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はじめに

Microsoft Visual C# .NETを初めて使ったとき、私はコーディング作業の生産性が非常に高まっていることに驚かされました。私が使用したのはベータ以前のリリースでしたが、開発環境とMicrosoft .NET Frameworkでは多くの作業が簡略化されていました。生産性向上の要因となっていたのは次の4つです。

  • コンポーネントベース開発に適したC#プログラミング言語
  • 共通言語ランタイムが提供する簡略化されたプログラミング/配置モデル
  • .NET Frameworkとその関連クラスライブラリ
  • Microsoft Visual Studio .NET環境に含まれている開発の自動化機能

Visual C# .NETに含まれている開発ツールは、1980年代半ば、私がWindowsプログラミングを始めた当時に使用していたツールと比べると、何光年も先まで進んでいます。Visual C# .NETについての本の執筆を依頼されたとき、私は断ることができませんでした。皆さんにとっても、Visual C# .NETでの作業は必ず満足の得られるものになるでしょう。その手がかりとして、本書を選んでいただいたことに感謝します。

私は読者と話すのが好きです。著書に関する質問も喜んでお受けします。本書の内容について意見や質問がある場合は、mickey.williams@codevtech.comまでご連絡ください(ただし英文にて)。常にすぐに返信できるわけではりませんが、できるだけすべてのメールに返信するように努力しています。

対象とする読者

本書は、Microsoft Visual C# .NETを使ってC#プログラミング言語を学習したい開発者のための本です。本書の目的は、Visual C# .NETでのプログラミングについて広範囲にわたって大要を説明することにあるので、さまざまなトピックを取り上げます。C#プログラミング言語に加え、.NET Framework内のよく使用するクラス、Windowsフォームプログラミング、Microsoft ASP.NET、XML(eXtensible Markup Language)、XML Webサービスなどについても説明します。

システム要件

本書を使用するには、Visual C# .NETまたはVisual Studio .NETをコンピュータにインストールする必要があります。Visual C# .NETを使用するための最小要件を満たすコンピュータであれば、本書で紹介する大部分のサンプルは問題なく動作します。ただし、Microsoft Windows XP Home EditionとMicrosoft Windows NT 4は、.NET FrameworkによるXML WebサービスとASP.NET Webアプリケーションのホストをサポートしていません。これらのオペレーティングシステムでは、これらのプロジェクトを作成することはできますが、そのプロジェクトを実行するには正しく構成されたホストにプロジェクトをアップロードする必要があります。このため、Microsoft Windows XP ProfessionalまたはMicrosoft Windows 2000 で開発を行うことをお勧めします。第20章のサンプルを実行するためには、Microsoft IIS(Internet Information Services)バージョン4以降が必要です。また、第16章のサンプルを実行するためには、Microsoft SQL Server Desktop Engine(MSDE)をインストールし、サンプルデータベースをインポートしておく必要があります。

本書の構成

本書は5つの部から構成されており、それぞれVisual C# .NETプログラミングについて異なる側面を説明しています。

  • 第1部 ─ Visual C# .NET環境と、C#プログラミング言語の中核となる部分を紹介する。
  • 第2部 ─ C#プログラミング言語と.NET Frameworkのより高度な部分について説明する。デリゲートや例外処理に加え、コレクションクラス、デバッグ、マルチスレッドコードの書き方についても説明する。
  • 第3部 ─ Visual C# .NETを使ってグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)アプリケーションを作成する方法について説明する。.NET Frameworkには、Windowsフォームに基づくアプリケーションを作成するための幅広いサポートが組み込まれており、数多くの高度なコントロールを簡単に利用できる。
  • 第4部 ─ ADO.NETとXMLについて説明する。ADO.NETを使ってSQL Serverなどのデータベースにアクセスする方法を学ぶ。また、XMLを操作するための新しいモデルを実装する.NET Frameworkのクラスについても説明する。.NET FrameworkとVisual C# .NETを使用すれば、ADO.NETでもXMLでもデータを簡単に管理できる。
  • 第5部 ─ ASP.NETとVisual C# .NETを使ったWebアプリケーションの作成方法と、XML Webサービスの使い方を紹介する。

サンプルについて

本文中で使用しているサンプルプロジェクトは、本書の付属CD-ROMに収録されています。これらのサンプルを使用するには、付属CD-ROMをコンピュータのCD-ROMドライブに挿入し、CD-ROM内のフォルダをコンピュータにコピーします。必要に応じて、フォルダとファイルの読み取り専用属性を解除してください。サンプルは章ごとにフォルダにまとめられています。うまく実行できないサンプルがある場合は、本書の中でそのサンプルについて説明している部分を参照してください。

注意事項

本文中では、次のような注意事項が示されています。

  • は、本文で記載されている内容に関係して留意すべき点を示します。
  • 警告は、重大な結果が起こり得ることを示します。
  • ヒントは、別の手段などを示します。
  • メモは、補足的な参考情報を示します。

表記規則

本書の表記規則は、次のとおりです。

  • 文字または数字のプレースホルダは、山かっこ(<>)で囲んで示します。
  • ウィンドウ名、ボタン名、ダイアログボックス名などの画面用語は、角かっこ([ ])で囲んで示します。
  • 書籍名は二重かっこ(『 』)に囲んで示します。
  • フォルダ名は、角かっこ([ ])で囲んで示します。
  • monospace(等幅フォント)はサンプルコード、画面出力の例、コマンドライン入力などを表します。

本書のサポート

本書の内容については細心の注意を払っておりますが、発行後に判明した訂正情報については、次のURLで提供いたします。

http://www.nikkeibp.co.jp/MSP/

内容についてご質問またはご意見がございましたら、次の宛先まで電子メールまたはFAXでご連絡ください。ただし、本書の内容と関係のないご質問や、本書の範囲を超えるご質問にはお答えできませんので、ご了承ください。

電子メール:msp@nikkeibp.co.jp
FAX:(03)3221-6138

なお、この窓口は製品サポートではありませんのでご注意ください。

本書に掲載されているWebサイトについて

本書に掲載されているWebサイトに関する情報は、本書の編集時点での確認済みのものです。Webサイトは、内容やアドレスの変更が頻繁に行われるため、本書の発行後、内容の変更、追加、削除や、アドレスの移動、閉鎖などが行われる場合があります。あらかじめご了承ください。

本書で使用したハードウェアとソフトウェア

本書の制作にあたって、次のハードウェアとソフトウェアを使用しました。

  • コンピュータ
    IBM PC AT互換(DOS/V)機
  • キーボード
    106日本語キーボード
  • ソフトウェア
    Microsoft Windows XP Professional 日本語版
    Microsoft Visual Studio .NET 日本語版

本書で使用している画面は、デスクトップ領域を1024×768ピクセルに設定しています。使用しているコンピュータのディスプレイの解像度によっては、本書と同じ大きさで表示されない場合があります。あらかじめご了承ください。