Windows XP
Microsoft Windows XP : 開発者にとっての意義

Kyle Marsh, Dave Massy, and John Boylan
Microsoft Corporation

February 2000
日本語版最終更新日 2001年8月20日

要約 : この記事では、Microsoft Windows XP の機能をいくつか紹介し、それらの機能が Windows 用に開発されたソフトウェアに与える影響について説明します。特に、新しくなった Windows XP の表示スタイル、ComCtl32、サイド バイ サイド コンポーネント共有、およびユーザーの簡易切り替えについて解説します。

はじめに

Microsoft® Windows® XP には、画期的な新しい特色や機能が数多く加えられています。大きな変化がありますが、これまで Windows アプリケーションの開発で成功を収めてきた開発者であれば、この新しい Windows XP を使ってさらに優れたアプリケーションを開発できるでしょう。

簡単に言えば、Windows XP は、Microsoft Windows 2000 の強力な基盤上に構築され、かつ Windows Millennium Edition (Me) のユーザーフレンドリな特性の上に拡張された、Microsoft 待望のオペレーティングシステムです。

Windows XP 用のアプリケーションを開発するには、いくつかの新しい技術を適用する必要がありますが、それほど難しいことではありません。それより重要なのは、Windows 2000 の発表以来、Microsoft が繰り返してきたメッセージ、つまり、開発したアプリケーションが良い "市民" であれば、それらが Windows XP でよりよく機能するということです。Windows XP アプリケーションには、"資源を共有する"、"他の人と仲良く遊ぶ"、"規則を守る" といった、幼稚園で学ぶような基本的なルールがそのまま当てはまります。つまり、重要なのは協力関係です。

Windows XP の概要

Windows XP は、Microsoft Windows 2000 と Microsoft Windows Me の流れをくみながらも、それらに取って代わる新しいバージョンの Microsoft Windows オペレーティング システムです。Windows 2000 コードベースを基盤としており、Windows 2000 オペレーティング システムの信頼性やパフォーマンスを受け継いでいます。また、システム復元機能、Windows Media Player、Windows Image Acquisition (WIA) 機能など、Windows Me オペレーティング システムの新しい機能も受け継いでおり、それをさらに拡張しています。

クライアント マシン用には、Windows XP Professional と Windows XP Home の 2 つのエディションが用意されています。Professional エディションは Windows 2000 Professional を受け継ぐ、ビジネス ユース向けのもので、企業やその他の業務で必要とされている機能を提供します。一方、Home エディションは Windows Me を受け継いでおり、一般ユーザー向けです。どちらの Windows XP エディションも、デジタル メディアの拡張サポートなどの機能や、新しいコンピュータ共有機能であるユーザーの簡易切り替えを採用しています。

一方、サーバー用には、現在の Windows 2000 構成に対応する 3 つのエディションがあります。部門サーバー、ビジネスにおける一連のタスク、Web アプリケーション向けの Advanced Server エディション、Server エディション、そして高可用性が求められるミッション クリティカル アプリケーション用の Datacenter Server エディションの 3 つです。この記事では、主にクライアント用のエディションに焦点を当てます。サーバー用のエディションの機能については、将来の記事で説明します。

ビジネス ユーザーと一般ユーザーのどちらも満足させるシステムを提供するため、Windows XP には新しい機能が用意されています。まず最初に気付かれるのは、その一新された表示スタイルでしょう。より大きくなった高性能アイコンを利用すれば、開発コストを最小限に抑えつつ、強力な機能をユーザーに提供することができます。タスク バーも改良され、同じアプリケーションの複数のウィンドウをグループ化して、情報を整理するのが楽になりました。そのほかにも、強化された電源管理、サイド バイ サイド コンポーネント共有、ユーザーの簡易切り替え、高密度画面サポート、Passport との統合、さらに使いやすくなったバルーンによる通知機能、および GDI+ などがサポートされるようになりました。新しい機能は他にも多数あります。

この記事では、開発者にとって最も重要な部分、つまり、新しい ComCtl32 バージョン 6 を使った新しい UI の作成、サイド バイ サイド共有の作成、および Windows XP のユーザーの簡易切り替え機能とリモート デスクトップ機能の利点を活用したアプリケーションの作成について簡単に説明します。来月以降、MSDN ではそれらの機能について詳しく解説していきます。また、これらの機能に関する詳細情報は Platform SDK にも含まれています。さらに多くの情報が含まれている Windows XP ベータ 2 SDK リリースが、すべての MSDN サブスクリプション会員に配布される予定です。

新しいデザイン

Microsoft Windows の表示スタイルは、Windows 95 から現在に至るまで、ほとんど変化しませんでした。浮き彫りになったグレーの 3 次元ダイアログ ボックス コントロールは、Windows の同義語になったほどです。ところが Windows XP では、その表示スタイルがまったく新しくなりました。Windows XP では、システムの表示スタイルを決定するデスクトップ テーマが構築されています。デスクトップ テーマは、Windows 95 Plus Pack で初めて紹介されたものです。元々のデスクトップ テーマは、ユーザーが設定したカラー スキーム、フォント、フォント サイズ、壁紙を変更しただけでしたが、Windows XP のテーマは、コントロール、ウィンドウ境界、およびメニューの表示方法までも変更します。

タスク バーも完全に見直されました。これまでは、タスク バー上のスペースに限界があったため、開かれているウィンドウの数が多くなると個々のボタンが小さくなってしまいました。タスク バー ボタンが小さくなりすぎて見分けがつかなくなることもしばしばありました。Windows XP では、一度に多くのウィンドウを開くとボタンが小さくなってしまう問題を解決するため、ボタンのグループ化を可能にしました。たとえば、5 つの Microsoft Word 文書を開いている場合、5 つのボタンではなく 1 つだけが表示されます。そのボタンをクリックするとメニューが開かれ、現在開かれているすべてのウィンドウが一覧表示されます。

通知領域も整理されました。元々は、現在の問題をユーザーに通知するための領域でしたが、いつの間にか、アプリケーションを起動するための領域になってしまいました。Windows XP では、ユーザーへの通知を行っていないアイコンを非表示にすることにより、画面が乱雑になることを防ぎます。ユーザーはアイコンの代わりに矢印を表示したり、どのアイコンを常に表示または非表示にするかなどの設定を変更することができます。

アプリケーションを起動するときの動作も変わりました。デスクトップが乱雑にならないようにするために、[ごみ箱] 以外のすべてのアイコンは、より大きくて新しい [スタート] メニューに移動しました。新しいメニューでは、ユーザーが頻繁に使用するアプリケーションの画面の隣に、システム提供の機能が青色のセクションに表示されます。さらに、Windows XP は、使用されていないアプリケーション アイコンをデスクトップ上で定期的に検索し、ユーザーがそれらのアイコンをデスクトップから削除する際に役立つデスクトップ ウィザードを提供します。デスクトップ上に保存されているデータは、そのまま残されます。

Windows XP 自体で 2 つの表示スタイルが用意されています。つまり、従来の Windows スタイルと、Whistler スタイルと呼ばれる新しいスタイルです。さらに、Windows XP には、ISV を新しいスタイルと同期させるためのメカニズムが備わっており、将来 Microsoft が、個別に基本設定を設定できるスタイルを追加したとしても、それらの調整を、Windows XP 用に開発されたアプリケーションに自動的に適用することができます。

一見、Windows WP で複数のスタイルを使用できるという機能は、Windows Media Player などのアプリケーションで採用されているスキン機能と同じに思われますが、実際には多くの違いがあります。テーマを選択した場合、オペレーティング システムの表示スタイルは変わりますが、提供される UI は Windows の以前のバージョンと一貫しています。テーマの適用範囲はシステム全体に及ぶため、この一貫性は非常に重要です。ボタンの削除など、アプリケーション スキンに対する変更は、オペレーティング システム レベルで適用されるべき変更ではありません。テーマ ファイルの形式は非公開です。一貫したユーザー インターフェイスを提供し、デザインの持続性を確保するため、Microsoft がテーマのデザイン コントロールを保持しているからです。テーマ開発者用のキットは、Wincows XP では提供されません。

従来のスタイルでは、ウィンドウとダイアログ ボックスが、浮き彫りになったグレーで表示されました。Windows XP には、これまでと同じインターフェイスを継続するためのオプションが用意されています。その一方で、Windows XP Whistler スタイルはまったく新しい一連の表示スタイルを提供します。新しい表示スタイルは従来のウィンドウとは大きく異なりますが、全体的な見やすさや使いやすさはそのまま残されています。Windows XP ではボタンやタブが新しくなりました。ポインタをボタンやタブの上に置くと、Web ページ上のホット スポットのようにその項目の色が変わります。

図 1. Windows XP の [スタート] メニュー

テーマとコントロール

Windows XP では、User Win32 コントロールと、ComCtl32 バージョン 6 の共通シェル コントロールが統合されています。この新しいコントロールは、新しいテーマ マネージャを使って適切な表示スタイルを使用します。

初期の 32 ビット バージョンの Windows では、User32.dll で実装されたコントロールと ComCtl32 で実装されたコントロールの両方が使用されていました。ウィンドウの非クライアント領域 (境界、メニューなど) は User32.dll により表示されます。User32.dll はオペレーティング システムの中核となるコンポーネントであり、オペレーティング システムの特定のバージョンに関連付けられています。Windows 2000 および Windows Me では、ComCtl32 は Windows ファイル保護の下に置かれているため、システム更新またはサービス パック以外の方法では変更できません。以前のバージョンの Windows では、ComCtl32 は実際には多くのシステム コンポーネントやアプリケーションと共にリリースされていましたが、それが原因で、別のアプリケーションやシステム コンポーネントをインストールした後にアプリケーションに不具合が生じることがたびたびありました。Windows XP では、最新の Windows 2000 サービス パックと同じ ComCtl32 が使用されます。

Windows XP は、サイド バイ サイド コンポーネント共有をベースにした、Windows コンポーネント開発の新しい方向性を示しています。既に説明したとおり、新しいテーマはコントロールの表示までも指定します。Windows の体裁を新しくし、中核となる機能を変更しなくても設計者が UI の表示スタイルを一新できるようにするため、テーマ マネージャ uxtheme.dll が導入されました。この新しい DLL は、新しいコントロール用の表示サポートを提供します。またコントロールによるパーツの位置指定を補助する情報 API も提供します。さらに、スクロール バーやタイトル バーなど、すべてのアプリケーション (カスタム設定されている場合を除く) の非クライアント領域に対しても新しい Windows XP 表示スタイルを提供します。このように、テーマ マネージャはすべてのアプリケーションにかかわってきます。ComCtl32 と連携するテーマ マネージャを使用すると、開発者はほとんどの Windows アプリケーションを柔軟にテーマ化することができます。この柔軟性により、ISV の設計者はアプリケーションに Windows XP 表示スタイルを取り入れることができます。

アプリケーションによっては、この新しい ComCtl32 によって不具合が生じる可能性があります。それを避けるため、ComCtl32 バージョン 6 は、ComCtl32 バージョン 5 のサイド バイ サイドである共有アセンブリとして、System32 ディレクトリにインストールされます。新しい DLL を利用できるのは、新しい DLL を処理することをオペレーティング システムに通知するマニフェストを備えているアプリケーションのみです。マニフェストを備えていない既存のアプリケーションは、これまでどおり ComCtl32 バージョン 5 を使用します。バージョン 5 とバージョン 6 はどちらも Windows XP に含まれており、サイド バイ サイドとしてインストールされます。マニフェストについては、次のセクションで詳しく説明します。

注 : ComCtl32 バージョン 6 は、以前のバージョンの Windows には含まれていません。それらのバージョンでは、これまでどおり ComCtl32 バージョン 5 を使用します。バージョン 5 には、新しい表示スタイル、ハイパーリンク コントロール、グループ表示などの機能はありません。それらの機能を使用する場合は、Windows 95、Windows 98、および Windows 2000 でアプリケーションのテストを実行してください。

Windows XP の新しい表示スタイルをアプリケーションに適用するには、ComCtl32 へのリンクを作成し、ComCtl32 バージョン 6 に依存していることを通知するマニフェストを使用する必要があります。所有者描画型のコントロールがある場合、自分で描画するのではなく、uxtheme.dll を使って描画してください。それらのコントロールを、それ以外の UI と調和させるにはこの作業が必要です。

以下のコードは、テーマ対応ボタンを描画するためのコードです。

rtButton.top = 100;
rtButton.left = 10;
rtButton.bottom = 130;
rtButton.right = 200;
hTheme = OpenThemeData(hWnd, L"Button");
DrawThemeBackground(hTheme, hdc, BP_PUSHBUTTON,  PBS_NORMAL, &rtButton, NULL);
DrawThemeText(hTheme, hdc, BP_PUSHBUTTON, PBS_NORMAL, wzTMB, wcslen(wzTMB),
DT_CENTER | DT_VCENTER | DT_WORD_ELLIPSIS | DT_SINGLELINE, 0, &rtButton);

所有者描画型のボタンを作成する主な理由の 1 つは、ビットマップを追加する必要性です。ComCtl32 バージョン 6 のボタンの場合、ボタンにイメージ リストを関連付けることにより、開発者提供のビットマップを組み込むことができます。開発済みのアプリケーションを更新しているか、あるいは新しいアプリケーションを作成しているかにかかわらず、必ずアプリケーションで ComCtl32 バージョン 6 マニフェストとバージョン 5 をテストし、新しい表示スタイルが含まれるウィンドウやダイアログ ボックスがどのように表示されるかを確認してください。

以下のコードは、ビットマップを使ってボタンを描画するためのコードです。

Button_ImageList.himl = himl;
Button_ImageList.uAlign = BUTTON_IMAGELIST_ALIGN_LEFT;
Button_ImageList.margin.top = 3;
Button_ImageList.margin.bottom = 3;
Button_ImageList.margin.left = 3;
Button_ImageList.margin.right = 3;

hwndImageBtn = CreateWindow(L"Button",wzText,WS_CHILD | BS_PUSHBUTTON,0,0,0,0,hWndParent,NULL,hInst,NULL);
Button_SetImageList(hwndImageBtn, &Button_ImageList);
Button_GetIdealSize(hwndImageBtn, &sizeBtn);
SetWindowPos(hwndImageBtn, hWndParent, 10, 10, sizeBtn.cx, sizeBtn.cy, SWP_SHOWWINDOW | SWP_NOZORDER | SWP_NOACTIVATE);

注 : Microsoft Internet Explorer テクノロジで HTML を使って UI を表示する場合、HTML ファイルに META タグを挿入することによって、テーマが HTML コントロールで確実に採用されます。

注 : サードパーティの拡張は、すべてのテストが完了するまではテーマ化しないでください。「Windows XP ビジュアル スタイルの使用」では、サードパーティ製のアプリケーションをホストする場合のために、開発プロセスで他のアプリケーションを処理する方法について説明します。

アイコン

Windows XP では、見た目がよいだけでなく、従来のアイコンと比べてより複雑で高度なメッセージを表現できるアイコンを作成することができます。新しいアイコンは、最大で 24 ビットの表示色をサポートします。また、アルファ チャネルの 8 ビット マスクもサポートします。アイコン表示、並べて表示、サムネイル表示では、これらのイメージを最大 48 x 48 ピクセルの大きさにすることができます。"アイコンを並べて表示" するのは新しい表示方法です。アイコンには 2 行から 3 行のコメントが付いているため、アイコンの横に重要な情報を表示することができます。

アイコンの形式自体は変わりませんが、32 ビット アイコンを表示するためのサポートがイメージ リスト API に追加されました。以前のバージョンの Windows でもそれらのアイコンが正しく表示されるようにするには、図 2 に示すとおり、アイコンごとに複数のイメージを作成する必要があります。

図 2. 複数のアイコン イメージ

最初の 3 つのイメージは、セーフ モードである 16 色モードで表示されています。次の 3 つのアイコンは、Windows XP 256 色モードで表示されています。最後の 3 つのアイコンはアルファ チャネルを持っており、Windows XP またはそれ以降のオペレーティング システムを 24 ビット色以上で実行した場合にのみ使用します。

アイコン形式では、これらのイメージの順序が大きな意味を持つことに注意してください。順序を間違えると、以前のバージョンの Windows はアイコンを抽出するときに正常に機能しません。このパフォーマンス低下が原因で、メモリ破損や不正表示が生じることがあります。また、Whistler はアイコン ファイルで無数のアイコン リソースをサポートしていますが、以前の Windows バージョンは 10 アイコン リソースという制限を課していることにも注意してください。

新しいアイコンについては、"以前は Microsoft ペイントのような比較的単純なツールを使ってアイコンを作成していたが、今は Photoshop を使って作成するようになった" というシナリオと同じように考えることができます。

注 : gamani 社のツール、GIF Movie Gear for Icons では、24 ビット フルカラーの、8 ビット アルファ チャネル Windows アイコン (ICO) ファイルを作成することができます。詳細については、http://www.moviegear.com/foricons を参照してください。

サイド バイ サイド共有

新しい UI の処理は、サイド バイ サイド共有要求構造を基に行われます。バージョンに伴う問題や DLL Hell の解決策として、アプリケーションにサイド バイ サイド バージョン戦略を取り入れるよう強くお勧めします。ComCtl バージョン 6 の実装で明らかなとおり、サイド バイ サイド コンポーネントは Windows における開発の将来を示しています。このセクションでは、Windows XP に含まれるサイド バイ サイド共有の新しい特色を簡単に紹介します。

サイド バイ サイド コンポーネント共有および DLL リダイレクトの詳細については、「アプリケーションで共有する Side-by-Side コンポーネントの実装 (拡張)」 (David D'Souza、BJ Whalen、Peter Wilson 共著) を参照してください。

サイド バイ サイド コンポーネントを使用すると、1 つのコンポーネントのいくつかのバージョンが同時にインストールされます。アプリケーションは、設計およびテストで使用された特定のバージョンのコンポーネントにバインドされます。

Windows XP には、アセンブリおよび分離アプリケーション (COM+、Win32 の両方) をサポートするためのインフラストラクチャがあります。Win32 アプリケーションからサイドバイサイド アセンブリを取得するために、コードを修正する必要はありません。グローバルな影響を与えずに、アプリケーションは最新のシステム アセンブリを使用できるからです。

端的に言えば、分離アプリケーションは信頼性が高いため、それだけ貴重です。分離アプリケーションは、必要なすべてのコンポーネントと共に構築またリリースされるため、他のアプリケーションによる変更の影響を受けません。分離アプリケーションはマニフェストを使用します。マニフェストとは、1 つのアセンブリまたはアプリケーションの自己記述情報が含まれる XML ファイルのことです。バインドおよびアクティブ化に関するすべてのメタデータ (COM クラス、インターフェイス、タイプ ライブラリなど) は、レジストリではなく、マニフェストに保存されるようになりました。マニフェスト ファイルには 2 つの種類があります。分離アプリケーションを記述したアプリケーション マニフェストと、個々のアセンブリを記述したアセンブリ マニフェストです。

分離アプリケーションはサイド バイ サイド アセンブリを使用することができます。アセンブリは、名前付け、バインディング、バージョン設定、配置、および構成の基本的な単位です。アセンブリには、共有アセンブリと専用アセンブリという 2 つの種類があります。共有アセンブリは、コンピュータ上の複数のアプリケーションが使用するためのもので、Windows ディレクトリの WinSxS フォルダにインストールされます。それに対して、専用アセンブリは特定のアプリケーションだけが使用するためのもので、そのアプリケーションのディレクトリ構造に配置されます。

サイド バイ サイド共有を使用する場合のアプリケーション開発者に対する利点として、開発のスケジュールをより明確にできるということが挙げられます。これは、使用するコンポーネントのリリース スケジュールの影響を受けずに開発スケジュールを立てることができるためです。

ユーザーの簡易切り替え

Windows XP は、ユーザーの簡易切り替えと呼ばれる新しい機能を採用しています。ユーザーの簡易切り替えは、Windows 2000 のコンピュータ共有機能と、Windows 2000 Terminal Server のマルチ セッションに基づいており、同じコンピュータを複数のユーザーが簡単かつ効率よく共有できるようにします。

統計では、一般の Windows ユーザーの 80% が、家族のほかのメンバーと 1 台のコンピュータを共有しているとのことです。Windows 98 には、プロファイルと呼ばれる共有作成機能がありますが、その機能はそれほど使用されませんでした。Windows 2000 になって、複数のアカウントを作成する機能が登場しましたが、一般の家庭では使用が困難でした。

Windows XP ではそのようなことはなくなります。インストール時には、Windows 2000 プロファイルに基づき、すべてのユーザーのためのユーザー アカウントが作成されます。既定ではパスワードは要求されませんが、必要であれば設定することができます。ログオン ダイアログ ボックスの代わりに、コード名やエイリアスではなく、ユーザー名と画像またはアイコンを使った新しいフレンドリな 開始画面が表示されます。新しいコントロール パネル アプレットを使って、ユーザー アカウントを簡単に追加または編集できます。ユーザーごとに、壁紙、音楽、画像、お気に入りなど独自の設定を行うことができます。

ユーザーの簡易切り替えでは、1 つのコンピュータを使用する複数のユーザーがそれぞれログオフする必要はありません。それぞれのアカウントは常にログオン状態にあり、開かれているアカウントを瞬時に切り替えることができるからです。

たとえば、お父さんが帰宅し、コンピュータを使い始めるとします。PowerPoint を起動してプレゼンテーションの処理を始めます。そこに、息子の Billy が来て、コンピュータを使用したいと父親に告げます。[ようこそ] 画面に戻って "Billy" をクリックすれば、Billy はログオンしてゲームを開始することができます。このとき、お父さんもまだログオン状態にあるため、必要であれば、ログオフすることなく、開かれている自分のアカウントに瞬時に切り替えることができます。お父さんの PowerPoint プレゼンテーションは開かれたまま残されており、インターネット接続もそのままです。

付属されている機能の 1 つに、リモート デスクトップ機能があります。この機能を利用すると、ユーザーはリモート マシンから自分のデータやアプリケーションに、それも自分の設定でアクセスすることができます。ネットワーク上ではもちろんのこと、オフィスにある自分のワークステーションに対しても実行できます。オフィスで自分のワークステーションをロックし、帰宅してから、自宅のコンピュータからそのワークステーション上のアプリケーションをリモートで操作することができるのです。

Windows XP は、ターミナル サーバーを使ってこれらの機能を実現します。開発者の側から見れば、ユーザーの簡易切り替えをサポートすることは、移動ユーザー、シフトが異なるユーザー、リモートでアクセスするユーザーなどを抱えるビジネス環境のためにコンピュータ共有を開発すること、あるいはターミナル サーバー環境のホスト サーバーと連携するコンピュータ共有を開発することとさほど変わりありません。

Windows XP 環境での切り替え機能については「Microsoft Windows XP 共有環境: ユーザー アカウントとユーザーの簡易切り替え」で、詳しく解説します。また、「Optimizing Applications for Microsoft Windows 2000 Terminal Services and Windows NT Server 4.0, Terminal Server Edition」も参照してください。ユーザーの簡易切り替えを利用するには、アプリケーションがデータおよび設定管理について Certified for Windows 仕様に準拠していなければならないことに注意してください 。

  • ユーザー作成データの既定の保存先を [マイ ドキュメント] にする

  • アプリケーション データを正しく分類および保存する

  • "アクセス拒否" のメッセージが表示されたときに徐々にレベルを下げる

ほかにも、以下の考慮事項があります。アプリケーションは以下の機能を備えている必要があります。

  • "All Users" インストールのサポート

  • ほかのインスタンスの正常なチェック

  • サービスとの通信

また、アプリケーションが現在のデスクトップ上にないときは、以下の点も考慮しなければなりません。

  • プロセッサ使用率の最小化

  • 音声を再生しない

  • 画面を更新しない

  • システム リソースに敏感に対応させる

その他の機能

Windows XP の機能をすべてこの記事で紹介することは到底できません。開発に関連したいくつかを紹介します。

電源管理 - Windows XP では、Windows 2000 電源管理機能が採用されています。概要については、Robert Di Benedetto による記事「Tips for Supporting OnNow (Power Management) in Windows 2000 Applications」を参照してください。

GDI+ - Graphics Device Interface Plus (GDI+) は、Microsoft Windows.NET の一部で、2 次元のベクトル グラフィック、イメージ、および体裁を提供します。GDI+ は GDI (Windows の初期バージョンに含まれていたグラフィック デバイス インターフェイス) を改良したもので、既存の機能は最適化され、新しい機能が追加されています。詳細は Beta 2 SDK で提供されます。

64 ビット Windows - Windows XP は、32 ビット Windows および 64 ビット Windows の両方に対応した 1 つのソース ツリーを基に構築されています。いずれ、アプリケーションが 64 ビットになる日がやってきます。その日のために、アプリケーションを 64 ビットに対応させる準備を今から始めることをお勧めします。MSDN ライブラリに含まれる Platform SDK のセクション「Getting Ready for 64-bit Windows」を参照してください。

高密度画面サポート - 新しい 133-DPI モニタが利用可能になりました。200-DPI モニタも近い将来、利用できるようになります。開発中のアプリケーションで 140-DPI のフォントや大きいアイコンをテストすることができます。Windows XP ダイアログ ボックス、ボタン、タイトル バー、およびスピーチ入力は、すべて大きなフォントに対応しています。高密度画面に対応したアプリケーションの作成に関しては、「高 DPI アプリケーションの記述方法」を参照してください。

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