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基本的なクエリ操作 (Visual Basic)

ここでは、Visual Basic における統合言語クエリ (LINQ) 式と、クエリで実行する一般的な操作について簡単に紹介します。 詳細については、次のトピックを参照してください。

Visual Basic における LINQ の概要

クエリ (Visual Basic)

データ ソースの指定 (From)

LINQ クエリに必要な最初の手順は、照会するデータ ソースを指定することです。 したがって、クエリの From 句を常に最初に指定します。クエリ演算子は、ソースの種類に基づいて結果を選択および設定します。

Dim query = From cust In customers
'           ...

この From 句では、データ ソース customers と範囲変数 cust を指定しています。 範囲変数はループの反復変数に似ていますが、クエリ式で実際の反復が発生しない点が異なります。 通常、For Each ループを使用してクエリを実行すると、範囲変数は customers の連続する各要素への参照として機能します。 cust の型はコンパイラで推論できるので、明示的に指定する必要はありません。 明示的な型指定を使用して作成されたクエリと、使用せずに作成されたクエリの例については、「クエリ操作での型の関係 (Visual Basic)」を参照してください。

Visual Basic で From 句を使用する方法の詳細については、「From 句 (Visual Basic)」を参照してください。

データのフィルター処理 (Where)

おそらく、最も一般的なクエリ操作は、ブール式の形式でフィルターを適用することです。 このようなクエリでは、式が true になる要素だけが返されます。 フィルター処理を実行するには、Where 句を使用します。 フィルターでは、結果のシーケンスに含めるデータ ソース内の要素を指定します。 住所がロンドンにある顧客だけを含める例を次に示します。

Dim londonCusts = From cust In customers
                  Where cust.City = "London"
'                 ...

Where 句では、And や Or などの論理演算子を使用してフィルター式を結合できます。 たとえば、住所がロンドンで名前が Devon の顧客だけを返すには、次のコードを使用します。

Where cust.City = "London" And cust.Name = "Devon" 

住所がロンドンまたはパリにある顧客を返すには、次のコードを使用します。

Where cust.City = "London" Or cust.City = "Paris" 

Visual Basic で Where 句を使用する方法の詳細については、「Where 句 (Visual Basic)」を参照してください。

データの順序付け (Order By)

返されるデータを特定の順序に並べ替えると便利な場合がよくあります。 Order By 句は、返されるシーケンス内の要素を、指定した 1 つまたは複数のフィールドの順に並べ替えます。 たとえば、次のクエリは Name プロパティに基づいて結果を並べ替えます。 Name は文字列なので、返されるデータはアルファベット順 (A ~ Z) に並べ替えられます。

Dim londonCusts1 = From cust In customers
                   Where cust.City = "London"
                   Order By cust.Name Ascending
'                   ...

結果を逆の順序 (Z ~ A) で並べ替えるには、Order By...Descending 句を使用します。 Ascending も Descending も指定しなかった場合の既定値は Ascending です。

Visual Basic で Order By 句を使用する方法の詳細については、「Order By 句 (Visual Basic)」を参照してください。

データの選択 (Select)

Select 句は、返される要素の形式および内容を指定します。 たとえば、完全な Customer オブジェクト、1 つの Customer プロパティのみ、プロパティのサブセット、さまざまなデータ ソースからのプロパティの組み合わせ、計算に基づいた新しい結果の種類のいずれから結果が構成されるかを指定できます。 Select 句がソース要素のコピー以外を生成する場合、その操作は投影と呼ばれます。

完全な Customer オブジェクトで構成されるコレクションを取得するには、範囲変数自体を選択します。

Dim londonCusts2 = From cust In customers
                   Where cust.City = "London"
                   Order By cust.Name Ascending
                   Select cust

Customer インスタンスが多数のフィールドを持つ大きいオブジェクトで、名前のみを取得すればよい場合は、次の例に示すように cust.Name を選択できます。 この場合、ローカル型の推論によって、結果の種類が Customer オブジェクトのコレクションから文字列のコレクションに変更されることが認識されます。

Dim londonCusts3 = From cust In customers
                   Where cust.City = "London"
                   Order By cust.Name Ascending
                   Select cust.Name

データ ソースから複数のフィールドを選択するには、次の 2 つの方法があります。

  • Select 句で、結果に含める各フィールドを指定します。 コンパイラは、それらのフィールドをプロパティとして持つ匿名型を定義します。 詳細については、「匿名型 (Visual Basic)」を参照してください。

    次の例で返される要素は匿名型のインスタンスであるため、コード内で型を名前で参照することはできません。 コンパイラによって指定される型の名前には、通常の Visual Basic コードでは無効な文字が含まれます。 次の例では、londonCusts4 のクエリが返すコレクション内の各要素は匿名型のインスタンスです。

            Dim londonCusts4 = From cust In customers
                               Where cust.City = "London"
                               Order By cust.Name Ascending
                               Select Name = cust.Name, Phone = cust.Phone
    
            For Each londonCust In londonCusts4
                Console.WriteLine(londonCust.Name & " " & londonCust.Phone)
            Next
    
    

    または

  • 結果に含める特定のフィールドを格納する名前付きの型を定義し、Select 句で型のインスタンスを作成および初期化します。 この方法は、コレクション内に返された個々の結果を、そのコレクションの外部で使用する必要がある場合、またはメソッド呼び出しのパラメーターとして渡す必要がある場合にのみ使用します。 次の例では、londonCusts5 の型は IEnumerable(Of NamePhone) になります。

    Public Class NamePhone
        Public Name As String
        Public Phone As String
        ' Additional class elements
    End Class
    
    Dim londonCusts5 = From cust In customers
                       Where cust.City = "London"
                       Order By cust.Name Ascending
                       Select New NamePhone With {.Name = cust.Name,
                                                  .Phone = cust.Phone}
    

Visual Basic で Select 句を使用する方法の詳細については、「Select 句 (Visual Basic)」を参照してください。

データの結合 (Join および Group Join)

From 句では、いくつかの方法で複数のデータ ソースを結合できます。 たとえば、次のコードは 2 つのデータ ソースを使用し、結果で両方のデータ ソースのプロパティを暗黙的に結合します。 このクエリは、姓が母音で始まる生徒を選択します。

Dim vowels() As String = {"A", "E", "I", "O", "U"}
Dim vowelNames = From student In students, vowel In vowels
                 Where student.Last.IndexOf(vowel) = 0
                 Select Name = student.First & " " &
                 student.Last, Initial = vowel
                 Order By Initial

For Each vName In vowelNames
    Console.WriteLine(vName.Initial & ":  " & vName.Name)
Next

注意

方法: 項目のリストを作成する」で作成した生徒のリストを使用して、このコードを実行できます。

Join キーワードは、SQL の INNER JOIN に相当します。 2 つのコレクション内の要素間で一致するキー値に基づいて、2 つのコレクションを結合します。 クエリは、一致するキー値を持つコレクション要素のすべてまたは一部を返します。 たとえば、次のコードは前の暗黙的な結合と同じ動作を実行します。

Dim vowelNames2 = From student In students
                  Join vowel In vowels
                  On student.Last(0) Equals vowel
                  Select Name = student.First & " " &
                  student.Last, Initial = vowel
                  Order By Initial

Group Join は、SQL の LEFT JOIN と同じように、コレクションを 1 つの階層コレクションに結合します。 詳細については、「Join 句 (Visual Basic)」および「Group Join 句 (Visual Basic)」を参照してください。

データのグループ化 (Group By)

Group By 句を追加すると、要素の 1 つ以上のフィールドに従って、クエリ結果内の要素をグループ化できます。 たとえば、次のコードは生徒を学年別にグループ化します。

Dim studentsByYear = From student In students
                     Select student
                     Group By year = student.Year
                     Into Classes = Group

For Each yearGroup In studentsByYear
    Console.WriteLine(vbCrLf & "Year: " & yearGroup.year)
    For Each student In yearGroup.Classes
        Console.WriteLine("   " & student.Last & ", " & student.First)
    Next
Next

方法: 項目のリストを作成する」で作成した生徒のリストを使用してこのコードを実行すると、For Each ステートメントの出力は次のようになります。

Year: Junior

    Tucker, Michael

    Garcia, Hugo

    Garcia, Debra

    Tucker, Lance

    

Year: Senior

    Omelchenko, Svetlana

    Osada, Michiko

    Fakhouri, Fadi

    Feng, Hanying

    Adams, Terry

    

Year: Freshman

    Mortensen, Sven

    Garcia, Cesar

次のコードに示すバリエーションでは、学年を並べ替え、各学年の生徒を姓の順に並べ替えます。

Dim studentsByYear2 = From student In students
                      Select student
                      Order By student.Year, student.Last
                      Group By year = student.Year
                      Into Classes = Group

Group By の詳細については、「Group By 句 (Visual Basic)」を参照してください。

参照

参照

IEnumerable<T>

概念

標準クエリ演算子の概要

LINQ クエリの基本操作 (C#)

その他の技術情報

Visual Basic の LINQ の概要

クエリ (Visual Basic)

LINQ (Visual Basic)