単純復旧モデルでのバックアップ

重要な注意事項重要

最新の変更内容の消失が許されない実稼働システムの場合、単純復旧モデルは適していません。このようなシステムでは、完全復旧モデルの使用をお勧めします。詳細については、「完全復旧モデルでのバックアップ」を参照してください。

単純復旧モデルを使用すると、バックアップと復元の形式は最も簡単になります。この復旧モデルは、データベース バックアップとファイル バックアップの両方をサポートし、これにはユーザー データとアクティブなトランザクション ログのデータが含まれます。ただし、個別のログ バックアップはサポートされていません。ログ バックアップがないことで、バックアップと復元の管理が容易になりますが、データベースは、最新のバックアップの時点までしか復元できません。

サンプル バックアップ方法

次の図は、単純復旧モデルでの最も簡単なバックアップと復元方法の例を示しています。この方法では、データベース内のすべてのデータを含むデータベースの完全バックアップのみを使用します。5 つのデータベースの完全バックアップが存在しますが、復元する必要があるのは、時刻 t5 に作成した最新のバックアップだけです。このバックアップを復元すると、データベースは t5 の時点の状態に戻ります。それ以降 (t6) の更新はすべて失われます。

単純モデルのデータベースの復元

注意注意

単純復旧モデルでは、非アクティブな仮想ログ ファイルを削除するために、トランザクション ログが自動的に切り捨てられます。通常、切り捨ては各チェックポイント後に発生しますが、条件によっては遅延が発生する場合があります。詳細については、「トランザクション ログの切り捨て」を参照してください。

作業損失リスクの回避

単純復旧モデルでは、次の完全バックアップまたは差分バックアップが実行されるまで、作業損失の可能性が増加していきます。完全バックアップとは異なり、差分バックアップでは、前の完全バックアップ以降に行われた変更のみが対象になります。このため、大量のデータの損失を回避できるように、ただし管理できなくなるほど頻繁にはならないように、十分な頻度でバックアップをスケジュールすることをお勧めします。

次の図に、データベース バックアップのみを使用するバックアップ計画における作業損失の可能性を示します。この方法は、非常に頻繁にバックアップできる小さなデータベースの場合にのみ適しています。

データベース バックアップ間でのデータ損失の危険性

次の図は、データベース バックアップを差分バックアップによって補完することにより、作業損失の可能性を低減させるバックアップ方法を示しています。最初のデータベース バックアップの後で、3 回の差分バックアップを実行します。3 回目の差分バックアップは大きくなるため、次のバックアップをデータベース バックアップにします。このバックアップによって新しい差分ベースが作成されます。

データベース バックアップ (完全および差分)

これらの各種バックアップの使用の詳細については、「データベースの完全バックアップ」および「差分バックアップの使用」を参照してください。

データベースのバックアップの作成

データベースの完全バックアップを作成するには

データベースの差分バックアップを作成するには

バックアップ ジョブのスケジュールを設定するには

バックアップを使用したデータベースの復元

完全バックアップと差分バックアップには、データベースを復旧するのに十分なログ データが含まれています。データベースを復元するには、一連の復元操作 (復元シーケンス) を実行する必要があります。復元シーケンスでは、まず完全バックアップを復元し、必要に応じて対応する差分バックアップを復元します。複数のファイルを復元するときなど、場合によっては、完全バックアップと差分バックアップの複数のペアを復元する必要が生じる場合があります。関連するバックアップを復元した後、データベースを復旧する必要があります。復元シナリオの概要については、「復元と復旧の概要 (SQL Server)」を参照してください。

単純復旧モデルで作成されたバックアップを復元するときの制限事項の詳細については、「単純復旧モデルの復元に関する制限事項」を参照してください。