.NET Framework 3.5 のアーキテクチャ

更新 : 2008 年 7 月

.NET Framework Version 3.5 は、Version 2.0、Version 3.0、およびそれらのサービス パックに基づいて作成されています。.NET Framework Version 3.5 Service Pack 1 では、Version 3.5 のアセンブリが更新され、Version 2.0 と Version 3.0 の新しいサービス パックが含まれています。このトピックでは、.NET Framework Version 2.0、3.0、3.5、およびそれらのサービス パックの関係について簡単に説明します。

.NET Framework Version 2.0、3.0、3.5 の関係

.NET Framework 3.5 SP1 は次のコンポーネントで構成されていると考えることができます。

  • .NET Framework 2.0

  • .NET Framework 2.0 Service Pack 1 および Service Pack 2。.NET Framework 2.0 に含まれるアセンブリが更新されています。

  • .NET Framework 3.0。.NET Framework 2.0 およびそのサービス パックに含まれるアセンブリが使用されます。また、.NET Framework 3.0 で導入されたテクノロジに必要なアセンブリが含まれます。たとえば、Windows Presentation Foundation (WPF) に必要な PresentationFramework.dll および PresentationCore.dll が .NET Framework 3.0 でインストールされます。

  • .NET Framework 3.0 Service Pack 1 および Service Pack 2。.NET Framework 3.0 で導入されたアセンブリが更新されています。

  • .NET Framework 3.5。.NET Framework 2.0 と 3.0 に追加機能を提供する新しいアセンブリが含まれています。

  • .NET Framework 3.5 Service Pack 1。.NET Framework 3.5 に含まれるアセンブリが更新されています。

.NET Framework のバージョンは、それぞれ以降のバージョンとは別に単独でインストールできます。また、各バージョンのインストールでは、以前のバージョンが自動的にインストールされます (インストールされていない場合)。さらに、.NET Framework 3.5 SP1 では Client Profile セットアップ パッケージが導入されます。このパッケージには、クライアント アプリケーションによって使用されるアセンブリだけが含まれています。詳細については、「.NET Framework Client Profile」を参照してください。

Bb822049.alert_note(ja-jp,VS.90).gifメモ :

Windows Vista は、.NET Framework Version 2.0 SP2 または Version 3.0 SP2 のスタンドアロン インストールをサポートしていません。Windows 2000 は、.NET Framework Version 3.5 SP1 も、.NET Framework Version 3.0 SP2 のスタンドアロン インストールもサポートしていません。

アプリケーションは、同じアセンブリを使用します。.NET Framework Version 2.0、3.0、3.5、または Client Profile を対象とするかどうかは関係なく、またユーザーのコンピュータ上でアセンブリが更新されているかどうかも関係ありません。たとえば、WPF を使用し、.NET Framework 3.0 を対象とするアプリケーションは、Windows フォームを使用し、.NET Framework 2.0 を対象とするアプリケーションと同じインスタンスの mscorlib アセンブリを使用します。ユーザーが以降のバージョンの Framework やサービス パックをインストールし、mscorlib.dll のコピーが更新されている場合は、アプリケーションはいずれも更新されたバージョンのアセンブリを使用します。

Bb822049.alert_note(ja-jp,VS.90).gifメモ :

.NET Framework Version 2.0、3.0、3.5 の関係は、Version 1.0、1.1、2.0 の関係とは異なります。.NET Framework Version 1.0、1.1、2.0 は、それぞれが完全に独立しており、どれか 1 つのバージョンが単体で存在できます。Version 1.0、1.1、および 2.0 が同じコンピュータ上に存在している場合、各バージョンはそれぞれ独自の共通言語ランタイム、クラス ライブラリ、コンパイラなどを持ちます。アプリケーション開発者は、対象とするバージョンを選択できます。詳細については、「side-by-side 実行」、「特定の .NET Framework を対象にする」、および「MSBuild で特定の .NET Framework を対象にする」を参照してください。

.NET Framework 3.5 SP1 に含まれるテクノロジ

このセクションでは、.NET Framework 3.5 SP1 に含まれるテクノロジと、ここに含まれる Framework の各バージョンについて要点を説明します。.NET Framework が装備している主要なテクノロジのいくつかを列挙したものであり、すべてのテクノロジが網羅されているわけではありません。

.NET Framework 2.0

.NET Framework 2.0 には、次のテクノロジが同梱されています。

  • 共通言語ランタイム (CLR: Common Language Runtime) および基本クラス ライブラリ

  • ジェネリック型およびジェネリック メソッドのサポート

  • C#、Visual Basic、C++、および J# 用のコンパイラ

  • ADO.NET

  • ASP.NET

  • Windows フォーム

  • Web サービス

.NET Framework 2.0 で導入された新機能の全一覧については、「.NET Framework Version 2.0 の新機能」を参照してください。

.NET Framework 2.0 SP1 および SP2

.NET Framework 2.0 Service Pack 1 および Service Pack 2 では、.NET Framework 2.0 に同梱されている CLR および複数のアセンブリが更新されます。このサービス パックは .NET Framework 3.5 SP1 とは無関係にインストールできます。.NET Framework 2.0 に対するアップデートは互換性に影響する変更ではありませんが、新しい API 要素が追加されていたり、動作が変更されていたりする場合もあります。アプリケーションが .NET Framework 2.0 SP1 または SP2 に含まれる変更に依存している場合は、対象を .NET Framework 2.0 にし、ユーザーに .NET Framework 2.0 SP1 または SP2 をダウンロードしてもらうようにします。ただし、アプリケーションが新しい機能や変更された機能に依存している場合は、.NET Framework 3.5 または .NET Framework Client Profile を対象にすることをお勧めします。

.NET Framework 3.0

.NET Framework 3.0 をインストールするには、.NET Framework 2.0 がコンピュータにインストールされている必要があります。ユーザーが、.NET Framework 2.0 がインストールされていないコンピュータに .NET Framework 3.0 をインストールしようとした場合、.NET Framework 2.0 が自動的にインストールされます。

.NET Framework 3.0 には、次のテクノロジが追加されています。

  • Windows Presentation Foundation (WPF).

  • Windows Communications Foundation (WCF)

  • Windows Workflow Foundation (WF)

詳細については、「.NET Framework Version 3.0 の新機能」を参照してください。

.NET Framework 3.0 SP1 および SP2

.NET Framework 3.0 Service Pack 1 および Service Pack 2 では、.NET Framework 3.0 に同梱されている複数のアセンブリが更新されます。このサービス パックは、.NET Framework 3.5 とは無関係にインストールできます。互換性に影響する変更はこのアップデートには含まれませんが、.NET Framework 3.0 が装備しているテクノロジに新しい API 要素や新機能が追加されています。アプリケーションが .NET Framework 3.0 SP1 または SP2 に含まれる変更に依存している場合は、対象を .NET Framework 3.0 とし、ユーザーに .NET Framework 3.0 SP1 または SP2 をダウンロードしてもらうようにします。ただし、アプリケーションが新機能または変更された機能に依存している場合は、.NET Framework 3.5 または .NET Framework Client Profile を対象にすることをお勧めします。

.NET Framework 3.5

.NET Framework 3.5 では、2.0 と 3.0 のテクノロジに対する新機能のほか、追加のテクノロジが新しいアセンブリとして導入されます。.NET Framework 3.5 には、次のテクノロジが追加されています。

  • 統合言語クエリ (LINQ: Language-Integrated Query)

  • C#、Visual Basic、および C++ 用の新しいコンパイラ

  • ASP.NET AJAX

.NET Framework 3.5 で導入された新機能の全一覧については、「.NET Framework Version 3.5 の新機能」を参照してください。

.NET Framework 3.5 SP1

.NET Framework 3.5 Service Pack 1 では、.NET Framework 3.5 に同梱されている複数のアセンブリが更新されます。互換性に影響する変更はこのアップデートには含まれませんが、.NET Framework 3.5 が装備しているテクノロジに新しい API 要素や新機能が追加されています。.NET Framework 3.5 SP1 には、次のテクノロジが装備されています。

  • ASP.NET Dynamic Data

  • ADO.NET Entity Framework

  • SQL Server 2008 のデータ プロバイダ サポート

  • .NET Framework Client Profile のサポート

.NET Framework 3.5 SP1 で導入された新機能の全一覧については、「.NET Framework Version 3.5 SP1 の新機能」を参照してください。

参照

概念

.NET Framework Client Profile

MSBuild で特定の .NET Framework を対象にする

その他の技術情報

.NET Framework の概要

.NET Framework の新機能

side-by-side 実行

特定の .NET Framework を対象にする

履歴の変更

日付

履歴

理由

2008 年 7 月

.NET Framework 3.5 Service Pack 1 に関する情報を追加

SP1 機能変更