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SQL Server Compact 3.5 と Visual Studio

Microsoft SQL Server Compact 3.5 (SQL Server Compact 3.5) では、デスクトップ コンピューター、スマート デバイス、および Tablet PC に配置できる小さなデータベースを作成できます。 

SQL Server Compact 3.5 を使用するアプリケーションをビルドする場合は、Microsoft .NET プログラミング言語 (Microsoft Visual Basic または Microsoft Visual C#) の 1 つと .NET Framework または .NET Compact Framework を使用してマネージ アプリケーションを作成できます。 さらに、Microsoft Visual C++ または Visual C++ for Devices を使用して、ネイティブ アプリケーションを作成することもできます。

注意

アプリケーションを作成する際、推奨されるローカル データベースは SQL Server Compact 3.5 です。 アプリケーションへのデータベースの組み込みの詳細については、「ローカル データの概要」を参照してください。

マネージ アプリケーションとネイティブ アプリケーションのいずれを作成するかは、開発者のニーズとスキルによります。 Microsoft Visual C++ プログラミングに詳しく、システム リソースをより細かく制御する必要がある開発者は、Visual C++ を使用してネイティブ アプリケーションを作成できます。 既に .NET Framework を使用して Microsoft Windows ベース アプリケーションまたは Web アプリケーションを開発しており、.NET プログラミング言語のいずれかに詳しい開発者は、デスクトップ コンピューターと Tablet PC 用の .NET Framework、またはスマート デバイス用の .NET Compact Framework を利用できるマネージ アプリケーションの作成を検討することをお勧めします。

SQL Server Compact 3.5 コンポーネント

注意

既定では、SQL Server Compact 3.5 ドキュメントはローカルにインストールされません。 SQL Server Compact 3.5 Books Online をダウンロードするには、SQL Server 2005 Compact Edition Books Online のダウンロード センターにアクセスしてください。

SQL Server Compact 3.5 コンポーネントは、次の 3 つの Microsoft Windows インストーラー (.msi) ファイルからインストールできます。

  • SSCE 3.5 デザイン ツール (SSCEVSTools-ENU.msi)

    このファイルにより、Visual Studio と共に SQL Server Compact 3.5 デザイン時コンポーネントがインストールされます。 デザイン時コンポーネントとは、SQL Server Compact 3.5 対応のアプリケーションを作成するときに使用するユーザー インターフェイス、ダイアログ ボックス、およびデザイン時環境を意味します。 SQL Server Compact 3.5 デザイン時コンポーネントは、%Program Files%\Microsoft Visual Studio 9\Common7\IDE\ ディレクトリの下にインストールされます。 これらのコンポーネントは、Visual Studio にバンドルされており、Visual Studio 以外から入手することはできません。 SQL Server Compact 3.5 サンプルと SQL Server Compact 3.5 ヘッダー ファイル (ネイティブ開発用) も、この .msi ファイルによってインストールされます。

  • SQL Server Compact 3.5 (SSCERuntime-JPN.msi)

    このファイルにより、デスクトップ コンピューターおよび Tablet PC 用の SQL Server Compact 3.5 ランタイム コンポーネントが、中心となる %Program Files%\Microsoft SQL Server Compact Edition\v3.5 フォルダーにインストールされます。 デスクトップと Tablet PC 用の SQL Server Compact 3.5 ランタイム コンポーネントは、Visual Studio でアプリケーションを開発したり、デスクトップ上で SQL Server Compact 3.5 ベースのアプリケーションを実行したりするのに必要です。 この .msi ファイルでは、次のコンポーネントもインストールされます。

    • Microsoft Synchronization Services for ADO.NET コンポーネント。 Microsoft Synchronization Services for ADO.NET コンポーネントは、%Program Files%\Microsoft Synchronization Services\ADO.NET\v1.0 にインストールされます。
  • SQL Server Compact 3.5 for Devices (SSCEDeviceRuntime-ENU.msi)

    このファイルにより、SQL Server Compact 3.5 デバイス用ランタイム コンポーネントが %Program Files%\Microsoft SQL Server Compact Edition\v3.5\Devices にインストールされます。 このランタイム コンポーネントは、Visual Studio で Windows Mobile および Windows CE デバイス ベースのアプリケーションを開発したり、モバイル デバイスにこれらのアプリケーションを配置したりするのに必要です。

SQL Server Compact 3.5 の注目すべき機能

アプリケーションのローカル データ ストアとして SQL Server Compact 3.5 を使用する場合、注目すべき機能として次の点が挙げられます。 

  • SQL Server Compact 3.5 はファイル ベースのデータベース エンジンです。つまり、接続文字列はデータベース (.sdf) ファイルのパスになります。

  • SQL Server Compact 3.5 はサービスとして実行されません。 これは、SQL Server Compact 3.5 が SQL Server や SQL Server Express Edition と大きく異なる点です。

  • SQL Server 2005 Mobile Edition と同様に、SQL Server Compact 3.5 は複数接続をサポートしています (最大 256 接続)。 異なるプロセスで接続を開くこともできます。

  • 現在のバージョンの SQL Server Compact 3.5 は、最大 4 GB のデータベース ファイルをサポートしています。

SQL Server Compact 3.5 を使用する状況

SQL Server Compact 3.5 は、DLL (約 1.4 MB) から成るファイル ベースのデータベースです。

SQL Server Compact 3.5 に適したアプリケーションのシナリオの例を次に示します。

配置オプション

SQL Server Compact 3.5 は、2 とおりの配置モデルでアプリケーションに組み込むことができます。

ClickOnce

ClickOnce 配置など、従来の Microsoft セットアップ テクノロジのほか、 ファイル ベースの配置を利用することもできます。後者の方法では、SQL Server Compact 3.5 の DLL を追加し、それをプロジェクトと共に配置することになります。

データ ディレクトリのサポート

SQL Server Compact 3.5 では、新たにデータ ディレクトリ マクロがサポートされています。 つまり、「|DataDirectory|」のように、前後にパイプ記号を付けて文字列をファイル パスに追加すると、その文字列がデータベースのパスに解決されます。

たとえば、次のような接続文字列があるとします。

"Data Source= c:\program files\MyApp\Mydb.sdf"

この接続文字列は、データ ディレクトリを使用して次のように指定することもできます。

"Data Source = |DataDirectory|\Mydb.sdf"

詳細については、「方法 : SQL Server Compact 3.5 データベースをアプリケーションと共に配置する」を参照してください。

下位互換性

SQL Server Compact 3.5 は、デスクトップ コンピューターおよび Tablet PC コンピューター上に以前のバージョン (3.1) と一緒にインストールできます。 以前のバージョンで作成したデータベース ファイルを開こうとすると、ファイルが開けないことを示すメッセージが表示されます。 これを開くには、Visual Studio の [SQL Server Compact 3.5 へのアップグレード] ダイアログ ボックスを使用して、データベース ファイルをアップグレードする必要があります。 [SQL Server Compact 3.5 へのアップグレード] ダイアログ ボックスを開くには、[接続の追加] ダイアログ ボックスで設定を終了しておく必要があります。 旧バージョンのデータベース ファイルを開いた場合は、エラー メッセージが表示されます。 [OK] をクリックすると、[SQL Server Compact 3.5 へのアップグレード] ダイアログ ボックスが表示されます。 SQL Server Compact 3.5 ファイルの拡張子は .sdf で、旧バージョン (SQL Server 2005 Compact Edition および SQL Server 2005 Mobile Edition) の拡張子と同じです。 データベース ファイルが SQL Server Compact 3.5 にアップグレードされると、旧バージョンの SQL Server Compact エンジンを使ってそのデータベース ファイルを開くことはできなくなります。

SQL Server Compact 3.5 Books Online

既定では、SQL Server Compact 3.5 ドキュメントはローカルにインストールされません。 SQL Server Compact 3.5 Books Online をダウンロードするには、SQL Server 2005 Compact Edition Books Online のダウンロード センターにアクセスしてください。 SQL Server Compact 3.5 Books Online は、デスクトップ コンピューター、モバイル デバイス、および Tablet PC 上で SQL Server Compact 3.5 アプリケーションを開発、管理、および配置するために必要な概念とプログラミング情報を提供します。

64 ビット開発

Visual Studio と SQL Server Compact 3.5 で 64 ビット開発を行う場合は、[コンパイラの詳細設定][ターゲット CPU] オプションを明示的に [x86] に設定する必要があります。 [ターゲット CPU] が既定値の [Any CPU] に設定されていると、"sqlceme35.dll を読み込めません" というメッセージが表示されることがあります。 [ターゲット CPU] オプションは、プロジェクト プロパティの [コンパイラの詳細設定] で設定します。

参照

処理手順

方法 : SQL Server Compact 3.5 データベースをプロジェクトに追加する

方法 : SQL Server Compact 3.5 データベースをアプリケーションと共に配置する

チュートリアル : SQL Server Compact 3.5 データベースの作成

チュートリアル : アプリケーションへの SQL Server Compact 3.5 データベースの追加とその配置

その他の技術情報

接続の頻度があまり高くないアプリケーション (ローカル データベース キャッシュ)

SQL Server Compact 3.5 オンライン ブックおよびサンプル