしています。また、コードあるいはユーザー インターフェイス コンポーネントを組み込む、軽量で、しかも再利用可能なオブジェクトである Microsoft Scripting Components (スクリプトレット) もサポートしています。スクリプトレット は HTML コードおよび Microsoft Visual Basic Scripting Edition (VBScript) または Microsoft JScript などのスクリプトを使用して作成します。

Office ドキュメントにスクリプトを追加するには、Microsoft Script Editor を使用します。Script Editor を Office ドキュメント内で開くには、[ツール] メニューの [マクロ] をポイントし、[Microsoft Script Editor] をクリックします。Script Editor の使用の詳細については、この章の「Office アプリケーションのスクリプト」を参照してください。

VBScript と JScript

Microsoft Internet Explorer は Web ページにおいて VBScript コード、JScript コード、またはその両方を使用できますが、この章では以下の 3 つの理由から VBScript コードに重点を置いて説明します。

  • VBScript は VBA のサブセットであり、VBA の知識があればこのスクリプト言語の使用方法についても容易に理解できます。多くの場合、VBA コードを直接 Web ページに貼り付け、変更を加えることなく実行できます。

  • どちらか 1 つのスクリプト言語のみについても、完全に説明するには膨大な情報量となるため、スペースの都合上、この章では既に精通している言語に的を絞って解説します。

  • VBScript は JScript よりも容易に習得でき、使用方法も簡単です。わかりやすい例として、JScript は大文字と小文字を区別する言語ですが、VBScript は区別しません。VBA コードを記述した経験がある場合、大文字の "I" で始まる If ステートメントにも慣れているでしょう。誤って "I" を小文字にした場合でも、Visual Basic Editor により自動的に大文字に修正されます。VBScript は大文字と小文字を区別しないため、If ステートメントを大文字にしても小文字にしても結果は同じです。JScript では、If ステートメントを小文字で始める必要があり、大文字の "I" を使用すると実行できません。コードのデバッグは複雑なもので、大文字小文字の誤った使用による問題の解決以外にも考慮する点が数多くあります。

ページを表示するブラウザの種類を検出するコードにおいてのみ、Web ページに VBScript コードを使用できない場合があります。VBScript コードは、Internet Explorer 3.0 以降のバージョンで使用可能ですが、Netscape Navigator ではプラグインでのみ使用できます。JScript コードは両方のブラウザで使用できるため、ブラウザの種類を検出するスクリプトの記述には JScript を使用することをお勧めします。VBScript および JScript コードを併用して、ページの表示に使用するブラウザに関する情報を返すスクリプトレットの使用例については、Office 2000 Developer CD-ROM の ODETools\V9\Samples\OPG\Samples\CH12 サブフォルダに含まれる BrowserVersion.htm ファイルを参照してください。

メモ   この章で紹介されている技術の多くには、Internet Explorer 4.01 以降で最適化されるようデザインされているテクノロジの解説も含まれています。特に、この章で説明している 一部の DHTML 機能は、ほかのブラウザで表示した場合、完全に機能しない場合がありますが、ここで取り上げている DHTML 機能は、すべての機能をサポートしないほかのブラウザを使用した場合でも、その機能を使用せずに表示できるようデザインされています。たとえば、Web ページでの対話機能が使用できない場合でも、コンテンツは静的なデータとして表示されます。

この章では、スペースの都合上、Web テクノロジに関する完全な解説を提供することはできません。これらのテクノロジについては、ほかのリソースに詳しい解説があります。ほかのリソースのリストについては、この章の最後にある「その他の参考資料」を参照してください。