IIS における複製とクラスタ化

IIS における複製とクラスタ化

重要   ここで説明するクラスタ化機能は Windows 2000 Advanced Server にのみ使用できます。

Windows のクラスタ化機能は、ネットワーク負荷分散クラスタと、サーバー クラスタの 2 種類のクラスタ化技術を提供し、IIS で使用することができます。 ネットワーク負荷分散クラスタでは、最高 32 サーバーまでの高い拡張性と可用性を提供しています。サーバー クラスタでは、接続された 2 台のサーバーをクラスタ化してフェールオーバー することにより、高い可用性を提供しています。ニーズと使用するリソースに応じて、IISの設定を変えることができます。複数のノードで高い拡張性と可用性が必要な場合は、ネットワーク負荷分散クラスタを使用します。2つのノードで高い可用性のみを必要とする場合は、サーバー クラスタを使用します。

ここでは、ネットワーク負荷分散クラスタとサーバー クラスタの両方の概念について説明しますが、2 台のサーバー クラスタ構成を設定する手順のみ説明します。ネットワーク負荷分散クラスタとサーバー クラスタ、および一般的な Windows クラスタの詳細については Windows 2000 Advanced Server のマニュアルを参照してください。

インターネット インフォメーション サービス (IIS) は Windows 2000 Advanced Server のクラスタ サービス機能と、Microsoft Site Server の CRS (Microsoft Content Replication System) 機能に統合されるように設計されています。また、IIS には、あるサーバー ノードから別のサーバー ノードへアプリケーションなどの IIS メタベース、およびそのほかの構成設定を複製するためのコマンドライン ユーティリティ (Iissync.exe) も用意されています。このユーティリティを使用して、手動で、これらの設定を複製することができます。

Web サービスまたは FTP サービスをクラスタ化する

ここではサーバー クラスタに IIS をセットアップする方法について説明します。クラスタ アドミニストレータ の使用方法を含むサーバー クラスタの詳細については、Windows 2000 Advanced Server のマニュアルを参照してください。

クラスタ化された IIS Web サイト、または FTP サイトは、すべて次の 2 つの部分から構成されています。

  1. IIS クラスタ リソース。
  2. IP アドレス クラスタ リソース。IIS Web サイト、または FTP サイトはこのリソースに依存しています。

 

IIS をサーバー クラスタでセットアップするには

  1. クラスタ アドミニストレータで、新しいリソースの追加先グループを選択します。クラスタ化された環境で言う "グループ" とは、フェールオーバーの 1 単位です。最初の IIS リソースでは、通常、Cluster Group です。そのほかの IIS リソースでは、通常、新しいグループになります。新しいグループを選択すると、この新しいグループにあるリソースは単独でフェールオーバーされます。

  2. [ファイル] メニューで、[新規作成] をポイントし、[リソース] をクリックします。表示されたダイアログ ボックスに新しいリソース名と、このリソースについての説明を入力し、リソースの種類として、ドロップダウン リスト ボックスの [IIS Server Instance] をクリックします。[次へ] をクリックします。

  3. リソースを使用可能にするクラスタにあるノードを選択フィールドから選択します。フェールオーバーを設定するには、ノードを両方とも選択する必要があります。既定の設定では、両方のノードが選択されています。[次へ] をクリックします。

  4. ナビゲーションのウィンドウで、新しいリソースの従属関係を選択します。IIS クラスタ リソースでは、クラスタ IP アドレスなど、最低、1 つはクラスタ IP アドレスの従属関係が必要です。[追加] をクリックして、従属関係を選択します。[次へ] をクリックします。

    • フェールオーバーを正常に動作させるには、IP アドレスの従属関係が必要です。IIS がクラスタの第 2 ノードでフェールオーバーしたときに、IIS Server インスタンスにバインドする必要のある IP アドレスも第 2 ノードでフェールオーバーされるような IP アドレスの従属関係が IIS Server インスタンスになければなりません。
    • クラスタにあるクラスタ化されたディスクにコンテンツが格納されている場合は、IIS Server インスタンスが、このクラスタ化されたディスクに従属するように構成されていることを確認します。このように構成されていない場合、クラスタ化された IIS サーバーがクラスタ化されたディスクへのアクセス権を持たないノードでオンラインになり、フェールオーバー後、IIS からコンテンツにアクセスできなくなる可能性があります。
  5. [FTP] または [WWW] を選択し、ドロップダウン リストからサーバーを選択します。[OK] を選択します。

Web サイトや FTP サイトが IP アドレスにバインドされている場合は、クラスタ IP アドレス リソースを使用して、使用している IIS クラスタ リソースがクラスタ IP アドレス リソースに従属するように設定します。

重要   Web サイト、または FTP サイト プロパティの設定には、IIS スナップインを使用する必要があります。また、この IIS スナップインを使用してクラスタ化されていないコンピュータにある Web サイトや FTP サイトを起動、停止できますが、クラスタ化されたコンピュータにある Web サイトや FTP サイトの起動と停止にはクラスタ アドミニストレータを使用しなければなりません。

構成設定を複製する

 

2 台の Web サーバーまたは FTP サーバー間で構成の設定を複製するには

  • 複製元 (マスタ) サーバーのコマンド プロンプトで、ユーティリティ フォルダ %SystemRoot%\system32\inetsrv に移動します。
  • 「iissync destination」と入力して、構成の設定を複製します。destination には構成設定を複製する先のサーバーのコンピュータ名を指定します。
  • マスタ コンピュータから一度に複数のコンピュータに構成設定を複製するには、iissync コマンドに続けて、複製先のコンピュータ名をスペースで区切って列記します。たとえば、「iissync clusternode_2  clusternode_3 ...」のように入力します。

  • 必要に応じてこのユーティリティを実行し、両方のサーバー ノードで使われている構成設定を同一のものに保つ必要があります。このユーティリティには、構成設定の自動同期や、構成設定に対する変更を自動的に認識する機能はありません。
  • 複製先のサーバーに、ホスト名とポートにバインドされた IP アドレスが既に存在する場合、構成設定を複製しても、この IP アドレスは変更されません。
  • Iissync.exe ユーティリティを動作させるには、指定したクラスタが既に存在していなければなりません。使用されているコンピュータ名が正しくない場合、エラーが返され、複製は行われません。

クラスタ サービスをアンインストールする

クラスタ サービスをアンインストールする前に、クラスタから IIS リソースをすべて削除してください。IIS リソースが残っていると、以前クラスタ化されていた IIS サイトの起動や停止ができなくなります。

クラスタ サービスをアンインストールするには、これまでにクラスタ化された IIS リソースすべてに対して、コマンド プロンプトに次のように入力します。

adsutil set <service name>/<instance id>/ClusterEnabled 0